「応対」と「対応」は、一見すると同じ意味のように思えます。
両者は読みも「おうたい」「たいおう」と、前後入れ替えただけです。
しかし、この2つの言葉はそれぞれ対象となるものが異なります。
そこでここでは、「応対」と「対応」のそれぞれの意味や違いについて解説します。
目次
「応対」とは
まずは、「応対」の意味と対象について見ていきましょう。
「応対」の意味
応対は、誰かに応じて受け答えすることを意味します。
また、返事や相槌などの態度という意味もあります。
「応対」の対象
応対の対象は、人に限定されます。
「お客様に応対する」のように、対象が人である場合に使います。
逆に、「地震に応対する」「台風に応対する」とは言いません。
類義語としては、「応接」や「接客」「受け答え」、「お構い」などがあげられます。
いずれも、人を対象にして受け答えをする動作となります。
「対応」とは
次に、「対応」の意味と対象について見ていきましょう。
「対応」の意味
対応には、状況に応じて行動するという意味があります。
そのため、応対よりも対象となる範囲が広くなります。
また、、対応には、向かい合うことや釣り合うこと、という意味もあります。
「対応」の対象
「対応」の対象となるのは、人だけでありません。
問題や課題といった物事も含みます。
また、発生した事象なども対象となりえます。
人を対象とした場合は、「お客様に対応する」のように用います。
物事や事象を対象とすると、「地震に対応する」「台風に対応する」といった用例があげられます。
なお、類義語としては、「対処」や「対策」、「収拾」に「措置」などがあります。
これらの言葉も、人や物事に対して適切な行動をすることを意味します。
「応対」と「対応」の違い
「応対」と「対応」の違いは、その対象です。
応対は人に対する受け答えをするときのみに使われ、対応は人・物事に応じて行動するときに用いられます。
そしてその意味合いの違いから、前に付く言葉が同じでも、それぞれの動作は変わってくることになります
「電話応対」と「電話対応」の違い
電話応対とは電話の相手に応じ、受け答えをすることです。
つまり、相手の話を聞いたり相槌を打ったりすることを指します。
電話対応とは電話がかかってくる状況に応じるだけでなく、相手の用件に答えたりすることも指します。
例えば、会社に電話がかかってきたとします。
この電話を受話器を上げるなどして、まずは応じます。
そして、相手がどのような用件かを確認します。
ここまでは、相手の態度に応じるだけですので、「電話応対」になります。
そして、要件から判断して、担当につなげます。
担当は、相手に対して適切な判断や処理をすることで用件を完了させます。
つまり、「電話対応」をすることになります。
「応対がいい」と「対応がいい」の違い
「応対がいい」とは、言葉使いや受け答えの仕方や態度に好感の持てる様子です。
「対応がいい」は、問題や課題に対する対処や処理の方法が適切であることを意味します。
一文字入れ替えただけで、評価されている内容が大きく変わることが分かりますね。
「応対」して「対応」する状況
時と場合によっては、応対しながら対応することもあります。
前述の電話応対と電話対応のように会社への電話を例とします。
かかってきた電話を受けたところ、自分宛の電話だとわかり、そのまま話を進めるという事はよくある話です。
という事は、最初は応対して、そのまま自身で対応に移ったという事になります。
このように、「応対」と「対応」が同時に訪れることはままあります。
その場合は、適切な応対が最適な対応に繋がることもあるでしょう。
まとめ
「応対」と「対応」は、前後の文字を入れ替えただけで非常に似た言葉ですが、対象が異なります。
応対は人のみが対象となるのに対して、対応は人だけでなく物事も対象に含みます。
時には、「応対」と「対応」をセットで行わなくてはならないこともあります。