偕老同穴は、夫婦の仲の良さを表す四字熟語です。
一緒に老いて同じ墓に入るほど仲睦まじい夫婦を指します。
ここでは、偕老同穴の詳しい意味と由来を見ていきましょう。
また、カイロウドウケツという同じ名前を持つ生き物についても見ていきましょう。
目次
「偕老同穴」とは
まずは四字熟語の偕老同穴の意味と由来、類義語について見ていきましょう。
「偕老同穴」の意味
偕老同穴とは、夫婦の仲が良いことの例えです。
特に仲睦まじい夫婦関係であることを指し、褒め言葉として使われます。
中のいい夫婦の中でも、最後まで添い遂げるほど円満な夫婦関係とされます。
ときには、理想の幸福な結婚生活を指して表現することもあります。
永遠の愛の強さや、不滅の契りの強さを表す際にも用いられることがあります。
それぞれを分解すると、以下のようなものを指しています。
「偕」は一緒という意味、「穴」は墓の穴という意味です。
これらは生前は老いを共にし、死後は同じ墓の穴に葬られることから来ています。
類義語は「比翼連理」
偕老同穴の類義語は、「比翼連理」となります。
この熟語は、別れることのない仲睦まじい夫婦や恋人をあらわす言葉です。
相思相愛など、おしどり夫婦という意味で使われることもあります。
「比翼」とは、中国の伝説上の鳥です。
隻眼隻翼で雌雄が力を合わせないと飛べません。
つまり、この言葉は生きていくために欠かせない最も大切な存在をあらわしているのです。
「連理」は、中国の伝説上の植物のことです。
連理の枝とも呼ばれます。
この植物は、2つの木の根や枝が互いに絡み合っているとされています。
そこから、お互いに欠かすことを表す言葉としても使われるようになりました。
この離れることのない存在を2つ組み合わせて、「比翼連理」という言葉となっています。
出典は「詩経」
「偕老同穴」という言葉は「詩経」という詩集からの出典としています。
この詩経には、「子と偕に老いんとす」「死しては則ち穴を同じくせん」という語句があり、この文が合わさって作られた言葉となっています。
「詩経」とは
詩経は、中国最古の詩集です。
前9世紀~前7世紀にかけての詩、305編を収められています。
詩の形式は4言で1句、4句で1章となるのが基本となります。
「周」という国が中国を収めていた時代に編纂されたことから「周詩」と呼ばれる事もあります。
儒教にとって最も尊重される書物や経典である五経のひとつに数えられています。
「詩経」の作者は誰?
集められた305編の詩のほとんどすべてが作者不明です。
門人の教育のために孔子が編纂したともされ、具体的なことはわかっていません。
これらは伝承されるうちに変化したため、作者が不明です。
この作者不明とされる詩の数は一時3000以上あったとされ、それを儒教の祖である「孔子」が組み直したといわれています。
現在伝わっている詩経は、全305編となっています。
海に生息する「カイロウドウケツ」
海綿動物に、偕老同穴の名を持つ「カイロウドウケツ」というものがいます。
この「カイロウドウケツ」、偕老同穴に通じるものがあるためその名前になったのだとか。
海綿動物の「カイロウドウケツ」
カイロウドウケツは、深海150m~1,000mほどに生息しています。
六放海綿綱に分類される海綿動物の一種です。
全長5cm~30cmほどの細長い円筒形の体を、海底に根を張り固着して生活しています。
体壁は、ガラス質の骨片が組み合わさった籠の目状をしています。
その姿から、英名では"Venus' Flower Basket(ビーナスの花かご)"と呼ばれています。
名前の由来となったのは中に寄生するエビから
カイロウドウケツという名前の由来は、その体の中に寄生するエビから来ています。
カイロウドウケツの胃腔、つまり内部には、雌雄一対のエビが住んでいることがあります。
このエビをドウケツエビと言います。
このドウケツエビ、初めからカイロウドウケツの中にいるわけではありません。
幼生のうちにカイロウドウケツの網目の体に入り込み、その中で成長することで網目よりも大きくなり出られなくなるのです。
食事はカイロウドウケツの食べ残しや、カイロウドウケツの繊維質の体に引っかかったもので済ませることができる上に、ガラス質の檻は身を守ってくれる存在となるため出ていく必要が無いのだとか。
また、雌雄未分化状態の2匹でカイロウドウケツの中に入り、成長する過程でオスとメスにそれぞれ分かれるので、繁殖に関しても問題がありません。
そのため、このドウケツエビは、死ぬまでカイロウドウケツの中で共に過ごすことになります。
そこから、最初はドウケツエビがカイロウドウケツと呼ばれていたそうです。
それが転じて、ドウケツエビの巣ともいえる存在となる海綿動物をあらわす名前となりました。
まとめ
偕老同穴は、夫婦仲睦まじいことを意味します。
一緒に老いて同じ墓に入ることをあらわす言葉から生まれました。
そして、この偕老同穴にあやかった名前を持つ生き物がいます。
それが海綿動物のカイロウドウケツです。
この海綿動物の体内には2匹のエビが寄生して住み込むことから来た名前となっています。