「にやける」は薄笑いをした様子ではない!本来は男性の様子や仕草を示す言葉だった!?

「にやける」という表現は薄ら笑いを浮かべている人に対して用いられるのが一般的だと思いますが、その意味は実は本来違うものでした。
そこで、今回は「にやける」という言葉について見ていきましょう。

一般的な「にやける」の使い方は本来の意味と違う

薄笑いを浮かべた様子を指して「にやける」という言葉を私たちは使いますが、この言葉が持つ本来の意味は異なっています。
実際には別の意味があるようです。

「にやける」と「にやにや」の違い

「にやける」と同じように、薄笑いをしている様子を表現するのに使われる「にやにや」という言葉。
同じように見えますが、言葉のニュアンスが少しだけ違います。

現在「にやける」が使われるシチュエーションは、薄笑いを浮かべている様子に対して用いられることが多いですね。
それに対し、「にやにや」するの場合は意味深な笑みを浮かべたり、悪だくみを思いついたような笑みであったり、下卑たものや相手を小馬鹿にするような笑みに対して使われる表現です。

また、「にやける」は動詞なのに対して、「にやにや」は副詞であり擬態語という違いもあります。

「にやける」は男性の様子や仕草を表す言葉

 

「にやける」の本来の用い方からすると、女性に対しては使われず、男性に対してのみ使われる言葉です。

「にやける」の意味

「にやける」の意味は、男性がナヨナヨしている様子をあらわしています。
そのため、女性に使うということのない言葉でした。

ナヨナヨしているといっても弱弱しい、頼りないということではなく、色気を含んだ男性や色っぽい男性を指す際に用いられていました。

「にやける」の語源

「にやける」という言葉は、男色を指す「若気(にやけ)」という言葉が語源だといわれています。
より古くに「にゃける」という言葉が存在していて、それが由来となったという説もあります。

ちなみに、男色とは男性による同性愛のことです。
特に語源とされている「若気」は、鎌倉時代や室町時代に貴人に従えた少年を指していた言葉です。
男色の対象となるような色気のある少年のことで、同性愛の間で使われるような言葉でした。

そこから、男性が女性のように色っぽい姿をとることを指す言葉として「にやける」が使われるようになりました。

近年ではジェンダーの壁を気にしない方も多くなり、そもそも男性・女性と区別する考え方自体がナンセンスと言われる世の中になってきました。
そのため、「にやける」の本来の使い方は時代錯誤とも言えます。
昔はそのような考え方が浸透していなかったため、生まれた「にやけ」と表現ということになります。

「薄笑い」の意味は間違いとは言い切れない

 

本来「にやける」という言葉には、薄笑いを浮かべる姿は含まれていませんでした。
しかし、現代ではむしろそのような状態を指すことの方が多いですよね。

ですから、時代の変化によって「にやける」の意味も変わってきたと言って良いかもしれません。

多くの人が「薄笑い」の意味で使っている

文化庁の『国語に関する世論調査』の結果から、全世代で大多数が「薄笑いを浮かべる」という意味で使っていることがわかっています。
平成23年度の調査によると「にやける」を、「薄笑いを浮かべている」と回答した人は、76.5%もいたそうです。
その一方で、本来の意味である「ナヨナヨしている」と回答した人は、14.7%しかいなかったとの結果が出ています。

つまり、すでに現代では「にやける=薄笑い」と認識している人がほとんどだということです。

現在は男性に限定した言葉として使われていない

本来は男性の様子を表した言葉ですが、現在は女性に対しても使われるよう時代に合わせてシフトチェンジしてきています。
しかし、そうは言っても多くの辞書ではまだ本来の意味しか掲載されていません。

すでに国民の大半が本来の意味とは別に現代の意味で捉えているため、今後もしかしたら新しい意味として「薄笑いを浮かべた様子」というのが追加されるかもしれませんね。

まとめ

「にやける」という言葉は本来、「ナヨナヨしている」という意味で、女性のような男性を表現するのに使われる言葉でした。
しかし現在では、全世代を通して「薄笑い」を浮かべた様子という、本来の意味とは異なる表現の方が浸透しています。

全世代で見ると76.5%、10代〜30代だけで見るとなんと83%もの人が「薄笑い」という意味で捉えています。

「ナヨナヨした様子」という正しい意味で使うと、相手に伝えたい言葉がむしろ通じない、という逆転現象が起きているといって差し支えないかもしれませんね。

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