アザミは、針のように細く長い花弁が無数にある植物です。
このアザミ、その花の下ある総苞(そうほう)や葉にはトゲがいくつもあります。
「アザミ」という、この花の名前も実はトゲが由来となっています。
漢字表記の「薊」についても棘が関係しているとされているのだとか!
そこでここでは、アザミはどういう花なのか。
トゲと名前の由来の関係ついて、漢字表記とも併せて見ていきましょう。
目次
アザミはどんな花?
アザミは、別名で「棘草」と呼ばれるほど棘の多い花です。
深い切れ込みのある葉は、花を折ろうとすると無造作に手を伸ばすと棘が刺さってしまうこともあります。
その見た目は派手すぎない慎ましさがあり、一面に広がる花畑はとても美しいです。
種類の多いアザミ
アザミはとても種類が多い花でもあります。
日本だけで約100種類以上あるとされており、世界では約250種類以上の品種があるとされています。
種類や品種によっては見た目も大きく変わることもありますが、いずれもトゲが生えているのが共通点とされます。
開花時期
アザミの開花時期は春から夏、4月~7月となっています。
遅咲きのものが形が乱れるようになる7月のうちに切り戻しをすると、秋ごろ再び花を咲かせてくれることもあります。
アザミは日本でも多くの品種が見られるため、その種類によって開花時期も微妙に違ってくることがあります。
しかし、春から夏にかけて咲くという点は共通しているとされるので、ぜひこの時期にはその美しさを眺めてみてくださいね!
アザミの名前の由来
アザミという名前はトゲと関係があると前述しましたが、どのような繋がりがあるのでしょうか。
ここからは、アザミの名前の由来と漢字表記の成り立ちについて見ていきましょう。
「アザミ」という名前の由来
アザミという名前は、「驚く」という意味を持つ動詞「あざむ」が由来とされています。
ここまでにも何度か前述している通り、アザミには多くのトゲがあります。
そのため触れたら痛みなどで「誰もが驚く」という理由からこの名前が付けられたのだとか。
しかし、動詞の「あざむ」はもともと濁音ではなく「あさむ」という清音でした。
ですから「あざ」は「トゲ」を意味する更に古い表現から来ているともされています。
それを裏付けるように、沖縄県石垣島の八重山方言では「あざ」 は「トゲ」の意味を持っています。
そして、「あざみ」は「トゲの多いもの」を表現する言葉となっています。
漢字表記「薊」の成り立ち
アザミを漢字表記にすると「薊」となります。
なぜ花なのに魚が入っているのでしょうか?
これに関しては、「魚」がトゲの多いことを指しているともされています。
確かに小魚などはトゲのような骨がたくさんありますから、想像からかけ離れたものでもありません。
そして魚の隣にある「リ」は、刀を指しているとされます。
トゲが刀のように刺す様子をあらわしているという事ですね。
つまり「薊」という漢字は、アザミ特有の棘の多さを成り立ちとしているわけですね。
文化に根付くアザミ
アザミは日本でも馴染みのある花ですが、海外でもさまざまな文化に影響を与えてきた花です。
ここからはそんなアザミに関する文化についてご紹介します!
地域を代表する花ともなるアザミ
アザミはイギリスを構成する国家のひとつスコットランドや、フランスの一部地域において非常に重要な存在となっています。
では、それぞれどのような扱いをされているのかを見てみましょう。
スコットランドの国花としてのアザミ
スコットランドにおいて、アザミは国花に指定されています。
初めてスコットランドの象徴となったのは1400年代ごろだとされており、当時初めて銀貨のモチーフとなったのがアザミだったそうです。
国花となったのは、14世紀におきたある戦争での出来事が由来とされます。
バノックバーンの戦いという1314年におきた戦争のさなか、イングランド軍はスコットランド兵たちを闇夜に紛れて襲おうとしました。
足音を響かせないように裸足で身をひそめるように進むイングランドの兵でしたが、足元に広がっていたアザミのトゲが刺さり、ある兵士痛みのあまりが大声を上げてしまいました。
その叫びから、スコットランド兵はイングランド軍の侵攻に気づき、難を逃れたという言い伝えがあります。
この言い伝えから、アザミは勝利の花として称えられ、スコットランドの象徴となったそうです!
それ以降、500年以上もの間、アザミはスコットランドのシンボルとなっています。
また、スコットランドの非公式国歌『スコットランドの花(Flower of Scotland)』で歌われているのも、アザミのこととされます。
フランス北東部にある市の市章
フランスの北東部にあるムルト=エ=モゼル県、その県庁所在地であるナンシーの市章には、アザミが採用されています。
その市章のシールドの上半分は、かつてこの地にあったロレーヌ公国の王「ロレーヌ公の紋章」となっており、下半分が「アザミの葉と花」となっています。
食文化としてのアザミ
トゲの多いアザミですが、食用にもされてきました。
日本では、青森県や長野県において、山菜の一種として食用とされてきました。
味噌汁の具や天ぷらにすることで食べられることが多いそうです。
その他、胡麻和えや胡桃和えといった和え物、炒め物などにして食べられることもあるそうです。
アザミの花言葉
アザミの花言葉は「独立」「報復」「厳格」「触れないで」です。
「独立」や「報復」という花言葉は、前述したスコットランドでのアザミにまつわる言い伝えから来たとされています。
「厳格」「触れないで」という花言葉は、刺すと痛いトゲを持つことに由来します。
まとめ
アザミは、葉や総苞にトゲを持つ花です。
その名前も棘に由来し、一説にはトゲに刺されると「驚く」ことから、「驚く」事を意味する「あざむ」という古い言葉から来たとされます。
また、「薊」という漢字表記も、トゲのような小骨の多い魚と刺す目的の刀を組み合わせて生まれたのだとか。