お地蔵様のことを子供たちに教える際、「ののさま」という呼び方をすることがあります。
これはいわゆる赤ちゃん言葉、幼児語のひとつなのだとか。
この幼児語である「ののさま」は、お地蔵様の他にも神や仏、太陽や月などもあらわすそうです。
そこでここでは、お地蔵様をはじめ尊いものを意味する「ののさま」について解説します。
目次
「ののさま」はお地蔵さまだけではない!
「ののさま」と言えば、お地蔵様のことだと考える人もいるかと思います。
ところが実際のところでは、尊いもの全般を指すことがあります。
まずはそんな「ののさま」の意味について解説していきますね。
「ののさま」の意味
「ののさま」は、お地蔵様の意味で使われることが一番多いです。
しかし本来は、太陽や月、神や仏などを意味する言葉でもあります。
「のの」というのが、尊いものを全般的に意味するのです。
「ののさま」の由来
なぜお地蔵様をはじめ、尊いものを「のの」と呼ぶようになったのかははっきりしていません。
一説には、観音様の「のん」が訛化したものとされています。
「ののさま」は幼児語
「ののさま」という言葉は、いわゆる幼児語となります。
お墓参りや仏壇を拝む作法などを教える際に用いられる幼児語です。
現在でも仏教関連の幼稚園や保育園などで用いられることがあります。
寺院などを母体とする教育施設では、仏教童謡「ののさまのうた」などでも耳にする機会があるかもしれません。
「ののさま」だけではなく、人によっては「ののさん」や「のんのんさん」などという事もあります。
地方によっては「ねんねさん」や「にょにょさん」という別称もあるのだとか。
幼児語って何?
そもそも幼児語とはどういう言葉なのかということも解説していきましょう。
幼児語とは
幼児語とは、乳幼児期の会話に用いられる赤ちゃん言葉のことです。
これらは教育課程で使うことから育児語とも呼ばれたりもします。
まだ口や喉や舌が発達しきっていない幼児は、発音できない言葉も多いです。
そこで、発音しやすい音で構成される幼児語が用いられます。
また、周囲の人間が語り掛ける言葉でもあります。
幼児語は、同じ発音を繰り返したり、反復させたりするものが多いです。
代表的な幼児語
代表的な幼児語をいくつかご紹介します。
ここでご紹介するもの以外にも幼児語はあるのですが、頻繁に使うものを特にまとめてみました!
・ニャンニャン:猫
・ワンワン:犬
・コッコ:にわとり
・ブーブー:車
・ネンネン(ネンネ):寝る
・ウマウマ(マンマ):ご飯
・オンモ:(家の)外
ニャンニャンやワンワン、コッコなど、動物はその鳴き声から来ています。
これも幼児語「まんまんちゃん」
「ののさま」と同じ使われ方をする幼児語に「まんまんちゃん」があります。
この言葉を幼児語として使うのは主に関西周辺とされています。
この「まんまんちゃん」は、「まんまんさん」という使われ方もあります。
そして、言葉の後ろに「あん!」や「あっ!」といった掛け声を続きます。
この「まんまん」とは、お経の南無阿弥陀仏のことです。
そして、それに続く「あん!」もしくは「あっ!」はあな尊しを意味します。
たしかに舌もうまくまわらない幼児では、「南無阿弥陀仏、あな尊し」なんて言えないだろうという事が想像できます。
神も含む尊いもの全般を指す「ののさま」とは少し違いますが、似たようなところでつかわれる幼児語となっています。
しかし、お盆など先祖供養などで仏壇やお墓に手を合わせる機会というのは、幼少期から訪れることもあります。
その際に、「まんまんちゃん、あん!」という言葉を教えるわけですね。
まとめ
「ののさま」は、幼児語いわゆる赤ちゃん言葉のひとつで、「お地蔵様」を指す言葉とされています。
しかし、本来は神や仏なども意味しますし、その他の太陽や月も意味するのだとか。
同じような場面で使う幼児語に「まんまんちゃん」というのもあります。
こちらは「南無阿弥陀仏」を意味し、仏壇などを拝む際の幼児語となっています。
そのあとに「あん!」や「あっ!」などが続くのですが、こちらは「あな尊し」という言葉から来ているのだとか。