「大統領」と「首相」の違いをご存知ですか?意外と知らない各国のリーダーについて

日本の政治のトップにあたる人物は「首相」と呼ばれますが、アメリカや韓国などでは同じような立ち位置の人物を「大統領」と呼びます。

国によって首相と呼ばれるところもあれば、大統領と呼ばれるところもありますが、両者に違いはあるのでしょうか?

ここでは首相と大統領の違いについてまとめてみました!アメリカの大統領と、日本の首相での職務範囲も違いについても解説しますね。

大統領とは

まずは大統領の定義について。どのような国家で大統領制をとっているかについてもまとめました。

王制ではない国の国家元首の事

大統領は、共和制国家の元首のことです。共和制とは、王制ではない国という意味です。

大統領がいるということは、国王やほかの国家元首は存在しないことになります。

また大統領は、国民投票によって直接選出されるのも大きな特徴ですね。

大統領制の国家

大統領制をとっている代表的な国家について、いくつかピックアップしてみますね。

アメリカ

アメリカは連邦共和制をとっています。

国王制をとっておらず、各州に主権の一部があって統治している国家システムです。そのため国家元首は、アメリカ合衆国大統領というわけです。

ドイツ

ドイツも大統領制をとっています。このように言われると「ちょっと待て」と思うかもしれませんね。

国際会議などの公の場に国のトップとして出席しているのは大統領ではなく首相ですよね。

しかし実際にはドイツにも大統領はいるんです。ただその存在は象徴的な意味合いとなっています。

権限は儀礼的なものしかなく、実質的に行政権を執行しているのは首相となっています。

フランス

フランスも大統領制ですが、他の国とはちょっと違うところがあります。

厳密にいうと、半大統領制といったところでしょうか?

大統領のほかに首相もいて、それぞれ行政権を有しています。しかし権限で比較すると、大統領の方が立場は上となっています。

大統領がまず国民投票で選ばれ、そしてその大統領が首相を任命する形をとっています。

中国

中国も大統領制ですが、元首のことを「大統領」とは呼びませんよね。中国では、「国家主席」と呼ぶのが一般的です。

中国の場合は共産党の一党独裁制をとっています。つまり、共産党の元首と国家主席はイコールの関係です。

首相とは

日本の首相とは、どのような人物を指すのでしょうか?

首相が行政のトップの国もあれば、大統領制の国で首相に任命される場合もあります。

行政のトップ

首相とは、行政機関のトップ(リーダー)のことです。

立法・司法・行政という三権分立の一角を担うのが行政です。

行政は法律の下で政務を行う機関なので、この政務を行う機関のリーダーが首相ということになります。

首相は政府の最高責任者ともいえますが、国家元首すなわち国のトップではないのです。

首相は国民投票では選出されません。まず議員を国民が選出して、この代表者たる議員が投票して首相を選びます。

日本もそうですが、与党の党首が首相に任命される場合が多いですよね。

そして首相の呼び名は、国によってまちまち。

日本では内閣総理大臣といいますよね。これは行政機関を担っているのが内閣だからです。

大統領のいる国にも首相はいる

大統領制の国でも、首相のいるケースは珍しくありません。

主なところは、フランス、ロシア、韓国などが挙げられますね。

大統領と首相はどちらがより権限を有しているのかは、国によって変わります。

例えばロシアや韓国の場合は大統領の方が立場は上で、首相は国内の細かな仕事を担当しています。

ところがフランスの場合、大統領と首相は立場的に互角ですね。

大統領が外交、首相が内政といったように役割分担されています。首脳会議の際には大統領と首相が同席することも多いのだとか。

アメリカと日本で比べる、大統領と首相(内閣総理大臣)の違い

大統領と首相、呼び名は一緒でも国によってその職務権限は異なります。

そこでここからは、アメリカの大統領と日本の首相との違いについてみていきますね。

選ばれ方が違う

アメリカの大統領は、国民投票によって決められます。4年に1回行われる大統領選挙の際には、日本でも広く報道されていますよね。

一方、日本の首相は私たち国民が直接投票して決めるわけではありません。

まず衆議院選挙で国会議員を選出します。そこで選ばれた国会議員が首班指名をすることで、首相は任命されるのです。

国会議席があるか否か

前述したように日本は、国会議員の中から首相が選ばれます。つまり首相は国会に議席を有しているということです。

一方、アメリカの大統領は国民が直接選出します。よって、大統領は議会に議席は有しません

行政権の違い

行政権がどこに帰属するのかも、アメリカの大統領と日本の首相とでは異なります。

アメリカの場合、合衆国憲法第2条に「行政権は大統領個人に属する」と明記されています。

一方日本の場合は、「行政権は内閣に属する」と日本国憲法第65条に記載されています。

行政権は内閣全体の権利であって、首相1人だけが独占するものではないということです。

議会から不信任案を出されるかどうか

日本の場合は、野党を中心に内閣不信任案が提出されることがありますよね。その不信任案が成立すれば、内閣は総辞職もしくは衆議院を解散しなければなりません。

一方アメリカの議会には、大統領への不信任案を出す権利が与えられていません。そのため、アメリカの大統領は4年の任期を全うする人がほとんどです。

議会を解散する権利の有無

日本の首相は、衆議院を解散する権利があります。

不信任案が可決したとき以外にも、大きな政策を実行する前などに国民からのお墨付きをもらうために解散することがあります。

首相がよく「国民の信を問う」というのはこのためです。

一方アメリカの大統領には、議会を解散する権利はありません。いくら議会が気に入らなくても手を突っ込めないわけです。

議会に対して法律案を出す権利の有無

日本の首相は、議会に法案を提出できます。つまり、立法の一部を担うことが可能です。

一方アメリカの大統領には、自分自身に法案を出す権利はありません。

ただし教書を連邦議会に送ることは可能です。教書で議会に自分が望む法律を作るように促すわけです。

また議会が法案を可決しても、大統領には拒否権があります。法案に署名せず拒否権を行使すれば、法律として制定できません。

ただし拒否権を異議の理由を付して発動した場合、議会に差し戻されます。その結果、両院で2/3以上の多数で再度可決すれば、大統領が拒否しても法律になります。

まとめ

行政のトップが国によって「大統領」と呼ばれることもあれば、「首相」と呼ばれることもあります。

国王などほかに国家元首がいる場合には「首相」、いない場合には「大統領」と呼ぶのが一般的です。

またトップでも出来ることと、出来ないことが国によってあることもわかりましたね。

ただし、いずれにしても大きな責任を伴う地位なので、そのプレッシャーは尋常じゃないでしょう。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事