「おもむろに動き出した」がどんな動作か分かる?勘違いされやすい日本語『おもむろに』の使い方

いきなりですが、みなさんに質問です。
「おもむろに」とはどのような動作を指す言葉でしょうか。
「急に動ぎだす様子」や、具体的にシチュエーションまで思い浮かんだ人もいるかもしれませんが、それは実は間違いです。

この誤用表現、世代によってはほとんどの人がしているそうですよ。
今回はそんな「おもむろに」という言葉の意味について詳しく解説していきますね。

「おもむろに」とは

まずは、「おもむろに」という言葉はがどのような意味、どのような動作をあらわすのかを見ていきましょう。

「おもむろに」の意味

「おもむろに」という言葉は本来、『ゆっくりと』という意味で、「急ぐことなくゆっくりを動き始めるさま」を表した言葉です。

イメージとしては「ノロい」とは少し異なり、「じっと止まっている状態から動作を徐々に始める」といったニュアンスです。
そこから転じて、「気を持たせておいて」とか「もったいぶって」といった意味合いも含まれます。

「おもむろ」だけで使うのも間違い

人によっては「おもむろ」と使っているかもしれません。
しかし、このような使い方は間違いであり、正式には"おもむろに"と、しっかり「に」をつけなければいけません。

「おもむろ」は、「いきなり・不意に」の意味ではない

 

「おもむろに」の意味として、「いきなり」とか「不意に」と思っている人が結構多いですよね。
しかし、前述の意味の説明でしていない、ということは・・・間違いということになります。

誤用が多い「おもむろに」

「おもむろに立ち上がる」とか「おもむろに走り出す」といったふうに使われることの多い、「おもむろに」という言葉。
このように言われて、どのような動作をイメージするでしょうか?

「いきなり」「不意に」「突然」といった意味を思い浮かべる人が結構多いかもしれません。で
もこれは間違いなのです。

例えば「曲がり角でおもむろに子どもが飛び出してきたので急ブレーキをかけた」といった使い方は間違い。

正しい意味でいうと、子どもがゆっくりした動作で飛び出して来たという矛盾した文章になってしまいます。

70%以上が勘違いしている世代も

「おもむろに」という言葉を間違って理解していたからといって、落胆する必要はないかもしれません。
なぜなら、世代によっては、多くの人が「いきなり」といった意味合いだと思っていることもあるという事が分かっているからです。

文化庁では「国語に関する世論調査」を実施しており、その平成26年度の調査によると、「おもむろに」を本来の意味で使っていた人は全体の44%でした。
「いきなり」や「不意に」という意味だと誤解していた人の割合は実に40%
正しく使っていた人とほぼ同数という結果になりました。

そして年代別で見ると、さらに面白い結果になります!

60代が23.5%、70歳以上は6.9%と年配の世代では間違えて理解している人は少ないです。

しかし若い人は大多数が誤解しています。
10代後半が62.1%で、30代が67.9%、そして40代は66.9%と3分の2前後が間違えている結果なのです。
さらに顕著なのは20代で、なんと70.1%と7割を超える人が間違えて使っていることがわかりました。
いかに多くの人が「おもむろに」の言葉の意味を誤解しているかがわかるデータですよね。

このデータは平成26年と5年以上前のデータなので、この回答した人たちも世代が一つ上がっていてもおかしくありません。
もしかしたら現在の30代の7割の人が間違えた使い方をしている可能性もありますね。

「おもむろに」の類義語

 

「おもむろに」という言葉には似た言葉がいくつかあります。
正しく意味を理解するにあたって、類義語とセットで覚えるのもいいかもしれませんね。

やおら

「やおら立ち上がる」といった感じで使われる、「やおら」という言葉もゆっくり動くという意味があります。
意味だけでなく誤用されやすいところも、「おもむろに」との共通点ですね。

先ほど紹介した「国語に関する世論調査」の中で、「やおら」を正しく理解していた人は39.8%にとどまりました。
一方で「急に」や「いきなり」と意味を誤解していた人は30.9%。誤解の仕方も「おもむろに」に近いですよね。

悠々と

「悠々と」も、「おもむろに」の類義語と思っていいですね。
「ゆったりと落ち着いたさま」とか「十分に余裕のあるさま」といった意味合いです。

ゆるりと

「ゆるりと」も、「おもむろに」の類義語です。
その意味は「急がずにゆっくりと行動するさま」であったり、「あくせくせずにゆったりとした心境でいること」だったりします。

まとめ

 

「おもむろに」という言葉、その意味を全く逆の意味だと認識している人は案外多いみたいですね。
なぜ多くの人が誤解したのか、これは一説には語感が関係しているのでは?といわれています。
「おもむろに」と「思いっきり」の語感が似ていることから、「突然」という意味なのだろうなどの誤解が生じてしまったのかもしれません。

「おもむろに」は、ひらがな表記されることが多いですよね。
これを漢字表記にすると「徐に」となります。

「徐々に」の「徐」ですから、これならゆっくりした感じだとイメージしやすいですよね。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事