
最近になって「忖度」という言葉を頻繁に耳にするようになりましたよね。それも相まって日常会話の中でも忖度という言葉を使う人が増えてきました。
しかし、本来の意味とは違う意味で使っている人も多いと思います。そこで、ここでは「忖度」という言葉の本当の意味をご紹介します。
目次
忖度の意味
「忖度」という言葉の本来の意味は、『相手の気持ちを推し量って配慮すること』だと広辞苑に記載されています。
また、他人の感情を推察してその意図や意向を察知することという説明もあり、現代の日本で聞くような悪い意味はありません。
とても噛み砕いて言えば、忖度とは"空気を読む"という意味がしっくりくるかもしれませんね。
日本人ならではの考え?
実は「忖度」という行為そのものが、日本人ならではのものです。
海外では人の気持ちを推し量って何かをするという習慣があまりなく、日本人のように他人に対しておもてなしの心で気遣いをするという習慣がそもそもありません。
その一方で、日本人は相手の心情まで考慮して何かをしてあげたいと思う人が多く、おもてなしの心が強いです。
事実、2020年の東京オリンピックが決まった際には「おもてなし」という言葉が世界から注目されたほどです。
ただ、外国人にとってはそもそも忖度するという行為自体に馴染みがないため、しっくりくる言葉の表現がなかなかありません。
外国人に意味を聞かれても説明が難しいのは、文化の違いなどから、なぜ忖度という行動をとる必要があるのかと考え方が違うからなのです。
まとめると忖度とは相手の気持ちを推測して行動する、気遣いなどの配慮をすることを意味する言葉なのです。
流行語にもなった単語「忖度」
「忖度」という言葉は、流行語大賞にも選ばれるなど日本人が使う頻度の多くなった言葉です。
そもそもなぜ、流行語に選ばれるに至ったのでしょうか?
なぜ流行語に?
2017年に森友問題と呼ばれる、国有地の売却に関する問題がクローズアップされていた際に、渦中の方の発言の中に「忖度」という言葉がありました。
この時「忖度」という言葉はあまり一般的ではなかったのですが、この発言で注目を浴び、各メディアがこぞってこの「忖度」という言葉を取り上げました。それによって、「忖度」というワードの検索数も急上昇したそうです。
そのような経緯から、2017年に流行語大賞を獲得したのです。
ちなみに同年の流行語大賞はこの「忖度」の他に、「インスタ映え」という言葉も選ばれました。対極にあるような言葉が同時に流行語に選ばれるのですから、流行というのはどこから発生するかわからないものですね!
ただ、森友学園問題で筆者自身も「忖度」を悪い意味を含む言葉だと認識してしまっていたのですが、本来は「忖度」という言葉自体に悪い意味はないのでみなさんもご注意くださいね。
忖度の歴史
「忖度」という言葉には、どのような歴史があるのでしょうか?
ここからはより忖度という言葉について理解を深めるために、その歴史にも迫ってみたいと思います!
元々今のような意味ではなかった
もともと「忖度」という言葉は、中国古典の詩経にも登場するほど古くから使用されていた単語のようです。
日本では、平安時代の菅家後集でも使われていたという記録があります。ただその頃、忖度には「人の心を察する」という程度の意味しかありませんでした。
現代のように「相手のために気を配って何かをする」という意味は含まれておらず、単に他人の心情を読むという意味の言葉だったようです。
英語だと?
英語には「忖度」を表す単語や表現がありません。そもそも忖度という考え方自体が日本特有のものなので、英語での表現がなかなか見つかりません。
そのまま「推測する」という意味で使うならば、以下のような英語が当てはまるかもしれませんね。
・guess
・conjecture
・surmise
ただ、日本で使われているような意味の忖度を表す単語自体がないため、表現が難しいところです。
忖度の使用例
「忖度」は使い方を間違えると恥をかくかもしれません。そこで、以下では忖度の使用例についてご紹介します。
・両親の気持ちを忖度して、進学先も就職先も決めた。
・会議では上司への忖度は無しで、率直な意見を聞かせてほしい。
・彼女は口には出さないけど、週末デートに行きたいと思っているだろう。ここは忖度して自分からデートに誘ってみよう。
忖度という言葉を日常生活で使うことはあまりないかもしれませんが、優しさが込められた使い方から皮肉を込めた使い方まであるため、ぜひ正しく使ってみましょう。
まとめ
「忖度」という言葉を聞くようになって久しい昨今、特に政治経済などの問題ではよくこの言葉が使われています。
現代の日本は不祥事が続く国ということもあり、まだしばらくは忖度という言葉を耳にする日が続きそうですね。