
快刀乱麻は、物事を見事に解決することをあらわした言葉です。
これは、刀と麻にまつわるある話から生まれた言葉です。
そこで、今回は快刀乱麻の意味や由来についてご紹介します。
また、類義語のゴディアスの結び目や一刀両断についても解説します。
目次
「快刀乱麻」とは
まずは快刀乱麻がどのような言葉なのかを見ていきましょう。
「快刀乱麻」は「快刀乱麻を断つ」の略
快刀乱麻は「快刀乱麻を断つ」ということわざの略語です。
もともとは快刀で乱麻を断つことを表現した言葉でした。
これが四字熟語として広く使用されるようになったのだとか。
「快刀乱麻」の意味
快刀乱麻とは、こじれた物事を見事に解決することの例えです。
「もつれた麻糸を鋭利な刃物で断ち切るように難題を処理する」というところから来ています。
もつれた麻は非常に解けにくく元に戻すことが困難です。
しかし、それも切れ味抜群の刀で切ることで解けます。
この様子からうまれたのが快刀乱麻という言葉です。
特に「迅速な様子」を強調した表現となります。
そのため、じっくりと解決していく場合は用いられません。
あくまでも問題を華麗に処理していくことを指した言葉なのです。
「快刀乱麻」の由来
では、快刀乱麻はどこから生まれた言葉なのでしょうか?
ここからは快刀乱麻の由来とされる故事について見ていきましょう。
故事から生まれた「快刀乱麻」
快刀乱麻はもともと「故事」から生まれた言葉とされます。
その昔、南北朝時代に「高歓」という人物がいました。
高歓は、ある時子供たちの才能を確かめるために、もつれた麻糸を渡して「これを解いてみよ」と指示しました。
この問題に対して、高歓の子供たちは手で麻糸を1本ずつ解こうとしました。
しかし、当然ながら麻糸はうまく解けません。
そんな中、子供の1人「高洋」が刀で切って麻糸を解いてみせたのです。
その際、高洋は「乱れたものは斬らねばならぬ」と言い放ったとも伝わっています。
この「高歓」と「高洋」という人物の逸話から、快刀乱麻という言葉が生まれたのです。
快刀乱麻をした人物は後に皇帝になる
高歓の問いに対して「快刀乱麻」の鮮やかな解決能力を見せた高洋は正に非常に優れた人物でした。
幼き頃は茫洋としていたともされますが、年を重ねるにつれその才能は磨かれていったようです。
才能と共に野心も大きくなっていたようで、弱冠25歳にして、主君である北朝東魏の皇帝「孝静帝」を禅譲を迫り帝位を退かせました。
そして、自らは北朝北斉の初代皇帝「文宣帝」となったのです。
しかし、この後はあまりいいところはなく、圧政を敷き自らは酒におぼれる生活をしていたため、わずか34歳にして命を落としています。
「快刀乱麻」の類義語
ここからは快刀乱麻の類義語についても解説します。
特にここではゴルディアスの結び目や一刀両断などの言葉についてご紹介します。
ゴルディアスの結び目
ゴルディアスの結び目とは、誰にも解決できないような、手に負えないような難問の例えです。
これはアレクサンドロス大王の逸話が由来です。
現在のトルコの西部に位置するところには、かつてフリュギアという王国がありました。
そして、この国の都ゴルディオンにはこの国の建国者ゴルディアス王が結んだとされる複雑な結び目をした縄がありました。
そしてこの縄には、その結び目を解いた者はアジアを支配するという伝説が残されていました。
この伝説により、もちろん多くの人物が挑戦しましたが、成功する者はいませんでした。
そんな中、紀元前四世紀頃にアレクサンドロス大王がこの地に訪れました。
そして、伝説を聞きこの結び目を解こうと挑戦しました。
しかし、アレクサンドロス大王もまた、自力では解くことはできませんでした。
ところがこの時、アレクサンドロス大王は、剣で結び目を断ち切るという大胆な手を打ちました。
その後のアレクサンドロス大王は、東征を成し遂げ、ヨーロッパからアジアまでまたがる大帝国を築き上げました。
まさに伝説の通りとなったのです。
このアレクサンドロス大王の物語は、快刀乱麻の由来となる逸話と共通点が多くありますね。
一刀両断
一刀両断は、一太刀でものを真っ二つに斬る様子をあらわしています。
そこから決断が早いことなどもあらわすようになったのだとか。
転じて、課題や問題を見事に解決することなどもあわらすようになったとされています。
まとめ
快刀乱麻はもつれた麻を刀で切ったという後に皇帝となる人物の逸話から生まれた言葉です。
転じて、難題を見事に解決することの例えとして使用されます。
一刀両断も同じようなニュアンスで使用されることがあります。
また、「ゴルディアスの結び目」には、快刀乱麻にまつわる逸話と似た物語が伝わっています。