「糟糠の妻」とはどんな人物を指すの?その意味や成り立ちをご紹介

苦楽をともにしてきたかけがえのない妻という意味で「糟糠の妻」という表現がされることがあります。
この言葉の「糟糠」とは何を指しているのでしょうか。

しかし、なぜそのような妻のことを「糟糠の妻」と呼ぶのでしょうか。
ここでは、この「糟糠の妻」という言葉についてその意味や由来について見ていきましょう。

「糟糠の妻」とは

まずは「糟糠の妻」という言葉について見ていきましょう。

「糟糠の妻」とはこんな人

「糟糠の妻」とは、貧しい時代から一緒に苦労を重ねてきた妻のことを指す言葉です。
現在用いるには古めかしい表現となり、一種の前時代的な言葉となっています。

現状でも貧しい状態なら用いない

「糟糠の妻」は、貧しく辛い時代を共に乗り越えた妻に対して用いる言葉です。
そのため今現在も貧困にあえいでいる状況なら用いることはありません。

昔は貧しかったとしても、今現在は豊かで恵まれた生活を送れている状況にある人が使用します。

「糟糠の妻」の由来

では「糟糠の妻」はどのようにして生まれたのか、その由来について見ていきましょう。

「糟糠」とはなんのこと?

「糟糠」とは、米糠や酒粕のことです。
糟は「カス」で、糠は「ヌカ」をそれぞれ指します。

米糠や酒粕を食べないと食いつなぐことができないほど貧しい、ということをあらわしているわけです。

出典は『漢書-宋弘伝』から

「糟糠の妻」という言葉は、中国の歴史書「漢書」の宋弘伝に出典があるとされています。

前漢の時代に政治家として活躍した宋弘に、皇帝の姉と結婚させようという話が持ち上がりました。
しかし、既婚者だったため、宋弘を現在の妻と別れさせる必要がありました。

そこで、皇帝が「身分が高くなったら、友として付き合う人物を変える必要がある。そして、同じように富を得たのなら妻もその立場にふさわしい人物に変える必要がある」と宋弘に告げました。
この言葉を聞いた宋弘は「貧賤の知は忘るべからず、糟糠の妻は堂より下さず」と返しました。
つまり、「貧しかった頃の友は忘れてはいけないし、貧乏暮らしで苦労をさせた妻を粗略に扱ってはいけない」と返したのです。

この言葉を聞いた皇帝は、即座に姉と結婚させるのは無理だと判断したと伝わっています。

そして、「宋弘」と「糟糠」がかかり「糟糠の妻」という表現が生まれたとされています。

まとめ

「糟糠の妻」とは、苦楽をともにした妻という意味の表現です。
貧しい時代に支えてくれて共に乗り越えた、豊かになってからも一緒にいる妻ということになります。
前時代的な言葉という側面もあるため、近年ではなかなか耳にしない言葉になっているかもしれません。

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