バブルリングを披露し、水族館でもとても人気がある白いイルカには、「スナメリ」と「シロイルカ」の2種類います。
今回はその2種類の白いイルカ、「スナメリ」と「シロイルカ」の違いを見ていきましょう
目次
生息地の違い
スナメリとシロイルカは、どちらも体が白いイルカですが、生息地が異なります。
スナメリの生息地
スナメリはインド、中国、インドネシア、日本などアジアの沿岸海域に生息しています。
主に海水域に生息していますが、淡水である中国の長江でも生息が確認されています。
中国では、長江にいることから「江豚」と呼ばれることもあります。
スナメリは綺麗な海でしか見ることができないのですが、日本では大阪湾、関西空港周辺で確認されています。
シロイルカの生息地
シロイルカは別名「ベルーガ」とも呼ばれており、北極海、ベーリング海北部、オホーツク海、セントローレンス湾などに生息しています。
夏になると湾、河口、浅い入り江などに移動し、出産や子育てをします。
夏場の生息域と通常の生息域は遠く離れていますが、母シロイルカは毎年同じ場所に戻ってくるとされています。
夏場の生息域が氷で覆われ始めると、冬場の生息域へ移動を開始し、冬場は浮氷が成長する方向へ従って南下していきます。
体格の違い
スナメリとシロイルカは体格も異なります。
スナメリよりもシロイルカの方が大きいようです。
スナメリの体格
スナメリは体長1.5m~2m、体重が50kg~60kgほどで、イルカが属すクジラ類の中では最も小型の種です。
成体は全身が明るい灰色で、生まれた直後には背の隆起付近は灰色、他の大部分は黒色です。
生後4~6ヶ月ほどまで成長すると、全身が灰色になります。
シロイルカの体格
シロイルカは、オスで体長3.5m~5.5m、メスは3m~4.1mほどとスナメリに比べてかなり大きいです。
また体重もオスは1,100kg~1,600kg、メスは600kg~1,200kgほどになります。
口元の違い
スナメリとシロイルカの大きな違いは、体格以外に「口元」にもあります。
口元を比較してみればどちらがスナメリで、どちらがシロイルカかがすぐに分かるでしょう。
スナメリの口元
スナメリの口元にはクチバシが存在しません。
クチバシがない白いイルカが、スナメリです。
シロイルカの口元
シロイルカは、他のイルカと同様にクチバシがあります。
また、前頭部の出っ張りがあります。
クチバシがある白いイルカが、シロイルカになります。
社会性の違い
スナメリとシロイルカは社会性にも大きな違いがあるようです。
スナメリは社会性が低く、シロイルカは社会性が高いといわれています。
スナメリの社会性
スナメリの社会性は低く、1~3頭ほどの少数で行動する場合が多いです。
ただし、一時的に小さな群れが集まることで、15頭ほどの群れを作り行動することもあります。
シロイルカの社会性
シロイルカは非常に社会性が高く、一般的に同年代の同性で群れを作って行動します。
子連れの群れやオスの成獣の群れなど、15~200頭ほどで群れを形成します。
分類の違い
スナメリとシロイルカはどちらもイルカの仲間ですが、分類上の違いがあります。
スナメリの分類
スナメリは、クジラ目ネズミイルカ科スナメリ属に属している小型のイルカです。
スナメリ属はスナメリ1種からなっています。
シロイルカの分類
シロイルカは、クジラ目イッカク科シロイルカ属に属しているイルカです。
シロイルカ属はシロイルカ1種からなっています。
他にもある、スナメリとシロイルカの特徴
ここまでスナメリとシロイルカにたくさんの違いがあることが分かりましたが、それぞれの特徴をもう少しご紹介しましょう。
スナメリの名前の由来
スナメリという名前は、砂の中に隠れている魚に向かって口から勢いよく水を吹く姿が砂をなめているように見えることから、「砂をなめる」が「すななめり」になり、そして最終的に「スナメリ」となったとされています
また、砂を滑るように泳ぐ姿から「スナメリ」と呼ばれるようになったという説もあります。
シロイルカの前頭部と鳴き声
シロイルカの身体的特徴といえば、前頭部の出っ張り部分ですね。
この出っ張りは「メロン」と呼ばれる脂肪細胞で、他のクジラ類やイルカと比べても、丸く柔らかくなっています。
そして、ある程度は自由に形状を変えることができます。
また、シロイルカは様々な鳴き声を出すことでも有名です。
音声が空中からでも聞こえるため、「海のカナリア」という異名も持っているんですよ。
まとめ
スナメリとシロイルカは同じ白いイルカですが、体格や生息地などに違いがあります。
体が小さく、クチバシがないのが「スナメリ」で、体が大きく、前頭部にでっぱりとくちばしがあるのが「シロイルカ」という見分けポイントがあります。