「不倶戴天の敵」とはどんな相手を指す言葉?その意味や由来を解説!!

「不倶戴天の敵」とは、生かしておけないと思うほど憎しみを強く抱いている相手のこと。
とても怖い言葉ですが、中国の仇討ちの考え方からを由来とする言葉です。

そこでここでは、憎い敵を言いあらわす「不倶戴天の敵」の意味や由来について解説します。

「不倶戴天の敵」とは

まずはじめに、「不倶戴天(ふぐたいてん)の敵」にはどのような意味があるのかを見ていきましょう。

「不倶戴天の敵」の意味

「不倶戴天の敵」とは、相手を生かしておけないと思うほど憎しみを強く抱いている敵を意味します。

「同じ天の下にはいられない」という状況を指すので、「この世に生かしておけない」ということになります。
それほど恨みや憎しみ、怒りといった強い感情を向ける相手を指す言葉なのです。

「不倶戴天の仲」は更に強烈

不倶戴天の敵と似たような言葉として、「不倶戴天の仲」というものもあります。
こちらは、殺すか殺されるか、というような強い憎しみを含んだ関係を表す言葉となっています。

例文としては、
「アイツと俺は不倶戴天の仲だ」という使い方があります。
これはお互い殺意を向け合うどころかいつその手にかけあうかとわからない剣呑な間柄という事になります。

「不倶戴天の敵」の由来

非常に物騒な意味の「不倶戴天の敵」ですが、この言葉は中国の儒教の経典「礼記(らいき)」に記された一文が由来となっています。

元は「必ず親の仇は取らないといけない」という意味だった

礼記の一節には、「君父の讐は、倶に天を戴かず(くんぷのあだは、ともにてんをいただかず)」とあります。
こちらが、「不倶戴天の敵」の語源となった一文です。

この文を直訳すると、「父親を殺した相手とは同じ天を戴くことはできない」となります。
つまり、父親を殺された息子は必ず仇を取らないといけないということになります。

この意味が変化して、現在では「生かしておけないほど深く憎んでいる相手」を指す言葉になりました。

原文には続きがある

原文では、この一説の後にまだ続きがあります。
それは、「兄弟の讎は、兵に反らず、交遊の讎は、国を同じくせず(けいていのあだは、へいにかえらず、こうゆうのあだは、くにをおなじくせず)」というもの。
「兄弟の仇に対しては、武器を取りに帰らずその場で仕留める。友人の仇とは同じ国にいることはできない」という意味になります。
いずれも、強い憎しみを感じる言葉です。

「不倶戴天の敵」の類義語

 

「不倶戴天の敵」と同様に、憎たらしい相手を指す言葉は他にもあります。
ここでは、類義語として「恨み骨髄に徹す」「意趣遺恨」「臥薪嘗胆」「漆身呑炭」について見ていきましょう。

恨み骨髄に徹す

「恨み骨髄に徹す」は、恨みが骨の芯まで染み通るほど深い恨みを抱いていることを意味します。
恨みが体の芯まで至るほど、相手を強く恨んでいるということになります。

「あの時のひとことによって、彼への恨みが骨髄に徹した」というような使い方をします。
彼が発した一言が心底許せるものではなく、深く強烈な憎悪をいだくようになったという事になります。

意趣遺恨

「意趣遺恨」は、他人への深い恨みをあらわす言葉です。
「意趣」は人への恨みを意味し、「遺恨」は長い期間持ち続けている恨みを意味します。

「彼女への意趣遺恨をぶつける」という文は、彼女に対して長い間ずっと憎しみを抱いていたという状況をあらわしています。

臥薪嘗胆

「臥薪嘗胆」は、復讐をとげるためならいかなる苦労に耐えることを意味する言葉です。
また、成功するための苦労の積み重ねといった意味合いでも使用されます。
そして、決して忘れられない苦く苦しい恨みを抱く存在として用いることもあります。

「薪の上に寝て苦い胆(きも)を嘗める」ということを言いあらわしている言葉であり、もともとは戦に負けてしまった汚名を返上し、仇を討とうと苦労を重ねることを意味する言葉でした。

最近では、成功のために頑張るというような、ポジティブなニュアンスを込めた意味でも使われます。

漆身呑炭

「漆身呑炭(しっしんどんたん)」は、、仇を討つためにはどんな苦しみや苦労もいとわないことをあらわします。
「漆身」は身体に漆を塗りつけること、「呑炭」は炭を呑むことを意味します。

この言葉も中国の故事が由来となっています。
春秋戦国時代に活躍した、晋の「予譲」という人物は、主君の仇を討つために漆を塗って肌をかぶれさせ、炭を呑んで声が出ないようにして変装し、敵討ちの機会をうかがったのだとか。
この復讐劇を由来として、「漆身呑炭」という言葉が生まれました。

まとめ

「不倶戴天の敵」とは、生かしておけないと思うほど憎しみを強く抱いている相手の事を指す言葉です。
もともとは中国の書物に記された言葉で、「父親を殺された息子は必ず仇を取らないといけない」といった内容が転じた言葉となっています。

ちなみに、元の言葉にはその後に「兄弟の仇は武器を取りに帰らずその場で仕留める、友人の仇は国を同じくして住むことはできない」といった内容が続きます。

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