時代劇などで「このひょうろくだまが!」と叱りつけるシーンを見たことがあるという人もいると思います。
その言葉のニュアンスから叱られていることはわかるのですが、よく考えたら意味が伝わりにくい不思議な言葉ですよね。
この「ひょうろくだま」という言葉、間抜けな人を罵倒する際に使う言葉であり、相手を蔑む意味を持っています。
そこで、ここでは不思議な言葉「ひょうろくだま」の意味や由来について見ていきましょう。
目次
「ひょうろくだま」とは
ひょうろくだまという言葉は、意味を知っていないと全容が見えてこない不思議な言葉ですよね。
まずはひょうろくだまがどのような意味を持つのかについて見ていきましょう。
漢字表記は「表六玉」
漢字表記では「表六玉」となります。
間抜けなことや間抜けな人を指しており、主に相手を罵倒したりする際に使う言葉です。
愚かな者のことを指して呼ぶこともあるため、決して良い意味で使われることはありません。
相手を罵る際に使う悪い意味しかない言葉です。
そのため、安易には使わない方が良い言葉となっています。
「ひょうろくだま」の類義語となる古い言葉
ひょうろくだまは古い歴史を持つ言葉ですが、類義語となる語句も古くからある言葉が多いです。
たわけ
「たわけ」は、愚か者や馬鹿者を指す言葉です。
ふざけることや馬鹿な行動を意味する「戯く(たわく)」から生まれた言葉とされています。
また、遺産相続の際に田畑を子供たちで分けていくことで、代を重ねるごとにそれぞれの面積が小さくなっていき最終的に家が衰退する様子「田分(たわけ)」から生まれたともいわれています。
田畑をそれぞれが相続すると家が衰退してしまうので愚かな行為だ、という意味合いから来ているとされています。
うつけ
「うつけ」も愚か者や馬鹿者を意味する言葉で、戦国時代に突拍子もない戦術で時代を切り拓いていった戦国大名、織田信長を評価する際にも使われていた言葉です。
うつけとは「からっぽ」を意味する言葉で、そこから何も考えていない人や常識のない人を指す言葉となりました。
若い時の織田信長は非常識な格好で常識外の行動を重ねていたとされますので、その出で立ちと様子から「うつけ」と呼ばれていたと思われます。
二本棒
「二本棒」は、鼻を垂らした子供を表す言葉から来ました。
鼻から垂れる2本の鼻水を棒に例えたことから来ているとされています。
子供のように幼稚だと、人を嘲笑う表現する際に用いられてきました。
表六玉の3つの由来
ひょうろくだまという言葉の由来については諸説あります。
ここでは、その中から3つの説をご紹介します。
亀を由来とする説
ひょうろくだまの「表六」とは、亀の手足と頭と尻尾を数えた6本を表しているとされています。
亀は危険を感じると甲羅で身を守るのですが、中には身の危険が迫っていても特に意に介した様子もなく、手足や頭を隠さないでそのままの姿勢もいるものもいます。
そんな亀を間抜けと揶揄したのが始まりとされ、ひょうろくだまという言葉が生まれた、とする説があります。
花火が語源とする説
ひょうろくだまは「瓢六」と表記することもできることから、花火の一番小さい玉「瓢六玉」が語源となっているという説もあります。
逆に一番大きな玉は「瓢一」と呼ばれ、火薬によって爆発した際の大きさが段違いです。
狩人の名前から来ている説
その昔「兵六」という狩人が、傷を負った熊を狩りました。
しかし、この狩りについて兵六は後悔の念に襲われてしまい村を去っていきました。
ここから「曲がった鉄砲玉」という意味でどこに行くかわからない人や物事のことを「兵六玉」と表現するようになりました。
そしてその後、「どうなるか分からない様子」が転じて「何を考えているのか分からない、何も考えていない」という意味になったといわれています。
しかしこの「兵六」という人物が由来という説に関しては、昔話的な逸話でしかないともいわれています。
同じく亀が語源とされる「蔵六」
他にも亀が語源となったとされる古い言葉はあります。
例えば「蔵六」は亀の異名のことであり、この言葉自体が亀から来ているとされています。
4本の手足と頭と尻尾を持つ亀が甲羅の中にそれらを隠す姿が由来となっているそうです。
ひょうろくだまの由来とされる亀とは真逆な様子から生まれた言葉という事ですね。
まとめ
ひょうろくだまという表現は現代ではほとんど使われませんが、それでも時代劇をはじめとする映画や漫画、アニメなどの映像作品では耳にすることもあります。
意味については知らない人も多いですが、あまり綺麗な言葉ではないので、他人に向かって口にすることのないようにしましょう。