
月桂冠と聞くと、勝利のシンボルというイメージがありませんか?この月桂冠は、月桂樹という樹木の若枝を編んで作られています。
そのため月桂冠の元になる月桂樹もいいイメージがあるのではと思われがちですが、実際その花言葉には逆の意味合いもあるようです。
そこで今回は月桂樹のポジティブな花言葉からネガティブな意味まで、そしてなぜ月桂冠が勝利のシンボルとされるのか、その由来もご紹介します。
月桂樹とは?
月桂樹というのは名前を聞いたことはあっても、具体的によく知らないという人も多いのではないでしょうか?
ここではまず月桂樹の特徴や名前の由来など、基本的な事柄についてまとめました。
特徴
常緑樹の一種で、大変速いスピードで成長するのが特徴。
苗木の状態から5年もすると高さ3m程度まで伸びます。そのため、植える際は広い場所に選びましょう。
枝葉は独特の香りを有していていることからローリエという香辛料の原料にされる他、果実も健胃薬として利用されることもあります。
月桂樹は余すことなく活用できる身近な樹木なのです。
開花時期
月桂樹の開花時期は、4~5月ごろです。
この季節には黄色い花を咲かせます。上に掲載した画像のように、モコモコとした感じが大きな特徴ですね。
原産
地中海沿岸が原産地です。日本には1906(明治39)年にフランスから伝わりました。
昭和に入ると記念樹として、学校の校庭に植えられることが多かったそうです。母校に木があったという人も多いかもしれませんね。
花の名前の由来
ゲッケイジュ属の学名は「ローラス(Laurus)」といいます。
この言葉はLaurというケルト語で「緑色」という意味が語源です。常緑樹であることから、このように名づけられたといわれています。
ちなみに月桂樹(げっけいじゅ)というのは和名です。
この名前の由来は「月の桂の樹」という中国の言い伝えに登場する樹木からだそうで、フランスから日本に持ち込まれた際に、葉っぱの香りが強く、姿桂に似ている姿がこの中国の言い伝えを想起させ呼ばれるようになった名前です。
花だけでなく木や葉にもある月桂樹の花言葉
ここからは月桂樹の花言葉についてご紹介します。月桂樹は花だけでなく、葉や木全体にもそれぞれ花言葉が付けられています。
月桂樹全体での花言葉
月桂樹を全体での花言葉は、栄光や勝利です。
ギリシア神話からアポロンの聖樹として、神聖視されていました。
光明の神であり、詩歌や音楽などの芸能や芸術の神であったアポロンにあやかろうと古代ギリシアでは、月桂樹から月桂冠を作りました。
勝者や優秀な人にかぶせることで勝利と栄光のシンボルとなったことから、花言葉もここから由来しています。
月桂樹の葉の花言葉
月桂樹の葉には私は死ぬまで変わりませんという花言葉があります。
これは後述しますが、アポロンに関する神話に由来します。
月桂樹の花の花言葉
月桂樹の花につけられたのは、裏切りという花言葉です。
葉や全体と比較して、かなりネガティブな感じですよね。
これはキリスト教が深く関係しています。月桂樹の花は黄色いのですが、黄色というのはキリスト教的にはマイナスイメージのある色なんだとか。
十二使徒の一人だったユダはイエス・キリストを裏切ったことで知られていますが、彼は黄色い色を身に着けていました。
このためキリスト教徒の多いヨーロッパでは、昔から黄色は不吉な色と認識されていました。
月桂樹の花言葉と非常に関係が深いギリシア
月桂樹の花言葉は、ギリシア神話と深くかかわっているといわれています。どのような関係性があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
月桂樹の葉の花言葉にもなった光明神の悲しい物語
月桂樹の葉には「私は死ぬまで変わりません」という花言葉があると紹介しましたね。
これは光明神アポロンの悲しき恋愛神話に由来します。
ある時、アポロンが愛の神エロースをからかったところ、怒ったエロースは河の神の娘のダフネに相手を拒絶する鉛の矢を放ち、続けざまにアポロンには恋をする黄金の矢を放ちました。
結果、アポロンは激しくダフネに求愛するけれどもダフネからは断られ続けるようになってしまいました。
この状況に困ったダフネは、父親に自分の姿を変えるように願い出て、その願いを受け入れた父はダフネを月桂樹へと変化させたのです。
ダフネが月桂樹に姿を変えてしまったという事実を聞いたアポロンは非常に悲しみました。
そして月桂樹に変わってしまったダフネのもとを訪れ、「せめて私の聖樹になってほしい」と頼むと、その月桂樹から葉がアポロンの頭に落ちたのです。
アポロンはその葉っぱから月桂冠を作り、永遠の愛の証として肌身離さず身に着けたのでした・・・。
この悲恋物語により、「私は死ぬまで変わりません」という花言葉が付けられました。
オリンピックで贈られるのは月桂冠ではない
オリンピックの勝者には月桂冠が贈られると思っている人も多いようですね。しかしそれは間違い。
オリンピックの勝者の頭に乗せられるのは、オリーブ冠です。
古代ギリシアの英雄ヘラクレスがオリンピアの庭にオリーブを植え、このオリーブの枝を勝者に与えたのが由来です。
ちなみに月桂冠が与えられるのは、ピューディア祭。
日本人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、古代ギリシアのお祭りで聖地デルポイにて開催されたアポロンの祭儀です。
音楽や詩歌、楽器の演奏、演劇など芸術分野の大会を開催し、優勝者に渡されたのが月桂冠でした。現在でも勝者や平和の象徴という意味合いが、月桂冠にはあります。
まとめ
いかがでしたか?月桂樹は古代ギリシアの神話に由来しています。
月桂樹には木全体なら「栄光・勝利」、葉には「私は死ぬまで変わりません」と基本的にポジティブな花言葉が付けられています。
しかしヨーロッパで不吉な色のシンボルである黄色い花を咲かせる月桂樹には、良からぬ花言葉が付けられていました。