「泥仕合」とはどんな状況を意味するの?その表記はなぜ「試合」ではないの??

相手と醜く罵り合うことをあらわす「泥仕合」。
この言葉は、内容の酷い争いを指した言葉です。

しかし、なぜ「泥試合」ではなく、「泥仕合」と表記するのか。
その理由はこの言葉の成り立ちにありました。

ここでは、この「泥仕合」という言葉についてその意味や成り立ちについて見ていきましょう。

「泥仕合」とは

 

まずは「泥仕合」という言葉について、その意味や由来を見ていきましょう。

「泥仕合」の意味

「泥仕合」とは、本来の争点を忘れてお互いの弱点や秘密などを暴き立てて醜く争うことを指す言葉です。
内容の酷い争いや、非難や欠点の言い合いに終始することも指します。

また、責任を擦り付け合って言い争うことについても使用されますが、総じてネガティブな表現とされます。

「泥仕合」の語源は歌舞伎にあり!

「泥仕合」は、歌舞伎における演出用語から来たとされています。
舞台上に実際の泥田を作り、その中で立ち回りをするという演出がありました。

この演出を「泥仕合」と言ったのですが、この演出を行うと立ち回りの中で顔や衣装など全身泥まみれになってしまいます。
この泥まみれになる様子から、醜い争いを「泥仕合」と表現するようになったとされています。

「泥試合」とは表記しない

「どろじあい」の表記は「泥仕合」です。
これは、仕合が「~し合う」という言葉から来ているためです。
何かしらの競技や試合をあらわす言葉ではないので、「泥試合」とは表記されないのです。

歌舞伎から来た言葉や名前は他にも!

 

「泥仕合」は歌舞伎から来た言葉の1つです。
このように、歌舞伎を由来とする言葉は他にもたくさんあります。
ここからは、この歌舞伎から来た言葉について見てみましょう。

十八番

「十八番」は、その人が一番得意としていることを指す言葉です。
際立って得意な芸などを言う際に用いられます。

この言葉は、歌舞伎の名家である市川家が得意としている18演目から来ています
なぜ18種類なのかは諸説ありますが、仏教に縁のある数字だからとする説や、武家が身につけるべきとされた武芸が18種だった事から来ているという説などがあります。

助六寿司

「助六寿司」は、かんぴょう巻きといなり寿司という組み合わせのお弁当のことです。

これは、歌舞伎の演目「助六由縁江戸桜」から来ました。
その名前は、この演目の主人公「助六」からきており、作品のヒロインの名前「揚巻」が油げを使ったいなり寿司とかんぴょうに結び付けられたものなのだとか。

なあなあ

日常用語で用いられる「なあなあ」も、歌舞伎から生まれた言葉とされます。
「なあなあ」とは、適当に折り合いをつけていい加減に済ませることです。
また、馴れ合いや妥協によって安易に済ませてしまうことも指す言葉です。

これは、歌舞伎で「なあ」という片方の声にもう片方が「なあ」と返す、掛け合いのひとつから生まれた言葉なのだとか。
この掛け合いでは、相手の表情や仕草だけで気持ちを表現するものとなっています。

クマノミ

 

オレンジ色の体がかわいい熱帯魚「クマノミ」、その名前も歌舞伎から来ました。
クマノミは漢字で「隈之実」と書きます。
この「隈」とは歌舞伎役者の「隈取り」のことです。
そこに、古くは小さな魚を意味した「実」を付けることでクマノミとなったわけです。

歌舞伎における「隈取り」は。演目に欠かせない化粧です。
クマノミという名前は、そんな「隈取り」をした歌舞伎役者のような模様が体の側面にあることから来ているのです。

まとめ

「泥仕合」は、歌舞伎における泥田を舞台に作って立ち回りをするという演出から来た言葉です。
本来の争点を忘れてお互いの弱点や秘密などを暴き立てて醜く争うことを指す様子に対して用いられます。

泥試合ではなく「泥仕合」なのは、この言葉が「〜し合う」という意味合いから来ているためとなっています。

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