臭い匂いで外敵から身を守る「カメムシ」、天敵はまさかの自分の匂い!?

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「臭い虫」として悪名高いカメムシ

カメムシが放つ強烈な悪臭の分泌液は、手や衣服に付くとちょっと洗っただけでは落ちないほど厄介なものです。さらにカメムシは臭いだけではなく、農作物を荒らし農家の人を困らせる害虫でもあります。

今回は、嫌われ者カメムシの生態や悪臭を放つ理由、そして天敵について調べてみました。すると、カメムシの天敵はまさかのカメムシだったという事実まで判明しましたのでご紹介します。

カメムシについて

カメムシは悪臭を放つだけではなく、農作物に悪影響を与える害虫でもあります。

カメムシとは

カメムシは、カメムシ目のカメムシ亜目に含まれる昆虫の総称、またはそのうちの水生種を除いた陸生種の総称です。非常に種類が多い昆虫で、カメムシ亜目だけでも185種類存在するといわれています。

ちなみに水生種のものにはアメンボやタガメなどがいます。同じカメムシ亜目といっても陸上・水面・水中とそれぞれ全く異なる進化をしたようですね。

害虫のイメージが強いカメムシですが、これだけ多い種類の中には益虫(害虫を食べるなどして人間の役に立つ昆虫)となる種類も存在しているんですよ。

外見的特徴

カメムシ亜目の中には草食種と肉食種がいますが、どちらもストローのような針状の口先を果実や食物の葉、昆虫の体に差し込み、果汁や体液を吸って生きています。

体長は種類により異なりますが、だいたい5mm~20mmほど。全体のシルエットは特徴的な五角形をしており、背中部分が固く亀の甲羅のように見えるので「カメムシ」と呼ばれるようになりました。三角形の頭部には、細長い触覚と左右に突き出た複眼が付いています。

発生時期

カメムシは、真冬を除き1年中発生しますが、特に多くなるのは春先と秋の終わり頃です。特に秋の終わりに大量発生した場合は、その年は豪雪になると言われています。

カメムシによる被害

 
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草食種のカメムシは、植物の汁を吸って生きているため農作物を荒らします。

ストロー状の口先を茎や実に刺して養分を吸い取る方法で、さまざまな農作物をターゲットにしています。葉や実をかじる被害ではないため気付きにくく、いつの間にか被害が広がっていることがあるので、細心の注意を払っていなければなりません。

野菜や果物の果実部分を吸われると、果実の変形や腐敗の原因になります。豆類は、さやの上から実の養分を吸われ、実がならなかったり変形したりしてしまいます。

稲の葉や茎、もみ殻からも汁を吸い取り、吸われたもみ殻は茶色の米粒になってしまいます。このようなカメムシの害を受けた農作物は、残念ながら出荷できません。

農作物の近辺でカメムシを発見し、駆除するために触ろうとすると、カメムシが放つ分泌液が作物に付いてしまう恐れがあります。すると、作物に悪臭が付き商品価値が下がってしまうため、駆除が難しい害虫なのです。

別名

みなさんはカメムシのことを何と呼んでいますか?

俗称の「クサムシ」や「コキムシ」と呼んでいる方もいらっしゃると思います。カメムシはその特徴から地方名も多くあり、面白い呼び名が付けられています。その中から一部ご紹介いたします。

・「ヘコキムシ」「ヘッピリムシ」(多くの地方)
・「クセンコ」「クセンコムシ」(青森県)
・「ヘクサムシ」「ヘクソムシ」(山形県、福島県)
・「ヘタガニ」「ヘチガネ」「ジョロピン」(新潟県の一部)
・「ワクサ」「ワックサ」(群馬県、埼玉県北部)
・「ヘクサンボ」(福井県・石川県・富山県・山形県、それぞれの一部地方)
・「ホウジ」(山口県)
・「ジャクジ」「ジャクゼン」「ブイブイ」(愛媛県)

どこにでも現れて悪臭を放つ害虫ということで、日本各地で様々な呼び名が付けられてきたようです。やはり「くさい」をもじった言葉から成り立った呼び名が多くて面白いですね。

カメムシが臭いを放つ理由

カメムシは常に悪臭を放っているわけではありません。一体どんなときに放つのでしょう?

カメムシの臭いは防衛のため

攻撃を受けるなど身の危険を感じると、臭いのある分泌液を放ちます。外敵の撃退と自身を防御するためだと考えられています。

また、群れをつくるカメムシの場合は、臭いを放つことで仲間へ警戒を知らせたり、低濃度の臭いを放ち集合フェロモンとして利用したりしています。

カメムシの天敵は・・・まさかのカメムシ自身?

