台無し・中止の意味で使われる「おじゃん」とは。その由来は鐘の音から?

物事が途中で台無しになってしまったり、中止になることを「おじゃん」と表現します。
この言葉は、火事に関係する鐘の音に由来するとされています。
また、江戸時代に使われていた「じゃみる」という言葉が関係しているともされます。

そこでここでは、「おじゃん」という言葉の意味や類義語、由来について解説します。

「おじゃん」とは

 

まず「おじゃん」とはどのような言葉なのかを見ていきましょう!

「おじゃん」の意味

「おじゃん」とは、物事が中途でダメになったり失敗に終わることを指しています。
また、進めていたものが台無しになった際や、中止になった折にも用いられます。

予定計画していたものや実現に向けて動いたいたものが、成功することなく頓挫することを意味します。

「おじゃん」は甲州弁?

「計画はおじゃんになった」などの表現は、今では全国的に使われますが、実は甲州弁の1つとも言われています。
甲州とは、旧国名の「甲斐国」の別称で現在の山梨県を中心に使われる方言の一種ということになります。

周囲を険しい山々に囲まれた山梨県は、甲斐国と言われていた頃から言語文化が県の東西で異なり、甲府を中心とした県西側では「国中弁」が、関東に近いけれど急峻な山々に囲まれた郡内地方では「郡内弁」が用いられてきました。
言語文化に違いはあるのですが、「甲州弁」この国中弁と郡内弁の総称となっています。

そして、「おじゃん」はこの甲州弁の1つとしてあげられます。
意味は全国的な意味と同じく中止や取りやめとなっています。

「おじゃん」の語源は?

 

「おじゃん」がどのような経緯で生まれたのか、これには諸説ありますので、由来とされる説をいくつかご紹介します。

鎮火の知らせの鐘の音からとする説

一説には、「おじゃん」は火事から来た言葉とされています。
江戸時代、火事が鎮火した合図として「ジャンジャン」という2回の鐘を鳴らしていました。
人々は、この鐘の音を聞くことで火事が終わったことを察したのです。

この火事がおさまったことを知らせる「ジャンジャン」という擬音から「おじゃん」という言葉が生まれたとされています。
それが転じて、物事の進行がとん挫したり中止にすることで台無しになる、という意味で使われるようになったのだとか。

「じゃみる」という言葉から派生したとする説

「じゃみる」という言葉から派生したとも考えられています。

江戸時代には「じゃみる」という言葉が、物事が台無しになるという「おじゃん」と同じ意味で使われていました。
そして、じゃみるの連用名詞形「じゃみ」に接頭語「お」がついて「おじゃん」となったとされているのです。

「おじゃん」の類義語

 

「おじゃん」には、類義語となる言葉がいくつかあります。
ここからは、おじゃんの類義語を2つご紹介します。

おしゃかになる

「おしゃかになる」とは、物事がダメになってしまうことを指しています。
実体のあるものが使い物にならなくなった際に用いられることが多いです。

「おじゃん」の場合、「計画がおじゃんになる」「予定がおじゃんになる」などで使います。
対して「おしゃか」は、「車がおしゃかになる」「道具がおしゃかになる」な実物として存在するものに対して使われます。

ご破算

「ご破算」とは、そろばんの盤面を崩して、次の計算ができるように元の状態に戻すことです。
これが転じて、物事を白紙に戻すことや今までの行いが無駄に終わる様子を例えた言い方として広まりました。

まとめ

「おじゃん」は、進めていた物事が中止になったりすることで無駄になってしまう事を指します。
江戸時代に火事の収束を知らせた「ジャンジャン」という鐘の音が語源とされています。

また、同じく江戸時代に使われていた「じゃみる」という言葉が由来ともされています。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事