三兄弟の異名を持つ「日本三大暴れ川」を知っていますか?

日本は国土が狭いこともあり、実は世界で見ても屈指の水害大国です。かつては環境が整備されていなかったこともあり、大規模な災害に見舞われた地域もありました。

現代でも大雨などの際には洪水になる可能性が高い川も点在しており、特に日本三大暴れ川には注意が必要です。これらは三兄弟の異名を取る危険な川として知られ、現在までに多くの命を奪ってきました。

そして現在では対策も進められていて以前よりも安全になりましたが、それでも油断はできません。そこで、ここでは「日本三大暴れ川」と呼ばれる川についてご紹介します。

暴れ川とは?

暴れ川とは条件によって氾濫する可能性が高い川のことを言います。日本では利根川や筑後川、吉野川などがその代表格と言われています。そもそも日本は特異な地形も相まって水害が発生しやすい国なので、暴れ川に関する正しい知識を持っておくことが重要です。

日本の川は氾濫しやすい?

日本は国土が狭く水源となる山から海までの距離が短いことから、流れの速い川が多く点在しています。当然ながら流れが速い川の水量が増えると、洪水を引き起こす可能性が高くなります。

日本の暴れ川は雨などの気象条件が水位に影響を与えることも多く、水量を吸収したり緩和したりする余裕もありません。そのため、度々氾濫を引き起こします。

近年は異常気象の影響によって巨大台風が発生する頻度も増え、さらに暴れ川の安全管理が注目されています。

日本三大暴れ川

各地で様々な混乱を引き起こしてきた日本三大暴れ川として知られるものは、利根川と筑後川と吉野川の3つです。これは暴れ川の三兄弟として恐れられ、何百年も前から日本に水害をもたらしてきた厄災の1つとなっています。

現代では3つの河川はどれも整備が進み、現在ではそこまで頻繁に水害が起こることはなくなっています。それでも条件が重なれば氾濫する危険もあるため、注意が必要なのは言うまでもありません。

長男「坂東太郎(利根川)」

長男の利根川は別名坂東太郎と呼ばれており、長い歴史の中で数々の水害を起こしてきた恐ろしい川です。

利根川氾濫の歴史

利根川氾濫の歴史の中でも、特に昭和22年に発生したカスリーン台風での決壊は甚大な被害をもたらしたことで有名です。

埼玉県東村新川通りにて約350mほど堤防が決壊し、濁流は埼玉県下のみならず東京都の葛飾区や江戸川区にまで達したと記録されています。これほど広範囲で水害を引き起こした例は少なく、日本でも最悪の大水害の1つとして知られています。

ちなみにこの台風によって命を落とした人の数は1,077名、行方不明者は853名、負傷者は1,547名と凄惨な状況でした。利根川の氾濫によって倒壊した建物や浸水した建物も多く、罹災者は40万人を超えていたそうです。これは戦後間もない日本とって最悪の惨事だったことは想像も難しくありません。

次男「筑後次郎(筑後川)」

次男の筑後川は別名筑後次郎と呼ばれており、九州地方における最大の水系を持つ川として知られています。

筑後川氾濫の歴史

筑後川氾濫の歴史は九州地方最大の河川であるがゆえに発生したものばかりです。筑後川はかつて千歳川や筑間川と呼ばれていた他、一夜川として現地の人に恐れられていました。

その由来は一夜にして流域が荒廃してしまうほど、巨大な洪水を引き起こす川だったためだと言われています。事実、806年~1889年までに発生した大水害は183回と記録されており、氾濫する度に甚大な被害をもたらしてきた歴史を持っています。

また、昭和28年の洪水では堤防が約26箇所破損し、死者147名で被災者54万人におよぶ大災害となりました。それ以後も度々大水害が発生している凶悪な川なのです。

三男「四国三郎(吉野川)」

三男の吉野川は別名四国三郎と呼ばれ、四国四県の貴重な水源として流れる一方で甚大な被害をもたらしてきた川でもあります。

吉野川氾濫の歴史

吉野川氾濫の歴史もまた一言では語れないものです。吉野川は四国四県を網羅するほどの水系を持ち、同地域の流域の生命線となっているのですが、数多くの氾濫を引き起こしてきた歴史があります。

886年の水害を皮切りに幾度となく大水害を起こし、特に昭和20年に発生した洪水では破堤寸前の場所が続出した他、昭和34年には死者数4,759名を出した超大型台風の影響もあってさらに甚大な災害となりました。

度重なる大災害により対策が進んだが、その後も予想を上回る洪水を引き起こすなど、自然豊かであるがゆえに危険な姿も見せる川として知られています。

他の暴れ川

その他にも信濃川や姫川など、水害を起こしてきた暴れ川も日本には点在しています。

姫川は平成7年に巨大な梅雨前線の停滞により、予想を大きく上回る集中豪雨によって水害が発生した他、度々氾濫を起こしてきた実例があります。

信濃川は明治29年に発生した水害が有名で、被害の規模では同エリアで過去最大と言われるほどだったそうです。流域も広い信濃川は、一度氾濫すると手が付けられないほどだと言われています。

まとめ

日本は豊かな自然が多いですが、時にその自然は人間に牙を向けてくることがあります。特に川は人間が生きていくために必要な水源ですが、その川が命を奪う悪魔に変貌することもあります。

現在はハザードマップなどにより、対策もより進められていることは間違いないです。しかし、老朽化が進む堤防なども多いことから、より暴れ川周辺の対策の見直しが必要だと言えるでしょう。

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