もしもの時に備えて知っておきたい!非常口のマークに込められていた意味

ビルや施設、病院、駅などでよく見かける非常口のマークには、2つの種類があります。
ドアに向かっている人が描かれた緑色のマーク=非常口マークという認識が強いですが、実は白色が背景の「非常口にたどり着く経路」を示す非常口マークというのもあるのです。

また、この非常口マークは日本のみならず、海外でも広く用いられています。
ここでは非常口マークの種類や、非常口マークの歴史、海外との非常口マークの違いについて見ていきましょう。

非常口のマークは2種類ある

 

ビルや駅、商業施設などでよく見かける「非常口マーク」。
この非常口マーク、実は2種類あります。

では、なぜ2種類あるのか、その違いについて解説します。

背景が緑:避難口誘導灯

 

背景が「緑」の非常口マークは、「避難口誘導灯」と呼ばれています。
このマークは非常口がある場所、非常口自体を示しており、非常出口や避難階段口の扉上部、もしくは非常口の傍に設置されています。

背景が白:通路誘導灯

 

背景が「白」の非常口マークは、「通路誘導灯」と呼ばれています。

このマークは非常口にたどり着くまでの道のりや経路となる廊下や階段などに設置されています。
この白地ベースの非常口マークに従って進んでいけば、非常口にたどり着くことができます。

背景に「白」が採用されているのは、停電時に照明としての役割も担うことができるからです。

非常口が緑色をしている理由

 

では、なぜ非常口マークは緑色をしているのでしょうか?
実は、緑色をしているのには重要な理由があります。

火災の時でも緑は目立つ

非常口マークが「緑」なのは、火災の時に目立つようにするためです。

なぜ火災の時に緑が目立つのか、その理由を解説する前に下記の図をご覧ください。

 

こちらは色相環とよばれる色彩を体系化した図です。近いほど似た波長をした色であり、対極にある色は「補色」もしくは「反対色」といい、お互いを引き立てあう作用があります。

では、非常口の緑色の対局にある補色は何色でしょうか?
そう、赤ですね。

つまり火災が起きた時、燃えさかる赤い炎の中でも、色を引き立つ緑の表示であれば非常口マークを確認することができるのです。

緑色は安心・安全の色?

緑色をしているのは炎に対する補色という効果だけではありません。

緑色は、「安心・安全の色」としてされています。
色にはその色が持つそれぞれのイメージがあります。
緑色のイメージは「安心感」「安定」「調和」です。

木や森など自然の色である緑は、心を穏やかにしてリラックス効果も得られます。
安心・安全のイメージが強い緑色を非常口マークの色として使用することで、心を落ち着かせる、安心させる作用もあるのです。

海外でも用いられる非常口のマーク

 

誰にでも分かりやすい非常口マークは、日本だけではなく海外でも広く用いられていますが、実は日本で生まれたものだったりします。

非常口のマークは日本生まれ

非常口マークは日本で1979年に公募され、3,000件の応募の中から誕生したマークです。

旧来の非常口は、文字表示のみの誘導灯でした。
巨大な明朝体で書かれた誘導灯は威圧感を与えたり、子供を怖がらせてしまったりするなどの問題が浮き彫りとなっていました。

特に病院では患者の夜間における安眠を妨げたり、手術前の緊張を増大させたりすることが多かったそうです。

また大型の誘導灯は、イメージを壊したり、文字自体を大きくしても、文字盤は薄い煙で見えなくなってしまったりする欠点もあります。

これらのデメリットを解消するために1982年に消防庁により告示された非常口マークは、瞬く間に普及しました。

1年半の間で70%以上の誘導灯が新表示に取り換えられたほどです。
また、1987年には下線を追加したデザインのピクトグラムが国際標準化機構(ISO)が定める国際規格に組み込まれました。

ピクトグラムとは

 

ピクトグラムとは、絵文字や絵言葉のことで、文字以外のシンプルな図記号によって表したものです。

例えば、上記のイラストでは、トイレの前などに貼ってあることもある男性と女性のマークや車いすのマークが該当します。
人型でなくてもよく、禁煙のマークなどもピクトグラムとなります。

非常口のマークにピクトグラムが採用されている国

日本で誕生した非常口のマークにピクトグラムが採用されている国は、イギリス・オーストラリア・カナダ・韓国・ニュージーランドなどがあります。

EU(欧州連合加盟国)の多くの国では、非常口マークに文字は表示せずに、ピクトグラムのみを表示しています。
世界で使われている非常口のマークは、国によって文字や絵柄に少しずつ違いがあるので、見比べてみるのも面白いですよ。

まとめ

 

非常口マークは、火災や地震など緊急時に脱出するための非常口を表示する大切なマークです。
施設のどこに非常口マークがあるのかを知っておくことはとても大切ですね。

また非常口がある場所に表示されている非常口マークの他に、避難口までの道のりや経路を示した「避難口誘導灯」という非常口のマークもあります。
マークの意味をよく理解しておくことで、いざという時にすぐに理解して行動できるでしょう。

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