
不思議な姿をした深海魚の中に「まるでおじさんみたい」といわれている魚がいるのを、みなさんはご存知でしょうか?
その魚の名前は『ニュウドウカジカ』。ニュージーランドやオーストラリアの深海に生息している、肉食性の深海魚です。
たしかに薄いピンクの体とギョロッとした目、そして顔の中心部にあるおおきな鼻が体格のいいおじさんを彷彿される見た目をしていますが、このニュウドウカジカは深海で活動しているときと、陸上で見る姿とでは全く姿かたちが違うそうです。
そもそもニュウドウカジカは、どこに生息していて、どの様な生態をした生き物なのでしょうか!?今回はそんなニュウドウカジカについて調べてみました。
目次
ニュウドウカジカとは
ニュウドウカジカという名前は、そのまるまるとした姿と、ギョロッとした目が入道、すなわちお坊さんの頭に似ていることから付けられた名前とされています。
カジカというのは、魚の種類の一種で、ニュウドウカジカは「カサゴ目ウラナイカジカ科」に分類されていることから付けられた名前となっています。
生息域
ニュウドウカジカは、オーストラリアやタスマニア島、ニュージーランドといったオセアニアの海域に分布しています。
ニュウドウカジカが生息しているのは主に深海です。記録では水深2,800mの場所から採取されたという記録も残っています。
生態
体長は30~60cmほどで、ウラナイカジカ科では最大種になります。食性としては肉食で、海底に住む甲殻類などを捕食することが分かっています。
実はニュウドウカジカの生態などに関しての研究はあまり進んでいません。…というのも、深海魚なので地上では水圧などの関係から生きていけず、捕まえてもなかなか生きたまま観測することができないからです。
ニュウドウカジカは実はおじさんみたいな見た目ではない?
ニュウドウカジカの英語での名称は「ブロブフィッシュ(Blobfish)」といいます。「Blob」には半固体状のものの小塊の意味があることから、ブヨブヨ状な魚という意味があります。
しかし、その姿は釣り上げられたりして地上で見る姿であって、深海ではまた違う姿をしています。
深海での姿は違う
深海で活動しているニュウドウカジカ、本来の姿は地上で見られる姿とは全く違います。全身は黒っぽい皮膚に覆われていますし、体がだらしなく垂れ下がっていることもありません。
おじさんみたいな見た目は陸地だけ?
深海では体色は黒に近く、ナマズのような外見をしたニュウドウカジカですが、地上では一転して薄いピンク色でぶよぶよした体に変わってしまいます。これはニュウドウカジカの体の特徴に理由があります。
まずは体がピンク色になってしまう理由ですが、これは網にかかった際に非常に柔らかい表皮部分が網に持っていかれ剥がれてしまう為なんだそうです。ニュウドウカジカの皮膚は非常にデリケートにできているようです。
次にブヨブヨで潰れたようになってしまっている体型について、これは体の構造に理由があります。
ニュウドウカジカは深海の水圧に耐えられるように、大量の水分とゼラチン質でできています。代わりに筋肉はほとんどありません。
そのため、水圧のある深海ではナマズのような姿で泳いでいられますが、水圧の無い陸上や浅瀬に出てくると、水圧で締っていた体は膨張し、更に筋肉のない体は重力に負けて溶けたような潰れた姿になってしまうのです。
ちなみに、おじさんの鼻にも見える部位ですが、本来は額に相当する部分です。水圧が無くなり、重力に負け、額がまるで鼻に見える位置まで下がってきてしまっているのです。
ニュウドウカジカは世界一醜い生き物?
陸上での姿がおじさんに似ており、強烈な印象を与えるニュウドウカジカは「世界一醜い生き物」ともいわれています。
これは2013年にイギリスにある「醜い動物保存協会(Ugly Animal Preservation Society)」という、容姿に恵まれなかった動物の認知度を高めることで、生き物が人知れず絶滅しようとするのを阻止するのが目的の組織が、同協会の新マスコットを決めるために行ったコンテストでニュウドウカジカが1位になったのがきっかけとされています。
ちなみに、この時ニュウドウカジカと共にエントリーされたのは、ニュージーランドに生息する「カポポ」という飛べないインコや、日本ではウーパールーパーの名前で知られる「メキシコサンショウウオ」など、全11種だったそうです。
まとめ
本来は黒っぽい体をしたニュウドウカジカですが、網にひかかってしまうことで皮膚が剥がれ、地上では水圧がないため体も溶けたように潰れてしまうという散々な結果が重なってしまったため、まるでおじさんのような外見になってしまうようです。
ニュウドウカジカ、これらの理由から少し不気味な外見をしてますが、食事が主にエビなどの甲殻類ということもあり、食べると美味しいといわれています。美味しい魚というのは少し意外ですね!
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出典:Wikipedia(ウラナイカジカ科)