災害の一種、「台風」と「ハリケーン」、「サイクロン」にはどんな違いがある?

災害大国日本に毎年のように訪れる台風ですが、海外では同じような気象現象をハリケーンやサイクロンと呼んでいますよね。
これらに共通しているのは発達した熱帯低気圧ということなのですが、明確な基準というのもしっかり決められています。

そこでここでは、日本独自の基準で決められている台風の条件、そしてハリケーンやサイクロンとの違いについて見ていきましょう。

台風・ハリケーン・サイクロンの共通点

 

台風もハリケーンもサイクロンも厳密には同じものです。
これらはいずれも熱帯低気圧の強さが増したものとされています。
なお、似たようなものにタイフーンという言葉があるのですが、これらの意味も同様のものです。

熱帯低気圧とは、熱帯・亜熱帯地方で発生する低気圧のこととなっています。
これが勢力を拡大することで、台風やハリケーンやサイクロンとなり、人間の生活に大きな影響をもたらすほどの災害となるわけです。

なお、台風という名称が使われるのは日本だけであり、基準も日本独自のものとなっています。

詳しくは後述しますが、日本では最大風速が秒速17.2m以上にまで発達した熱帯低気圧を台風と呼びます。

それぞれの名前の由来

 

台風とハリケーン、そしてサイクロンはそもそもどうしてこのような名前で呼ばれるようになったのでしょうか。
ここからはそれぞれの名前の由来を見ていきましょう。

台風

台風は、中国語で激しい風を意味する「大風(タイフーン)」が語源とされます。

この大風がヨーロッパで音写された際、「タイフーン」と呼ばれるようになりました。
このタイフーンが日本に伝わったて「台風」という字が当てはめられたのです。

中国から日本に伝来した言葉は多くありますが、台風の場合ヨーロッパ経由という珍しい伝わり方をしました。

ハリケーン

ハリケーンは、スペイン語「ウラカーン」が転訛されたものです。
ウラカーンとはカリブ海を含めたマヤ文明、そこに伝わるマヤ神話の中に登場する「風と嵐を司る創造神」です。

このマヤ神話に登場する神からとぐろを巻くという意味で「ウラカーン」というスペイン語が生まれ、後に英語に転化されたとされています。

サイクロン

サイクロンは、ギリシャ語で「回る」「旋回」などを意味する言葉「Kuklos」が由来となっています。
これは台風の特性にそのまま当てたもので、風が回ったり旋回したりする様子をサイクロンと呼んだとされています。

最初は同じくギリシャ語で「とぐろを巻く蛇」という意味を持つ別の単語「Kuklws」を由来に、と発案者は考えたようです。
しかし、あまりに限定的過ぎる単語なので「Kuklos」由来の言葉という事にしたとされています。
都合よくどちらも非常に似たスペルなので軌道修正しても問題なかったようですね。

発生場所による違い

 

台風とハリケーンとサイクロン、これらは発生場所によってその呼び名が変わってきます。
そのため、ここではどこで発生した場合の名称なのかを見ていきましょう。

台風

北西太平洋・南シナ海が発生源で発生するものは、台風と呼ばれます。
ただし、前述の通り台風は日本だけの呼称であるため、海外ではその規模によってタイフーンやサイクロンと呼んだりします。

ハリケーン

発生源が北大西洋・北東太平洋ならハリケーンとなります。
ハリケーンは、主に北大西洋や北東太平洋の他、カリブ海やメキシコなどでも発生するもので、中には巨大災害に繋がるほどの規模のものも発生します。

サイクロン

インド洋・南西太平洋を発生源とするものは、サイクロンです。
サイクロンはインド洋や南西太平洋の他、ベンガル湾やアラビア海などで発生したものも該当します。

最大風速の違い

 

ではどうやって巨大な風の塊を呼び分けているのでしょうか?
その基準の1つとなってくるのが、最大風速と呼ばれる速度です。
台風とサイクロンとハリケーンでは最大風速が違ってくるため、そちらについても見ていきましょう。

台風・サイクロンの場合

台風とサイクロンの場合、最大風速17.2m以上にまで発達したものを指します。

ハリケーンの場合

ハリケーンは最大風速32.7m以上にまで発達したものを指します。
台風やサイクロンに比べると、より規模の大きな災害になることも多いです。

台風に関する豆知識

台風にまつわる豆知識をいくつかまとめてみました。

台風には階級がある

台風には、階級が設けられています。
その目的は、台風の勢力をわかりやすく表現すること。
「強さ」と「大きさ」によって階級が定められ分類されています。

強さによる分類はWMOが規定する分類法が適用されるのですが、多少差異のある分類も熱帯低気圧の等級のようにいくつか適用されています。
同じものでも気象機関によって分類が違う場合もあります。

日本では、以前まで「弱い」や「並みの」という台風の規模を表す分類がありました。
しかし、過小評価による被害の拡散を防ぐために、小型のものや中型のものは単に「台風」と表記することとして定められました。

より大きなものは「強い」「非常に強い」「猛烈な」などに分類されれます。

ちなみに、台風の基準は以下の通りです。


・強い:最大風速33m以上
・非常に強い:最大風速44m以上
・猛烈な:最大風速54m以上

なお、メディアで報道される際には「大型」や「超大型」と紹介されることもあります。
その場合、主に強風域500km以上で大型、強風域800km以上で超大型とされます。

場所によって渦の巻き方が変わる

台風の渦の巻き方は場所によって変化が生じます。
原則として北半球は反時計回りなのに対し、南半球は時計回りです。

まとめ

台風もハリケーンもサイクロンも同じ熱低低気圧です。
しかし、発生場所や最大風速によって呼称がそれぞれ変わってきます。

北西太平洋・南シナ海を発生源とし、最大風速17.2m以上にまで発達したものは台風。
北大西洋・北東太平洋を発生源とし、最大風速32.7m以上となるとハリケーン。
インド洋・南西太平洋を発生源とし、最大風速17.2m以上にまで発達したものはサイクロン。

これがそれぞれの定義です。

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