苦難や困難に遭遇して迷い悩み、そこから成長することを意味する「艱難汝を玉にす」。
大きな壁を乗り越えることで人間として成長できるということを言ったことわざです。
ここでは、この「艱難汝を玉にす」という言葉について、その意味や由来、類義語について見ていきましょう。
目次
「艱難汝を玉にす」とは
まずは「艱難汝を玉にす」という言葉の意味について見ていきましょう。
「艱難」とは
「艱難」とは、困難や苦労に遭遇して迷い悩むことです。
特に、人生で挫折するほどの大きな壁を指して用いられます。
自分にとって乗り越えるべき状況に遭遇した際に使用されることもあります。
「玉にす」とはどんな状況?
「玉にす」とは、立派になることです。
磨き上げて宝石のようになる、つまり人間として成長できる状況ということになります。
「艱難汝を玉にす」の意味
以上のことを踏まえると「艱難汝を玉にす」は、困難や苦労を克服していくことで立派な人間になるという意味になります。
すべてが思い通りになる人生や苦労することを放棄した人生だと、人間は何も成長しません。
壁にぶつかって悩んでいくことで人間として大きくなれるということをあらわしています。
その意味から、現代では挫折しそうな人に対する励ましの言葉として使用されることもあります。
「艱難汝を玉にす」の由来は外国のことわざ?
日本のことわざには中国の故事から来たものが多いですが、「艱難汝を玉にす」は漢籍に出典が確認できません。
その由来は、フランスのことわざを英訳したものとされます。
ここからは、「艱難汝を玉にす」の成り立ちについて見ていきましょう。
原形とされることわざ「Adversity makes a man wise」
「艱難汝を玉にす」の原形はフランス語のことわざを英訳した「Adversity makes a man wise」とされています。
地中から掘り出された粗玉が磨かれて美しい玉になるという様子をあらわした言葉で、この言葉は「逆境が人を賢くする」という意味で使用されることわざとなっています。
この「Adversity makes a man wise」を意訳したことで、日本語では「艱難汝を玉にす」となったのです。
「艱難汝を玉にす」の類義語
最後に「艱難汝を玉にす」の類義語も見ておきましょう。
類義語としては、「若い時の苦労は買ってでもせよ」「雪に耐えて梅花麗し」などがあげられます。
若い時の苦労は買ってでもせよ
「若い時の苦労は買ってでもせよ」とは、若い時の苦労は将来役に立つので自分からもとめてでもしたほうがいいという意味の言葉です。
若い時にした苦労したその経験は何者にも得難い、という意味合いでも用いられます。
雪に耐えて梅花麗し
「雪に耐えて梅花麗し」は、厳しい状況に耐えてこそ成長できるということをあらわしています。
梅は冬の寒さが厳しければ厳しいほど美しい花を咲かせると考えられていたことから来た言葉となっています。
この言葉は、植物の生長と人間の成長を重ねた表現となります。
まとめ
「艱難汝を玉にす」は、苦労や困難に立ち向かってこそ人は成長できるという意味の言葉です。
この言葉は、中国の故事などから来たものではなく、フランスのことわざを意訳したものとされています。