相撲の行司にはどうやってなる?給料や仕事内容に関しても解説

相撲の取り組みの際、力士と共に土俵に上がるのが「行司」ですよね。相撲にあまり詳しくない人でも、行司という名前は聞いたことがある方も多いでしょう。

ところで行司として活躍している方々は、どうやって行司となったのか気になりませんか?今回は「行司」という仕事に対してスポットライトを当ててみます。

行司のなり方だけでなく、給料やどんな仕事をするかについても見ていきます。行司は相撲の取り組みのジャッジをしているだけと思われがちですが、実際には多岐にわたって仕事をしていますよ。

行司とは

そもそも「行司」とは、どんな人を指すのでしょうか?その歴史を含め、まずは行司の基礎知識についてご紹介しますね。

歴史

相撲の歴史は古く、平安時代までそのルーツはさかのぼります。当時は相撲節会と言って、宮中行事として行われていました。

いったん相撲節会は廃止されますが、武家相撲という武士の間で行われる相撲が脈々と受け継がれていました。

そして、天正年間には織田信長が上覧相撲を催していました。

「信長公記」と呼ばれる信長の一代記があるのですが、その中で上覧相撲に関する記述があります。

その一説に「行事は木瀬藏春庵、木瀬太郎太夫の両人なり」があります。

当時は「行事」という漢字が用いられていますが、これが"行司の始祖"と考えられています。

階級

力士に横綱や大関などの番付があるように、行司も階級が何段階かに分かれています。

上から順番に立行司、三役格行司、幕内格行司、十両格行司、幕下格行司、三段目格行司、序二段格行司、序の口格行司となります。

格が上がると、より上の番付の力士の取り組みを仕切れるわけですね。

また、行司の名前というと、「木村庄之助」や「式守伊之助」という名称を耳にしませんか?

これらはそれぞれ立行司の看板で両方とも立行司ではありますが、木村庄之助が結びの一番をさばきますので、より格上と見られています。

相撲審判だけじゃない仕事内容

行司というと、相撲の審判をしている人というイメージがありますよね。しかし実際の仕事は、審判のほかにも多岐にわたります!

例えば幕内力士が土俵入りしますよね。この時の先導役を担当するのが行司です。

また、勝敗が決まると決まり手の場内アナウンスが流れますよね。こちらを担当しているのも行司ですよ。

翌日の取り組みを書いたり、土俵上で紹介したりするのも行司です。さらに勝敗の記録も行司の役目です。

さらに、本場所以外でも仕事はたくさんありますよ。

番付や取組編成会議における書記も行司の仕事です。他にも部屋の雑務なども加わりますから、実は行司はとっても多忙なんです!

行司になるには?

力士になりたい場合は、相撲部屋に入ればいいというのは何となくわかります。

しかし、行司になりたい場合はどうすれば良いかわかる人はあまり多くないでしょう。ここでは、そんな行司になる方法についてまとめました。

雇い主はだれ?

行司を採用するのは、日本相撲協会です。ただ、行司になるための資格試験のようなものはありません。

行司になる条件は、義務教育を修了している19歳までの男性です。土俵は女人禁制とされているので、女性は行司になれません。

また、行司の定員は45名で65歳で定年というのが決まっています。

欠員が出た場合にのみ募集されるため、行司になるのは狭き門だと思ったほうがいいかもしれませんね。

新規採用されるのは、大体毎年1人いるかいないかくらいのレベルだそうです。

まずは相撲部屋

最終的に行司を採用するのは、日本相撲協会です。ただし、審査を受けるためには相撲部屋からの推薦が必要不可欠です。

ということは、まず行司になるためには相撲部屋に入らないといけません。相撲部屋に入門したうえで3年間、修行しなければなりません。

この3年間の修行期間中、若い力士と一緒になって部屋の雑用をこなします。

一方で、相撲の歴史や相撲字の勉強などをします。さらに勝敗の見極めなどを学び、行司として必要な知識や技術を習得するわけですね。

もし行司になりたければ、どこかの部屋に入ることが先決です。

そして行司になった後も引き続き部屋に所属し、打ち上げや激励会の司会などの業務もこなしていきます。

本気で行司になりたい場合は、まず相撲部屋のホームページなどをチェックしてみましょう。新弟子の募集以外に行事の募集をしている場合がありますよ。

行司の給料

行司の仕事に興味のある人は、やはりどのくらい稼げるか気になりますよね。行司の給料システムについて、以下で詳しくご紹介します。

番付ごとの月給制

行司には力士同様階級のあることは別項でご紹介しましたね。

行司の給料の場合は、番付によって決められています。月給で見ると序の口格が1万5,000円〜2万円未満です。

以下同様に、このように決められています。

・序二段格:2万円〜2万9,000円未満
・三段目格:2万9,000円〜4万2,000円未満
・幕下格:4万2,000円〜10万円未満
・十両格:10万円〜20万円未満
幕内格:20万円〜36万円未満
三役格:36万円〜40万円未満
立行司:40万円〜50万円未満

このほかに衣装代や諸手当がついてくるシステムです。手当まで加えると、同じ年代なら企業で働くサラリーマンとあまり変わらない給料になります。

立行司になれば、おおよそ年収1,500万円程度は給料としてもらえるそうです。

成績によって昇格

昇格するには成績の良し悪しをもとにして、9月場所後に開催される番付編成会議で審議し、理事会で決定されます。そして昇格は翌年1月から適用されます。

昇格に関して勝負判定のほかにも土俵における態度の良し悪し、指導力、日常の勤務状況など総合的に加味して判断されます。

かつては年功序列方式だったようですが、今では能力主義で昇給や昇格が判断されています。

ちなみに降格処分もあり、一般的には幕下格行司と十両格行司は年9回、三役格行司と幕内格行司は年6回以上差し違えをしてしまうと一枚降格してしまうそうです。

さらに人場所で3回以上差し違えを行った場合、一枚降格処分になる原則もあるにはありますが、実際はそこまで厳格ではないみたいですね。

ちなみに立行司は、短刀を差しています。これは軍配差し違えになった時に切腹する覚悟があるという意味です。

しかし、実際に差し違えをしても切腹することはないのでご安心ください。

ただ、日本相撲協会に進退伺を出すのが慣例になっています。それだけ行司にとって軍配を誤ることは致命的なミスなわけですね。

行司の名前

行司の名前で有名なのは、木村庄之助と式守伊之助ですよね。いずれも立行司の大看板です。

その他の行司にも名前がありますが、「木村○○」と「式守○○」ばかりです。

実は江戸時代までにはいろいろな流派があったのですが、現在残っているのは木村家と式守家です。このため、木村か式守姓を名乗る行司が多いわけですね。

どちらを名乗るかは所属した部屋のルールにのっとります。ちなみに立行司になると、まずは式守伊之助を名乗ります。

そして木村庄之助が引退した時に、スライドで式守伊之助から木村庄之助の名前を引き継ぐのが伝統的なルールになります。

まとめ

行司というと、相撲の審判というイメージが一般的ですよね。しかし実際のところ、土俵に上がる以外にも日々いろいろな仕事をこなしていかないといけません。

また、行司はそう何人も採用されるものではないです。まずは相撲部屋で下積みを積んで、そのうえで推薦してもらって審査を受けて合格しなければなりません。

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