他と比べられないほど美しい女性を「沈魚落雁(ちんぎょらくがん)」と言います。
これはそれら絶世の美女を賞賛する四字熟語の一種です。
しかし、なぜそれを「沈魚落雁」と表現するのでしょうか?
今回はそれら「沈魚落雁」について解説します。
特にここでは「沈魚落雁」の意味はもちろん成り立ちや類義語などについても説明します。
目次
「沈魚落雁」とは
まずは「沈魚落雁」という言葉の意味を見てみましょう。
「沈魚落雁」の意味
「沈魚落雁」は他と比べられないほど美しい女性のことです。
これらは絶世の美女を例える表現として使用されます。
要は綺麗な女性やかわいい女性のことを表現した四字熟語です。
そのため、その多くは賞賛の際に使用されるのが特徴です。
「沈魚」と「落雁」とは
「沈魚落雁」は絶世の美女の例えとして使用される言葉です。
しかし、熟語ごとに分けて見るとそのような意味はありません。
事実「沈魚」は魚が沈むことを意味しています。
また「落雁」も雁が落ちることを意味します。
つまり、これらはもともと魚や雁が美人に見とれてしまうことを言った表現の1つだったとされているのです。
そこから転じて、美しい女性そのものを表す表現として広まったとされています。
現代では女性への褒め言葉として使用されることが多いです。
「沈魚落雁」の由来
では「沈魚落雁」はどこから来た言葉なのでしょうか?
ここからは「沈魚落雁」の成り立ちを見ていきましょう。
中国の古典「荘子-斉物論」の一節が出典
「沈魚落雁」は中国の古典「荘子-斉物論」の一節から来ていると考えられています。
そこには「毛嬙麗姫、人の美とする所也、魚之を見て深く入り、鳥之を見て高く飛ぶ」という言葉があるのだとか。
これは美しい女性を見た魚が恥らって水に潜り、雁が見とれて空から落ちるということを意味しているようです。
つまり、魚や雁が圧倒されるほどの美人を例えた表現だったわけです。
しかし、これらの表現はもともと人間と動物の価値観の違いを言った言葉でもあったとされています。
事実、人の目には美しく見えても魚や雁にとっては驚いて逃げる対象として見えることがあります。
実際に「沈魚落雁」の出典ではどんな美女でも魚や雁からすればただの人に過ぎないことを言った言葉だったとされています。
それら人間から見ると美女に見えても、魚や雁から見ると恐れる対象でしかないことを言ったのが「沈魚落雁」なのです。
そこから転じて、現代では絶世の美女を表す表現として使用されるようになったと考えられています。
由来となったのは「中国古代四大美女」のひとり!
「沈魚落雁」は古代中国の美女として知られる西施から来ています。
彼女は王昭君・貂蝉・楊貴妃とともに中国古代四大美女の一角を担う絶世の美女だったとされています。
ただ、俗説では絶世の美女である彼女達にも一点ずつ欠点があったとされているそうです。
事実、西施の場合は大根足であったことが挙げられています。
実際に彼女は常に裾の長い衣が欠かせなかったとか。
その一方、彼女が川で足を出して洗濯をする姿が画題にされることもあったそうです。
中には彼女の美しさは誰もが見とれるほどだったという話もあるとか。
そこから「沈魚落雁」という言葉が生まれたことは間違いなさそうです。
「沈魚落雁」の類義語
最後に「沈魚落雁」の類義語についても見ておきましょう。
閉月羞花
「閉月羞花」とは容姿が美しい女性のことです。
そのあまりの美しさに月が隠れ、花も恥じらうことを意味します。
それら美しさの表現として使用されている点が「沈魚落雁」と同じと言えるのではないでしょうか。
明眸皓歯
「明眸皓歯」とは美人であることの例えです。
眼が美しく澄んでいて歯が白く整っていることを言った言葉となります。
それら美しさを意味するところが「沈魚落雁」と重なります。
まとめ
「沈魚落雁」は美しい女性の例えです。
中でも比べるものがないほどの絶世の美女を例えた表現とされます。
これらは主に女性に対して使用する褒め言葉となっています。
ただ、もともとは人間と動物の価値観の違いを言った言葉でもあったので、その背景については併せて知っておきたいです。