「関東圏」が呼びあらわす範囲はどの県域?関東地方や首都圏とは違うの?

東京を中心とした周辺都道府県は、「関東圏」と呼ばれることがあります。
この「関東圏」、行政や放送業界などによってそれぞれ対象とされる範囲が異なります。
また、似たような言葉に、「関東地方」や「首都圏」というものもあります。

そこでここでは、「関東圏」をはじめとした「関東地方」や「首都圏」といった地域を指す言葉について解説します。

「関東圏」の範囲は時と場合によって異なる

 

関東圏には、「広域関東圏」や「関東広域圏」といった種類があります。
そのため、行政や放送業界で範囲が異なります。

行政における関東圏「広域関東圏」

行政における関東圏を「広域関東圏」と言います。

その範囲は、1都10県とされています。
内訳は、関東1都6県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県)と、甲信越3県(山梨県・長野県・新潟県)および静岡県となっています。
東京高等裁判所や陸上自衛隊東部方面隊、消防庁の一部などが、この広域関東圏を管轄としています。

ちなみに、静岡県を除いた1都9県は関東甲信越と呼ばれます。

放送事業における「関東広域圏」

放送事業における関東圏を「関東広域圏」と言います。

放送法施行規則によって、基幹放送の区分を「三以上の都府県の各区域を併せた区域における需要にこたえる」と定められていることに基づく区分です。
「関東広域圏」の区域は1都6県で、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県の各区域を併せたものとなっています。

「関東地方」とはちがう?

 

では「関東圏」と「関東地方」にはどのような違いがあるのでしょうか。
その違いについて解説していきます。

広域関東圏と関東地方の違い

広域関東圏は1都10県を指しますが、関東地方に該当するのは1都6県です。
その1都6県は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県です。

とはいえ、この関東地方の範囲については、法律上で明確に定義立てががされているわけではありません。
古くからの慣習に基づき、この1都6県は「関東地方」と呼びあらわされています。

南関東と北関東の区分けは?

関東地方は人口も多く面積も広いため、南関東と北関東で区分けすることもあります。

その場合は、南関東を利根川以南とした、東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県の1都3県とすることがあります。
なお、埼玉県を除いて1都2県を南関東とする場合もあります。

対して、北関東は茨城県・栃木県・群馬県の3県を指します。
南関東に埼玉県が含まれない場合などは、埼玉県を加えて4県を北関東とする場合もあります。

時代によって関東の範囲は変わる

この関東が指す範囲、実は時代によって変異してきました。

関東という呼び名は、飛鳥時代からあるとされますが、当時の関東は東山道の「不破関(ふわのせき)」、東海道の「鈴鹿関(すずかのせき)」、北陸道の「愛発関(あらちのせき)」という3つの主要な関所より東とされました。
これは、現在の中部地方より東という事になりますので、今とは大きく異なる範囲となります。

鎌倉時代、幕府は自分たちを「関東方」と称しました。
結果、関東は鎌倉幕府の支持基盤である、遠江国(現在の静岡県)・信濃国(現在の長野県)・越後国(現在の新潟県)以東を指す言葉と認識されるようになりました。

現在の認識に近い範囲を関東と呼ぶようになったのは、江戸時代とされます。
当時、「相模(さがみ)(現在の神奈川県)」「武蔵(むさし)(現在の東京都と埼玉県)」「安房(あわ)(現在の千葉県)」「上総(かずさ)(現在の千葉県)」「下総(しもうさ)(現在の千葉県)」「常陸(ひたち)(現在の茨城県)」「上野(こうずけ)(現在の群馬県)」「下野(しもつけ)(現在の栃木県)」を関八州と呼びあらわされたこと。
江戸幕府によって設けられた3つの関所、神奈川県の「箱根関」・東京都八王子の「小仏関」・群馬県の「碓氷関」、この3つより東を関東と称されることになったのです。

この2つが重なり、現在の関東という範囲が生まれました。

「首都圏」や「東京圏」との違い

 

首都圏とは「首都およびその周辺地域」を指し示す言葉です。
首都の周辺地域を表すため、日本以外の国でも用いられます。
例えば、アメリカであれば首都ワシントンD.C.周辺地域が首都圏となります。

「首都圏」の範囲

日本における首都圏の範囲は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県の1都7県と定められています。
これは、1956年に制定された「首都圏整備法」の「首都圏整備法施行令」が基準とされています。

戦後、東京を中心とする周辺地域は急激な人口増加や産業発展が著しいものがありました。
そのため、法律によって首都圏を総合的に整備することを基本方針としてまとめたのが日本における首都圏構想のはじまりとされています。

「東京圏」との違い

「東京圏」の範囲は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・茨城県の1都4県です。
これは、多極分散型国土形成促進法に基づく区域となっています。

これとは別に、国土交通省が作成している「首都圏白書」では、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の1都3県を「東京圏」と定めています。

まとめ

関東圏は、行政や業界により指し示す範囲が異なる言葉です。
行政では東京都を含む1都10県を指すのに対し、放送業界では1都6県を範囲としています。

また、類似のようにも見える「関東地方」と「首都圏」は、実際には関東圏とは異なる範囲を示しています。
関東地方は東京を含む1都6県を、首都圏は関東地方に山梨県を加えた1都7県となります。

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