家や集団を支える中心人物の意味で使われる「大黒柱」。その由来となったのは実際の柱?

家を支える人物の事を指す「大黒柱」。
かつては、働いて稼いでくる一家の父親の代名詞としても使われていました。
この「大黒柱」、現代ではスポーツなどのチームで活躍する人や、組織の根幹を担う人なども指すようになり、幅広いシーンで使われる言葉となっています。

この「大黒柱」の語源は、実際にある柱から来ています。
そこでここでは、「大黒柱」の意味や類義語、その由来について見ていきましょう。

「大黒柱」とは

 

まずは「大黒柱」がどういう意味か、その類義語と併せて見ていきましょう。

「大黒柱」の意味

「大黒柱」とは、集団における中心となって支えている人のことを指します。
現代では国という大きなまとまりの中で、その根幹を支えている人たちのことを「大黒柱」と呼ぶことがあります。

用い方としては「チームの大黒柱」や「組織の大黒柱」など、集団を支えるもしくは率いる人のことを表す際に用います。
最も重要な役割を担うという意味から、主要人物などのことも表したりしますね。
ことスポーツにおいてはエースの事を指しあらわして用いられます。

昔は夫婦ではを、家族ではのことを指す言葉でもありました。
ただ、今では共働きが増えたこともあって、父や夫を「大黒柱」と表現することは少なくなってきています。

なお「大黒柱」は、不動産業界などでは民家の土間と床との境の中央に立てる太い柱や、最初に立てる柱のことを指しています。
亭主柱とも呼ばれます。

「大黒柱」の類義語

この「大黒柱」の類義語としては、「屋台骨」や「要」などがあげられます。
「屋台骨」は屋台を支える骨組みのこと、「要」は束ねた扇の骨の根元を貫いてはめ込んだ構造のことをそれぞれ意味しています。
どちらも何かを支えるのに欠かせない重要な箇所となっています。

「大黒柱」の語源

 

「大黒柱」の語源については諸説あるのですが、ここでは2つの説をご紹介します。

かつての朝廷における正殿から来たとする説

平城京の大極殿を支えた柱「大極柱」から来たとする説があります。
大極殿とは、かつて天皇が政務をとり、賀正や即位など国家の大礼を行った場所のことです。

現在では、大黒柱は中心となる人物や支えとなる人物という意味で、1人をあげられることが一般的です。
家屋についても、大黒柱というと外すと家が倒壊してしまう大事な一本の柱を指しています。

しかし、平城京の時代の朝廷における正殿を指す大極殿は違います。
大極殿には44本の柱があり、これのうち特定のどれかが大極柱というわけではありません。
全てが大極柱です。

しかも、どれもが太く立派な柱をしています。
そこから、建物を支える柱を「大極柱」と呼ぶようになりした。
これが転化して「大黒柱」となり、さらに複数ではなく1本の柱だけを指すように意味が変わったとされています。

大黒天から来たとする説

大黒天にちなんでいるという説もあります。

七福神の大黒天は、富や食事をを司る神として台所や食堂でお祀りされてきました。
そして、建物としての大黒柱は、台所のある土間に立っていることが多かったとされます。
そこから、大黒天を祀る台所にある、家を支える柱を大黒柱と呼ぶようになったとされているのです。

また、大黒天が天地人を支え守る神とされたことから、家を支える柱を「大黒柱」と呼ぶようになったともされます。

建築用語から生まれた言葉

 

「大黒柱」のように建築用語から生まれた言葉は他にもあります。
ここからはもともと建築用語だった言葉をまとめます。

うだつがあがらない

「うだつがあらがない」とは、状態が今一つ良くないことを表す言葉です。
この「うだつ」とは、隣り合った建物の間に防火壁として作られた屋根の上の立ち上がり部分のことで、「卯建」と漢字表記します。

その昔、この「卯建」部分を豪華に装飾するのが流行しました。
特に裕福な商家ほど競い合うように「卯建」部分を立派に作るようになったのです。

しかし、商売がうまくいっていない商家は、この「卯建」を設けることができませんでした。
そこから、出世しなかったり生活が良くならない人を「うだつがあらない」と、表現するようになったとされています。

埒が明かない

「埒が明かない」とは物事に決着がつかないことを意味します。
「埒」もまた建築用語で、囲いや仕切りなどのことを表しています。

もともと馬場の柵や神輿の柵を指しており、これが開かないと見学できない、つまり何もはじまらないという意味につながって生まれた言葉とされています。

子はかすがい

「子はかすがい」とは、子供への愛情や存在によって夫婦仲が和み深まることを指します。
この「かすがい」とは、「鎹」と表記される工事現場などで見かける「コの字」型の釘のことです。

建材同士を繋ぎ合わせる際に使用されていることから、夫婦を繋ぎ止めておく子供の存在の例えとして使われるようになりました。

まとめ

「大黒柱」は、国や家など大きな集団から小さな集団まで、その組織を支えている人のことを指す言葉です。
家庭であれば夫や父を指す言葉として使われていました。
現在では、会社や企業であれば首脳陣、スポーツではエースとなる選手などをそれぞれ指して使われることがあります。

その語源は、平城京の大極殿から来たとも、台所や食堂で大黒天を祀ったことに由来するともされています。

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