なんでそんなことしたの・・・となる響きがある成句「寝た子を起こす」、その意味や類義語とは?

成句の「寝た子を起こす」は、言葉の通り寝る子を起こす様子から生まれた言葉です。
その意味は、一度騒ぎなどが収束したにも関わらず、再び蒸し返して議論をもつれさせることを指しています。

ここでは、「寝た子を起こす」の意味や成り立ちについて見ていきましょう。

「寝た子を起こす」とは

 

まずは、「寝た子を起こす」がどういう言葉なのかを見ていきましょう。

「寝た子を起こす」の意味

「寝た子を起こす」は、一度騒ぎが収束した問題などを蒸し返し、再び議論をもつれさせることを意味します。

解決したはずの面倒ごとなどを余計に掘り起こしてしまうことや、収まっている静かになっている物事に余計な手出しをして問題を起こすことの例えです。
単に揉め事を起こすというよりは、一度決着したにも関わらず再度蒸し返したり掘り起こしたりして話を戻してしまうことを例えた表現となります。

「寝た子を起こす」の由来

子供、とくに赤ちゃんは寝かしつけるのにとても苦労しますよね。
そんなやっと大人しく寝てくれた子供を無用に起こせば、当然のように泣いたり暴れたりするでしょう。
この赤ちゃんをやたらと起こす様子が、「寝た子を起こす」という言葉の背景にあったとされています。

「寝た子を起こす」の類義語

 

ここからは「寝た子を起こす」と同じく、無用に手出しした結果、問題を再び起こしてしまうという意味がある言葉をご紹介します。

藪をつついて蛇を出す

「藪をつついて蛇を出す」とは、余計なことをして危険を増やすという意味があります。

わざわざしなくていいことをしたことで状況を悪化させることや、必要もないことを行ったために災いが降りかかることを例えています。
これらのことわざは原文が長いこともあり、略語の「藪蛇」のみで用いられることも多いです。

ちなみに「藪をつついて蛇を出す」という言葉は、文字通り、つつかなくてもいい藪をつついて蛇を出す様子から来ています。
そこから転じて、余計なことをして思いもしない悪い結果を招くことを指すようになりました。

「藪を叩いて蛇を出す」という別の言い方がされることもあります。

元の木阿弥

「元の木阿弥」とは、一度は良くなったものが再び悪い状態に戻ることをあらわしています。

その由来は戦国時代まで遡ります。
戦国大名の「筒井順昭」という人物が病死する直前、自分の死を隠すため、姿や声が似ていた「木阿弥」という人物に影武者になってくれるよう頼みました。
その後、亡くなった順昭の子である順慶、筒井順昭が無事に家督を告げる状態になるまで影武者の任を全うしました。

お役目を終えた木阿弥は、もともと分に戻り、ただの木阿弥として生活を再開しました。
この逸話から生まれた言葉が「元の木阿弥」となります。

対義語は「触らぬ神に祟りなし」

 

では「寝た子を起こす」の対義語はどうなるのでしょうか?

これは「触らぬ神に祟りなし」という言葉が最適です。
「触らぬ神に祟りなし」とは、神様に触れなければ祟りもないということから来た言葉です。
そこから、何事も関係を持たなければ災いが身に及ぶことはないということを指すようになりました。

つまり、下手に手を出さないで放置しておけば問題なぞ発生しないという事ですね。
現代では、「面倒ごとには首を突っ込むな」というような意味で使われることも多いです。

「寝た子を起こす」を英語のことわざでいうと?

 

「寝た子を起こす」は、英語だと「Let sleeping dogs lie」と表現することができます。
そっとしておくことや事を荒立てないことをあらわす英文です。
直訳すると「寝ている犬は放っておくべき」というニュアンスになりますね。

わざわざ寝ている犬を起こすと吠えたり噛まれたりするかもしれないということから、放っておけという意味で使われます。
厳密にいうと、「寝た子を起こす」は問題をぶり返しているので、一種の対義語といった方が正しいかもしれません。

しかし、英語の場合、そっとしておかなかったのでことが荒立ってしまった、という意味合いのことわざがありません。
そのため、この「Let sleeping dogs lie」が寝た子を起こすの英訳とされることが多いです。

まとめ

「寝た子を起こす」は、文字通り寝ている子供を起こしてしまう状況から生まれた言葉で、一度収まったことを蒸し返して荒立てるという意味があります。
一度解決した事案を蒸し返したり掘り返したりすることで、本来であれば起こりえなかったはずの問題が発生した際に用いられます。

他にも同じ意味を持つ言葉として、「藪をつついて蛇を出す」「元の木阿弥」などがあります。

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