小さくかわいい「ハタネズミ」は害獣?それとも希少生物?

小さい体に愛くるしい顔をしているハタネズミは、日本固有種のネズミの一種です。
しかし、そんなハタネズミは畑で悪さをすることから、害獣として扱われることもあります。

その一方、近年では生息域の縮小に伴い、その個体数が減少していることから準絶滅危惧種としている地域もあります。
そこでここでは、ハタネズミがどういう動物なのかを見ていきましょう。

ハタネズミとは

 

ハタネズミとは、ネズミ目キヌゲネズミ科に分類される動物です。
丸っこい身体につぶらな瞳をしており、かわいらしいと思う人もいる姿をしています。

ハタネズミは日本の固有種

ハタネズミは、日本固有種のネズミです。

具体的には、本州や九州に生息しているネズミとされています。
また、佐渡島や能登島といった日本海側のいくつかの島々にも分布しています。

ハタネズミの活動場所

このハタネズミの姿が見られるのは都市部ではありません。
自然の多い場所が、主な活動場所となっています。

畑や水田、草原や植林地といった場所に生息しています。
また、低地だけでなく高山帯でも活動しています。

ハタネズミは夜行性

ハタネズミは夜行性です。
日没から日の出の間、特にその前後2時間~3時間ほどに活動が本格化します。
そのため、日中にはなかなかその姿を見ることができません。

ハタネズミの大きさと外見

 

ハタネズミは、日本に生息する他のネズミに比べて、小さくて愛らしい姿が特徴です。

ハタネズミの大きさ

ハタネズミは、体長約9cm~13cmで、尻尾が約3cm~5cmあります。
体重は約220~60gなので、ペットとして人気のジャンガリアンハムスターと同じくらいの大きさです。

ハタネズミの外見

ハタネズミは、目や耳が小さく、まるで毛玉のような姿をしています。

また、他のネズミに比べると尻尾が短くなっています。
尻尾が短いことで、地下生活へ適応するためだとされています。

小柄で、ころっとした外見なので、かわいいと思う人も多いかもしれません。

なお、背中は茶色もしくは灰黄赤色をしています。
それに対し、腹面は灰白色となっています。

ハタネズミは害獣?それとも絶滅が危ぶまれている生き物?

 

日本固有種のハタネズミは、古くから畑を荒らすということで害獣として扱われてきました。
しかし、近年は個体数が減少しており、地域によっては準絶滅危惧種にも指定されています。

害獣とされるハタネズミ

ハタネズミは完全な草食性です。
そのため、生活圏に田畑がある場合、実った野菜や果物などを食い散らかしてしまいます。
そして、地面に穴を掘ることで、地中から畑を荒らすこともあります。

そのため、農家の人からすれば完全な害獣です。
野菜や果物だけではなくてイネ科やキク科の草木も食べてしまいます。
このことから、多くの農作物に与える影響も大きいです。

ハタネズミの名前の由来は生息場所から

ハタネズミの名前の由来も、荒らすこともある畑に関係しています。
ハタネズミの「ハタ」は、「畑」の事です。

「畑(「ハタ」ケ)」に住む「ネズミ」だから「ハタネズミ」と名付けられたのです。

ハタネズミの天敵

害獣のハタネズミを捕食してくれる天敵となる動物もいます。

その代表的な捕食者が、イタチやトビにヘビといった肉食動物です。
本来はこれらの動物がハタネズミを食べてくれることによって、ちょうど良い生態系のバランスが保たれてきました。

しかし、近年はそのバランスも崩れつつあります。

生息場所が狭くなってきているハタネズミ

近年のハタネズミは、生息場所が狭くなったことで個体数を減らしています。

たとえば、京都府ではハタネズミは準絶滅危惧種に指定されています。
ハタネズミの主な生息場所とされてきた桂川や木津川、淀川といった川の河川敷や畔などで発見される個体数が激減しているためだそうです。

2011年のちょうさでは、2002年にはその姿を確認できた場所のほとんどで、ハタネズミの生息が確認されなくなってしまったのだとか。

その背景として、河川敷を樹林化したことで河川草原の衰退してしまったことや、堤防周辺の草地に背の高い外来植物が生えてくるようになったことがあげられています。
河川敷も堤防周辺も、従来のハタネズミの生息場所であり休息場所でした。
それらが無くなってしまった事で、ハタネズミは居場所をなくしてしまい、京都府では準絶滅危惧種とされるほど数を減らしてしまったのです。

まとめ

日本固有種のネズミのハタネズミは、ジャンガリアンハムスターと同程度の体格をしたネズミです。
しかし、小さいながらも農作物を食べる食性と、地面を掘り進むという習性から畑を荒らす害獣とされてきました。

ところが近年、生息場所が急速に減ってきている影響から、京都府では準絶滅危惧種に指定されるほどその姿を減らしています。
もともと1年ほどしか寿命がない、短命の生き物なので生息場所の変化の影響は計り知れないものがあるようです。

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