北海道に古くから居住するアイヌ民族。
独自の文化を持ち、その言語も日本語とはまた異なるものです。
しかし、意外なことにアイヌ語が日本語としてそのまま定着している事例もあります。
そこで、ここでは意外と多いアイヌ語が起源の言葉について解説します!
目次
「アイヌ語」とは
アイヌ語とは、アイヌ民族が使う言語です。
本州以南の地域とは隔絶された島国だったことから、北海道に住んでいたアイヌ族のみが使っていた言葉といえます。
アイヌ民族の言語
アイヌ語は言語学的には、孤立した言語と呼ばれる分類の言葉です。
本来、言葉は様々な他の言語と関係性を築くことで、時代に合わせて独自の変化・進化を果たしていきます。
しかし、アイヌ語は現存する他の言語との関係が立証されていない言葉です。
また、祖語となる言語の系統が不明な言語なので、原則としてアイヌ民族の間でしか通じない言葉となっています。
かつての北海道には強力な支配者や政府が存在していなかったため、ひとくちにアイヌ民族といっても、地域ごとに独自の進化を果たしていることもあります。
特定の文字表記がない
現代の日本語が入って近代化される以前の伝統的なアイヌ社会においては、文字表記というものがありませんでした。
そのため、音のみでコミュニケーションをしていたとされています。
いまではカタカナで表記されることもありますが、それは落とし込んだものであってオリジナルではありません。
とはいえ、アイヌ語を後世に伝えるため、北海道アイヌ協会では教科書などにラテン文字表記を使用していたりもします。
例えば、アイヌは「aynu」というラテン語表記となります。
様々なアイヌ語一覧
アイヌ語は無数にあるのですべてをご紹介することはできません。
ここでは、知名度の高いアイヌ語から現代の日本語にも影響を与えているアイヌ語などをご紹介します!
有名なアイヌ語一覧
まずは、有名なアイヌ語を一覧にしてご紹介します。
カムイ
アイヌの世界では、「神」のことを「カムイ」と呼びます。
アイヌの世界では、野生動物の多くは神による人間への贈り物だと信じているそうです。
そんな命を与えてくれる存在をカムイと呼んで崇めているわけです。
コロポックル
アイヌの伝承には「コロポックル」と呼ばれる小人が登場します。
フキの下に住む妖精とされています。
このコロポックルから、カルビーから北海道限定商品として発売されているスナック菓子「じゃがポックル」の名前は来ています。
ルイペ
アイヌ語の「ルイペ」とは、凍らせた鮭のことです。
旨味が凝縮されたルイベは、アイヌ民族にとってもご馳走だったといわれています。
コタン
アイヌ語では、集落のことを「コタン」と呼びます。
造住宅を密集したコタンが各地にあったと考えらています。
アイヌ語由来の地名一覧
そして、ここからはアイヌ語由来の地名についてご紹介します。
サッポロ
北海道の道庁所在地となっている札幌は、もともとアイヌ語で「サッポロペッ」と呼ばれる地名でした。
サッが「渇いた」、ポロが「大きい」、ペッが「川」をそれぞれ意味していたと考えられています。
オタル
札幌近郊の観光都市として知られる小樽は、もともとアイヌ語で「オタルナイ」と呼ばれる土地でした。
オタが「砂」、ルが「融ける」、「ナイ」が川を意味しているとされます。
ノボリベツ
日本屈指の温泉地として知られる登別もまたアイヌ語です。
この地は、かつて「ヌプㇽペッ」と呼ばれていました。
ヌプは「水の色の濃い」を意味し、ペッが「川」を指しています。
シレトコ
世界遺産としても知られる知床は、アイヌ語では「シリエトク」と呼ばれる地名でした。
シリが「地面の」、エトクが「出っ張った先端」、知床が半島になっているという特徴を捉えた名前ということになりますね。
日本語になったアイヌ語一覧
最後に、日本語になったアイヌ語をご紹介します。
シシャモ
シシャモはびっしり詰まった魚卵が美味しい魚ですが、これはもともとアイヌ語だったといわれています。
ラッコ
ラッコは動物園のアイドルとして全国各地で見られる動物ですが、これもアイヌ語が語源だそうです。
トナカイ
クリスマスになると大勢の子供たちがお世話になるトナカイも、実はアイヌ語に由来しています。
ハスカップ
木の上にたくさんなるものという意味のハスカップも、実はアイヌ語です。
ノンノ
ノンノはファッション雑誌として知られていますが、これは「花」を意味するアイヌ語にちなんでいるといわれています。
まとめ
アイヌ語は消滅しつつある言語ですが、そのまま日本語になった言葉もあります。
地名にも残っていますし、ラッコのように他の名前が付けられることのないだろう生き物の名前がアイヌ語という例もあります。
そういう意味ではアイヌ語がこれから完全に消滅してしまうということはないのかもしれませんね。