残暑の暑さに悩まされる9月には「長月(ながつき)」という別名があります。
なにかが長いことから付けられた名前なのだろうというのは想像できるのですが、肝心の長い物がなにを指しているのかが検討も付きません。
分かるようで分からない、9月の別名「長月」の名前の由来や他にもある別名についてご紹介します。
目次
長月が9月を意味する理由
長月は旧暦での名称
長月というのは明治時代に現在の暦、新暦が採用される以前に用いられていた旧暦で9月をあらわす名前です。新暦になってからも、風習で旧暦の名称が使われることもあるため、現在でも9月を意味する別名として用いられています。
旧暦の長月と現在の9月は同じじゃない?
現在も9月をあらわす名前として使われていますが、実は旧暦の長月と新暦の9月は同じ時期をあらわしていません。これは、旧暦と新暦の暦の違いそのものに端を発しています。
暦の作り方が旧暦と新暦で異なる
そもそも旧暦というのは江戸時代に使われていた「天保暦(てんぽうれき)」の事を指します。
新暦が太陽の動きから暦を作る太陽暦なのに対し、天保暦では月の満ち欠けと季節のズレを調整するための太陽の動きを参考にすることで暦を産出する太陰太陽暦を使うという違いがありました。
年明けの日が旧暦と新暦で違う
2つの暦は共に1年を約365日としていましたので日数に関しては違いはほとんどありません。しかし、年明けの基準が双方では異なる事から、旧暦の長月と新暦の9月に時期のズレが生じています。
新暦の年明けは単純に前年の12月31日の翌日、1月1日です。
それに対し旧暦では、年明けを立春の頃周辺の新月の日を年明けとしています。立春は新暦の2月4日です。その日ではなく、周辺の新月の日なので旧暦の年明けは「新暦の1月20日~2月20日頃」が相当します。
年明けがズレているということは他の月もズレることになり、旧暦の長月を新暦に当てはめると、9月下旬から11月上旬頃ということになります。
旧暦の長月と新暦の9月は同じではない、というのはこの様な理由がありました。
長月の意味や由来
長月の名前の由来はいくつか考えられています。
秋の夜長が由来?
長月の頃になると日が短くなり、次第に夜の時間が長くなってきます。この夜が長くなっていく様子から「夜長月(よながづき)」とされましたが、省略されて長月になったという説があります。
稲穂の成長具合が由来?
長月は稲が熟成しきる時期です。その事から「稲熟月(いねあがりつき)」や「穂長月(ほながづき)」といった名前が付きました。これらの名前が転じたり省略されたことで長月になったともいわれています。
稲刈りが由来?
稲穂が熟成したらもちろん収穫されます。稲刈りの時期でもあることから「稲刈月(いねかりづき)」となりましたが、「ねかづき」に変化。最終的に「ながつき」なったという考えもあります。
他にもある9月の別名
晩秋(ばんしゅう)・暮秋(ぼしゅう)
旧暦では7~9月を秋としていましたので、「晩秋(ばんしゅう)」や「暮秋(ぼしゅう)」という秋の終わりをあらわす名前が付けられています。
長雨月(ながあめづき)
旧暦の9月は、秋雨が降る季節でもあります。秋雨はシトシトと降り続けることから、長雨とも呼ばれていました。「長雨月(ながあめづき)」という別名は秋雨が降る月という意味で付けられました。
菊月(きくづき)・菊咲月(きくさづき)・菊開月(きくひらきづき)
9月9日は菊の節句がありますし、なにより菊が咲く時期でもあることから、菊が咲く様子や菊の花が開く様子が別名に付けられています。
彩月(いろどりづき)・紅葉月
「彩月(いろどりづき)」も「紅葉月」も、長月の頃にはすっかり色付いている山の様子から付けられた別名です。
まとめ
由来とされている説から、秋が深まっていく様子が伺えます。他にも菊が咲き、山が紅葉に彩られていること、秋雨が降り続ける様子から付けられた別名からも秋を感じます。
現在の9月といえば、まだ残暑が続く日や台風で大雨という時期なので、旧暦由来の別名で秋が到来が待ち遠しくなるのではないでしょうか。