ペッカリーは、和名でヘソイノシシと呼ばれる動物です。
南北アメリカ大陸にかけての広い地域に分布しています。
そんなペッカリーは、和名通りヘソのようなものがあるとされているのですが・・・、実はこれヘソではありません。
そこでここでは、面白い生態を持つペッカリーについて、和名となったヘソイノシシとの関連について見ていきましょう。
目次
「ペッカリー」とは
ペッカリーは、ペッカリー科に属する動物です。
にほんでは、和名でもあるヘソイノシシの呼び名の方がメジャーかもしれません。
まずは、ペッカリーがどういう動物なのか見ていきましょう!
3種いるペッカリーの生息域
北アメリカ大陸から南アメリカ大陸にかけて分布していつペッカリー。
主にクチジロペッカリーとクビワペッカリー、チャコペッカリーの3種類がいるとされており、生息地もそれぞれ異なっています。
クチジロペッカリーは、メキシコからパラグアイにかけての熱帯雨林に生息しています。
また、クビワペッカリーは、アメリカからアルゼンチンまでの熱帯雨林だけではなく砂漠や森林にも生息しているのです。
そして、チャコペッカリーは、名前の通り南米のグランチャコに分布しています。
しかし、近年では他のイノシシ類がアメリカ大陸で繁殖を繰り返していることから、ペッカリーの生息域が崩れつつあるそうです。
ペッカリーの姿や大きさ
ペッカリーは、成体になると体長約90~130cm、体重約20~40kgにまで大きくなります。
イノシシ科の動物に似ているのですが、ペッカリー科に分類されていることから分かるように、イノシシとは別の動物です。
頭骨はイノシシに比べてやや短くて高さがあり、犬歯は湾曲せずに伸びていています。
イノシシとの違いは足!
ペッカリーとイノシシはとても似ているのですが、その大きな違いは足の形状にあります。
ペッカリーの肢端は2本なのに対して、イノシシは4本となっています。
進化してきた過程が違うため、イノシシとは体の機能が違うわけです。
また、ベッカリーのほうが足が長いという外見の違いもあって、ペッカリーはイノシシよりもしなやかな走りを見せます。
「ペッカリー」の名前
前述の通り、ペッカリーの和名はヘソイノシシです。
この和名の由来、そしてペッカリーという名前について見ていきましょう。
「ペッカリー」という名前の由来
ペッカリーという名前は、カリブ海の「パキラまたはパキーラ」という言葉に由来するとされます。
また、南アメリカ大陸で用いられるトゥピ語に由来するという説もあります。
別名は「ヘソイノシシ」
日本では、へそイノシシという和名で呼ばれています。
この和名は、背中にくぼみがあることに由来しています。
このくぼみが上から見るとヘソのようにも見えます。
そこから、ヘソイノシシと名付けられたのです。
ヘソの正体
ただし、これは厳密にはヘソではありません。
実際は臭腺と呼ばれる器官となっています。
ペッカリーは普段群れで生活するのですが、この臭腺から独自の臭いを放つことで、仲間同士の意思疎通を図るとされています。
群れにはリーダーのような存在はいないのですが、その代わりにこの臭腺を使うことで協調性を高めているのだとか。
また、臭腺は群れの個体同士で毛づくろいをする際にも使われます。
相手の臭腺に自分の喉や肩をこすり付けあうことでコミュニケーションを行っているとされています。
革製品にも使われる「ペッカリー」
ペッカリーという言葉は、革製品の素材として耳にしたことがある人の方が多いかもしれません。
このペッカリーレザーは、世界で最も柔らかい革の一種とされており、アメリカやヨーロッパで大変人気です。
手袋や財布などのアクセサリーに広く使用されています。
ペッカリーレザーは、柔らかいだけでなく、耐久性と弾力性に優れています。
高機能な素材であることから、ペッカリーレザーは人気なのです。
そして、時間の経過とともに色合いも味が出てくるため、使っていて愛着がわいてくるというのも人気の理由です。
それでいてフィット感などにも優れているなど、革製品の素材としては非常に魅力も大きいと言えますね。
石鹸などで洗えるレザーとしても重宝されています。
まとめ
ペッカリーは北南アメリカ大陸に生息する動物で、イノシシにとても似ています。
しかし、イノシシよりも走ることにより特化した進化をしています。
そんなペッカリーは背中にヘソのようなくぼみがあることから和名でヘソイノシシと呼ばれています。
しかし、それはヘソではなく臭腺と呼ばれる別の器官です。