いの一番は、「真っ先」「一番目」のようなことを指す言葉です。
では、この言葉の「い」とは何を指しているのでしょうか。
その由来は、いくつかの説があります。
そこでここでは、「いの一番」の意味や由来について解説します。
目次
「いの一番」とは
まずはじめに「いの一番」の意味、そして類義語について見ていきましょう。
「いの一番」の意味
「いの一番」は、真っ先・一番目・他の人に先がけて・他のことを後回しにしてといったことをあらわす際に用いられます。
最初という事を強調する際に使われる言葉です。
「いの一番」の類義語
「いの一番」には、「皮切り」や「初っ端」といった類義語があります。
皮切り
「皮切り」は、物事の始め・きっかけということをあらわす言葉です。
『彼の行動を皮切りにその社会運動は始まった』といった使い方がされます。
「皮切り」の由来は、お灸にあるとされています。
一番最初に据えるお灸は、皮膚が切られるようなひどい痛みがあります。
このことから、最初のお灸を「皮切り」と呼んでいたことが由来とされています。
初っ端
「初っ端(しょっぱな)」は、物事の最初を指す言葉です。
端は、「端(はな)から」という表現もあるように初めからという意味も含む語です。
初と端という、同じ意味の言葉を重ねることで、意味をより強調した表現となっています。
「いの一番」の「い」の意味は?
「真っ先に」といった意味で用いる「いの一番」の「い」は、どのような由来があるのでしょうか。
「いろは」の「い」から来たとする説
いの一番の「い」は、『いろはにほへとちりぬるを』で知られる「いろは」が由来とする説があります。
この「いろは」は、「いろは歌」から来ています。
そのいろは歌では、一番最初の文字が「い」となっています。
そのため、物事の最初を「いの一番」と言うようになったとされているのです。
建築用語から来たとする説
いの一番の「い」は、建築用語から来たという説もあります。
古くからの日本の建築図面は、碁盤のようなマス目上に描く際に、横軸を「いろは」、縦軸を「一二三」の漢数字で示されてきました。
そのため、起点となる縦横軸のゼロのポイントは「『い』の『一番』」と呼ばれます。
これが「いの一番」の語源ともされています。
由来となる「いろは」の秘密
いろは歌にせよ、建築用の図面からにしても、由来には「いろは」が関わっているというのは確かなようです。
そこでここでは、「いろは」の秘密についてご紹介します。
いろは歌は意味が通るのに音の重複が無い!
いろは歌は、七五調を4回繰り返す今様形式をとっています。
その上で、各仮名の使用は1回ずつで重複はしていません。
1つの歌の中で仮名を重複させずに使うというだけでも難しいのに、意味の通る歌として成立させている、実に完成度の高い歌なのです。
作者は不明
このスゴい「いろは歌」、その作者は不明だとされています。
弘法大師の名前でも知られる空海が作ったとする説が有力と言われることが多いですが、詳細は分かっていません。
他にも柿本人麻呂や源高明といった人物が作ったという説もありますが、こちらも確かな証拠はありません。
いろは歌はなぜ作られた?
いろは歌の中には、仮名文字がすべて含まれています。
そのため、手習いの手本のために作られたとされています。
また、いろは歌の独特のアクセントが日本語よりも中国語に近いという意見から、中国語のアクセントの練習のために考案されたとも言われています。
まとめ
いの一番は、「真っ先」「一番目と」いう意味の言葉。
いろは歌において「い」が一番最初の文字であることが由来であると考えられていますが、建築用語に由来しているとする説もあります。
類義語には、「皮切り」や「初っ端」があげられます。