頑張りどころなどで「ここが正念場だ」というような言葉をよく耳にしますよね。
しかし、よく考えてみると正念場という言葉は、どこから生まれた言葉なのでしょうか。
結論を先に言うと、この由来は歌舞伎や浄瑠璃などのお芝居にあったとされています。
さらにさかのぼると、お芝居で使われるようになった経緯は仏教にあるんだとか。
そこでここでは、正念場という言葉について、その意味や類義語、その成り立ちなどについて見ていきましょう。
目次
「正念場」とは
まずははじめに、正念場という言葉を知るべく、ここではその意味や類義語について見ていきましょう。
「正念場」の意味
正念場は、真価を問われる大事な場面のことを意味する言葉です。
人生が左右されてしまうような重要な局面を指し、何が何でも頑張らないといけないというようなニュアンスを含む言葉です。
本人が真価を表すべき最も大事なところという意味もあり、ここぞという大切な場面のこと全体を指すこともあります。
映画やドラマなどの映像作品で、主人公が持っている本当の力を発揮させる場面やクライマックスシーンを指す言葉としても使われていますね!
「正念場」の類義語
では、この正念場の類義語について見ていきましょう。
類義語としては「大一番」「胸突き八丁」などがあげられますよ。
大一番
「大一番」とは、相撲などで優勝を左右するような試合や勝負のことを指す言葉です。
みんなが注目しているといった場面を指すことが多く、ボクシングなどで例えると普通の試合というよりはチャンピオン戦や防衛戦のようなマッチを指すことが多いです。
選手目線からはターニングポイントになるだろう試合や勝負を指して用いられます。
胸突き八丁
「胸突き八丁」は、富士登山で頂上までの最後にある「8丁(約872m)」の道のりから生まれた言葉です。
この急斜面の長い坂道から転じて、物事を成し遂げる過程の険しい道のりを表すようになりました。
まるで胸を突かれたように息ができなくなるほど、苦しい状況を指す言葉でもあります。
「正念場」の語源
芝居用語として使われた「性根場」が正念場の由来とされますが、この「性根場」自体は仏教用語の「正念」から生まれたとされます。
ややこしいですが、「正念」から「性根場」を経て「正念場」になったというわけですね。
由来は芝居用語「性根場」から
もともとは正念場ではなく「性根場」と書かれていました。
この言葉は、歌舞伎や浄瑠璃などの芝居用語で使われていた言葉だとされています。
お芝居における主人公の本来の性格や本質つまり性根が分かるシーンを指していました。
この場面は、舞台で最大の見せ場になります。
そこから、大事な局面という意味で使われるようにり、現在の「正念場」になったとされます。
原型は仏教用語の「正念」から
性根の読みは「しょうね」もしくは「しょうこん」で、「しょうねん」ではありませんよね。
ではなぜ「しょうねんば」と呼ばれるに至ったかというと、そこには仏教の言葉「正念」の影響があったとされます。
正念とは仏教用語の1つで、悟りに到達するまでの基本的な実践目得の1つを指します。
雑念を払い仏道を思い念ずることも意味し、真理を思うことで修行の邪魔となる雑念に乱されない信心という意味も持っています。
仏教用語である「正念」と、人間の本質「性根」の発音が似ていることから用いられるようになったとされます。
他の「○○場」との違い
日本語には「正念場」のように「○○場」と呼ばれる言葉がいくつかあり、中には意味も似たものがいくつかあります。
そこでここからは、他の「場」と付く言葉との違いについて簡単に解説します。
山場
日常会話でも登場する「山場」。
これは、最も盛り上がった重要な場面のことを指す言葉です。
物語などでクライマックスを迎えることを意味しています。
最大の見せ場や緊迫する瞬間を指すことが多いですね。
土壇場
「土壇場」は、究極の決断を迫られるような最後の場面のことを指します。
切羽詰まった状況を指すことも多い言葉です。
江戸時代ごろまで行われていた首切りの刑のために築かれた土の壇のことを指していたそうです。
そこから転じて、人生が左右されるような局面のことを指すことが多くなったとされています。
修羅場
「修羅場」は、血みどろの激しい戦いや争いが行われる場所のことです。
現代では不倫や浮気などがバレた際など、痴情のもつれなどが複雑に絡み合っている際に使われることの多い言葉となっています。
もともとは歌舞伎や浄瑠璃で激しい戦いや争いを演じられる場面で使われていた言葉です。
修羅とは阿修羅のことで、かつて阿修羅と帝釈天がインド神話の神アスラとインドラだった時代に激しい争いを行った場所を指します。
この言葉も由来はお芝居にあり、更にさかのぼると仏教から生まれた言葉です。
まとめ
「正念場」は、ここ一番の頑張りどころで使われることの多い言葉です。
その由来や語源は、お芝居にあるとされています。
芝居用語では「性根場」とされており、仏教用語の「正念」と発音が似ていたことから「しょうねんば」と読まれるようになったとされます。