みなさんは紙を綴じる際に用いる細い針の出てくる道具のことを何と呼びますか?
ほとんどの人は「ホッチキス」と呼ぶのではないでしょうか。
もちろん、それも正解なのですが、もう一つ「ステープラー」という名前で呼ばれることもあります。
どちらも間違いではない、ステープラーやホッチキスという名称について、ここでは見ていきましょう。
目次
ステープラーとは?
ステープラーとは特殊な形状の針を使って紙を綴じる道具で、文房具や事務用品としても日本では広く使用されています。
ホッチキスと同じ
ステープラーは、ホッチキスの別名的なものです。
そのため、同じ道具を指します。
紙にコの字状の針を刺して綴じる道具の総称であり、針の正式名称はステープルと言います。
ステープルを指す道具だからステープラーということですね!
商品名と製品名
ステープラーのJIS規格での名称は、実は「ステープラ」と定められています。
そのため、ステープラーという発音と若干の違いがあります。
なぜホッチキスなのか?
それでは、なぜステープラーをホッチキスと呼ぶようになったのか。
これにはホッチキスの歴史が関係しています。
日本に最初に輸入したのはホッチキス
日本でステープラーがホッチキスと呼ばれる理由は、1903年に株式会社イトーキの前身にあたる伊藤喜商店がアメリカから初めて輸入した際、E.H.Hotchkiss社のステープラーだったことにあります。
その製品のボディには、大きく「HOTCHKISS No・1」と刻印されており、そのインパクトからホッチキスと呼ばれるようになったのです。
つまり本来の商品名ではなく、会社名である「ホッチキス」が商品名として広まったのです。
会社名のホッチキスは、創業者のホッチキス親子から取ったものです。
そのため、一製品であるステープラーに付けられた名前ではありません。
しかし、日本に入ってきた際にホッチキスとして売り出したため、日本ではステープラーよりもホッチキスという呼称が浸透したのです。
韓国でもホッチキス
韓国では日本統治時代にホッチキスが広まったこともあり、そのまま現地でもホッチキスと呼ぶのが一般的です。
韓国でも、ホッチキスという名称が現在もステープラーに対して使用されています。
ステープラー(ホッチキス)の歴史
ステープラーは、どのようにして生まれたのか。
ここでは、その歴史を見ていきましょう。
始まりは18世紀フランス
ステープラーの原型が生まれたのは18世紀のフランスだとされています。
19世紀になると、紙の使用量が増えたことで、ステープラーの開発が著しくなったのだとか。
日本に入ってきたのは、前述の通り20世紀の初頭のことです。
ホッチキスとマシンガン
ホッチキスの構造はマシンガンの弾送り機構と似ていたことから、マシンガンの仕組みが原型だという説もあります。
この説は、兵器開発会社のオチキス社とホッチキスを作ったE.H.Hotchkiss社との関係から生まれた都市伝説的な説でもあります。
2人のホッチキス
ホッチキスを作った会社、E.H.Hotchkiss社はコネチカット州にありました。
一方オチキス社はフランスの企業。
まったく関係はなさそうですが、創業者の名字はどちらも「ホッチキス」。
しかも、オチキス社の創業者であるベンジャミン・ホッチキスとE.H.Hotchkiss社の創業者であるジョージ・ホッチキス、イーライ・ハベル・ホッチキス親子の出身は共にコネチカット州でした。
その為、イーライとベンジャミンは兄弟であり、ホッチキスを発明したのは実はベンジャミンだったという俗説があります。
しかし、実際には2人が兄弟であったことは証明されていません。
世界ではホッチキスは通じない
海外で「Do you have a hotchkiss?」と言ったところで通じません。
なぜなら、ここまでに述べたようにホッチキスの名称が用いられているのが日本。
場合によっては、韓国の方でも通じることがあるかもしれません。
英語では「Stapler(ステープラー)」という名称が用いられています。
まとめ
日本では、ホッチキスの別名くらいの扱いをされることもある「ステープラー」。
実は、世界的にはこちらの名称のほうが一般的です。
なぜなら、ホッチキスというのは20世紀のはじめに輸入された際にステープラー本体に書かれていた社名が広まったものだからです。