
世界三大珍味の1つとして知られているキャビアは、チョウザメから採れる食材です。
そのチョウザメは、その名前からサメだと思われるかもしれませんが、実はサメではありません。
ここでは、そんなチョウザメがどんな生き物なのかを見ていきましょう。
目次
チョウザメはサメではない

結論を先に言うと、チョウザメはサメではなく「古代魚」です。
名前にサメとあるので勘違いされやすいのですが、実はまったく別の生き物なのです!
チョウザメは古代魚
チョウザメは、サメではなくチョウザメ目に分類される古代魚です。
そもそもサメとは分類学上違う生き物となっているため、サメではありません。
サメとの違い
サメは軟骨魚類なのに対して、チョウザメは硬骨魚類という分類となります。
これは文字通り、骨が軟骨か硬骨かのどちらで構成されているかで分類です。
サメは全身が弾力性の高い軟骨なのに対し、チョウザメはカルシウムを多く含む硬骨で全身の骨が構成された生き物なのです。
生物としての系統がそもそも大きく異なるんですね!
むしろチョウザメはシーラカンスなどと同様、古代魚と呼ばれる生き物で、約3億年前から地球に生息していると考えられています。
サメも昔から地球に生息していましたが、1億年前からといわれていますので、生き物としての歴史も違います。
名前はサメに姿が似ているから
では、なぜチョウザメというあたかもサメの仲間のような名前をしているのかというと、それは動きや姿形やがサメに似ているからです。
チョウザメは胸ビレを水平に広げたまま泳ぐこと、尾ビレが上下非対称なことなど、サメに似ている点が確かに多いです。
サメに似た特徴が多いため、昔の人はサメの一種だと考えたんですね。
では「チョウ」の部分はどこから来たのかといえば・・・、
それは背中や体側に縦一列に並ぶ骨のように硬いウロコからです。
このウロコがまるで蝶が羽を広げているように見えることから「チョウザメ=蝶鮫」と命名されたのです。
チョウザメとは

古代魚の一種であるチョウザメとサメの違いをここまで解説してきました。
ここからは、チョウザメ自体のご紹介をしていきます!
チョウザメの生息地
チョウザメは淡水魚なので、海では生活できません。
ここからしてすでにサメとは違いますよね。
では、どこに生息しているのかというと、主に川や湖で暮らしています。
分布としてはアジアからヨーロッパまで広範囲で、ロシアやアメリカなどの各地にも生息しています。
その種類は世界で約30種にも及ぶといわれており、地域によってその見た目も違ってきます。
日本にもかつては生息していたと考えられているのですが、現在は絶滅してしまったようです。
このチョウザメ、その寿命自体はかなり長く、個体によっては150年ほど生きた例もあるのだとか。
チョウザメにはサメのような鋭い歯は無い
チョウザメは鋭い歯はなく、代わりに2本のヒゲがあります。
これもサメとは大きく違う点ですね。
アメリカのチョウザメは主にプランクトンなどを食べる他、中国のチョウザメは魚を食べることもあります。
その際、ヒゲをセンサーのように使っているわけです。
なお、チョウザメの稚魚や幼魚は甲殻類や多毛類などを食べるのですが、成魚はニシンなどの魚を食べて生きているとわかっています。
・・・言いにくいのですが、稀にアザラシの赤ちゃんを食べることもあるようです。
「キャビア」として知られるチョウザメの卵

チョウザメといえば、その卵巣を塩漬けであるキャビアのほうが知られていますよね。
ここからはそんなチョウザメが持つ美味しいキャビアについてご紹介します。
世界三大珍味の「キャビア」
キャビアとは、チョウザメの卵巣を塩漬けにしたもので、その美しさから「黒い真珠」と呼ばれています。
そして世界三大珍味の一つでもあります。
有名な産地はロシアで、カスピ海と中国の国境沿いを流れるアムール川が特に有名ですね。
特にカスピ海に生息するチョウザメ「ベルーガ」から採れるものが最高級品だとされています。
最近は日本でもチョウザメが養殖されるようになり、国産のキャビアもあります。
この日本産養殖キャビアは質が高いということで、世界からも注目されているようです。
チョウザメは肉も美味しい!
チョウザメの食用箇所というとキャビアとなる卵が注目されがちですが、その肉も国によっては食用として用いられています。
刺身や焼き魚、ムニエルや蒸し料理と一般的な魚同様の調理で食されています。
実は様々な調理方法にマッチする食材で、世界各地で食用とされているのです。
まとめ
チョウザメは、名前にサメとありますが、サメではありません。
数億年前の地球に住む古代魚です。
その卵であるキャビアは世界三大珍味の一つとして有名ですが、実は肉も美味しいと評判です。