カメムシの分泌液の悪臭が、カメムシ自身にとっても有害だと判明した実験が行われたことがあります。

カメムシをた容器に閉じ込め密閉し、分泌液を放つように刺激を与えると、カメムシ本人が自分の放った臭いで死んでしまったということです。外敵から身を守る防御機能は、それ程優れているともいえますね。

カメムシの臭いは、パクチーの香りに似ているといわれます。パクチーの別名は英語「coriander」からの外来語「コリアンダー」ですが、カメムシを意味する「Kriannon」という言葉から由来されており、パクチーは別名で「カメムシ草」なんて呼ばれているんですよ。

パクチーが好きな筆者としては心外で、カメムシの悪臭の方がよほど強烈に思えますが、みなさんはいかがですか?

カメムシの天敵

密閉された空間だと自分自身の臭いで倒れてしまうこともあるほど強烈な臭いを放つカメムシには、三種類の天敵がいます。

「カメムシの卵に寄生する天敵」「カメムシの卵を食べる天敵」「カメムシを食べる天敵」です。

カメムシの卵に寄生する蜂

カメムシは幼虫や成虫なら臭いを放って身を守る事もできますが、何もできない卵の段階のカメムシを狙う天敵がいます。

それが寄生蜂という、昆虫やクモの仲間に寄生する蜂の一種です。

種類により寄生する昆虫は異なりますが、カメムシの卵に寄生するのは、タマゴバチといわれる「チャバネクロタマゴバチ」「カメムシタマゴバチ」「マルボシハナバエ」などです。

タマゴバチはカメムシの卵や幼虫に自分の卵を産み付けて寄生します。カメムシの卵や幼虫の体を借りて成長し、卵から孵化すると寄生している卵や幼虫を栄養として食べてしまうのです。

恐ろしい寄生蜂のようですが、カメムシが繁殖出来なくなるため、農業の強い味方になりそうですね。

カメムシの卵を食べる天敵

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カメムシの卵を捕食する天敵は、アリやアブ、ゴミムシです。

カメムシは、集団で産卵し卵を育てるという昆虫の中でも珍しい習性があります。アリやアブが襲ってきたら、羽をばたつかせたり、強烈な臭いを放ったりして戦うのですが、大群でやってくる天敵には敵わず守り切れない卵もあるようです。

カメムシの卵を食べる天敵は寄生蜂同様、農業にとってはありがたい存在です。
 

カメムシを食べる生き物

カメムシは臭いので、好んで食べる生き物は少ないですが、食べる時は食べるといった程度で捕食する生き物はいます。また、肉食種のカメムシが草食性のカメムシを襲うこともあります。

カエル

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ほとんどのカエルは肉食性で、昆虫などを食べて生きています。カメムシのことはそれほど好物ではないようですが、動いているものが目の前に現れたら反射的に口に入れるという性質からカメムシが目の前に現れたら本能的に捕食します。

カマキリ

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虫なら何でも食べるといわれるカマキリは、カメムシも食べるようです。しかし臭いが苦手なようで、好んで食べる訳ではありません。カメムシを捕まえたものの食べなかった、ということもあるようです。

クモ

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クモも肉食性で、虫を食べる虫として有名です。クモの巣に絡まった虫はどんなに大きくてもぺろりと平らげてしまいます。カメムシを食べることもありますが、やはり臭いが苦手なのか好物ではありません。クモの巣にひっかかっていても食べないこともあるようです。

トンボ

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トンボは肉食性で、種類によってはスズメバチを捕食するトンボもいるほどです。なんと空中で飛ぶカメムシを6本の脚で抱え込み、そのまま食べることもあるそうですよ。

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鳥は、カメムシを空中から見つけると、サッと咥えて飛んで行ってしまいます。圧倒的な力の差に、カメムシも太刀打ちできないことでしょう。

肉食カメムシ(サシガメ、グンバイメクラガメ)

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なんと、肉食性のカメムシは草食のカメムシを捕食します。肉食のカメムシを驚かせたりいじめたりすると、刺してくることがありますので、気を付けてくださいね。

益虫とされるカメムシ

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臭いことから害虫のイメージが強く駆除対象になりがちなカメムシですが、種類によっては人間の役に立つ益虫も存在しています。

ヒメハナカメムシは、ナスなどに付く農家の大敵「アザミウマ」を捕食します。このヒメハナカメムシを利用することで農薬に頼り切らず害虫を退治できることから、生物農薬として使うための研究も行われています。

しかし、これだけではナスの被害を十分に防ぐことはできないため殺虫剤を併用したいのですが、殺虫剤は害虫だけでなくヒメハナカメムシも殺してしまうことになります。

そこで現在、害虫ミナミキイロアザミウマを殺し、益虫ヒメハナカメムシに悪影響が少ない選択的殺虫剤を開発しているそうです。

まとめ

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カメムシは、ほぼ一年中発生し駆除がとても難しい害虫です。農業をしている方にとっては、悩みの種となっていることでしょう。

一般家庭でも、干している洗濯物に飛んできたカメムシが付いていたなんていうことがあります。気付かずに洗濯物を取り込んでしまったら、部屋の中にカメムシが入ってしまいます!カメムシが特に多くなる4月~10月は、注意が必要ですね。

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