「羽化登仙」とはどんな意味の四字熟語?その由来や類義語は?

お酒に酔って良い気分になることを「羽化登仙(うかとうせん)」と言います。
これはもともと古代中国から来た言葉とされています。
しかし、なぜ「羽化登仙」と表現するのでしょうか?

今回はそれら「羽化登仙」について解説します。
特にここではこの四字熟語の意味はもちろん成り立ちや類義語についても説明します。

「羽化登仙」とは

まずは「羽化登仙」とはどのような言葉なのか見てみましょう。

「羽化登仙」の意味

「羽化登仙」とはお酒に酔って良い気分になることの例えです。
ほろ酔い気分で気持ち良くなっていることを言った言葉です。

ただし、これらの言葉には他の意味も含まれています。
そちらについては後の項目で詳しくまとめます。

「羽化登仙」にはネガティブな要素は含まれていない

「羽化登仙」の意味において「お酒に酔って」という部分を切り取ると悪い意味が含まれていそうな気がします。

しかし、「羽化登仙」には良い意味しか含まれていません。
実際にお酒を飲んで気分が良くなっていることを言う言葉です。
そこには悪酔いなどの意味も含まれていません。

そのため、ネガティブな要素はないと思って良いです。
むしろこれはポジティブな感情の表現と言えるでしょう。

「羽化登仙」の由来

では「羽化登仙」はどこから来た言葉なのでしょうか?
ここからは「羽化登仙」の成り立ちについてまとめます。

「羽化」といっても昆虫の羽化ではない

「羽化」とは羽が生えて天に昇っていくことを意味します。

通常「羽化」というと昆虫などが幼虫からさなぎを経て成虫になることを言う言葉とされています。
しかし、ここでは人が天に昇るための羽を得ることを言っているのです。

そこは昆虫とは関係ないので注意したいところです。
あくまでも山に住む仙人になることを指した表現となります。

「登仙」とは

「登仙」とは山に登って仙人になることを意味します。
これは古代中国の神仙思想に基づいていると考えられています。

事実、中国では古くから山に登ることで仙人になれると信じられてきたのだとか。

それが現代になってその手の思想も薄れ、次第に「天に昇るような気持ち」だけを表すようになったとされています。

出典は北宋時代の文化人「蘇軾」の詩から

「羽化登仙」の出典は栄の詩人である蘇軾の詩から来ています。

彼は「前赤壁の賦」という詩で「瓢瓢乎として世を遺れて独立し、羽化して登仙するが如し」と詠っています。
これは彼がこの世の憂さを忘れて楽しい気持ちになっていることを示した言葉です。

そこから転じて、お酒に酔ってふわふわとした気持ちになることを例えるようになったと考えられています。

「羽化登仙」の類義語

最後に「羽化登仙」の類義語について見てみましょう。
「羽化登仙」の類義語には「壺中之天」や「浅酌低唱」があります。

壺中之天

「壺中之天」とは酒を飲んでこの世の憂さを忘れる楽しみのことを意味する四字熟語です。

これはもともと俗世間とは異なった別天地、別世界のことを指す言葉でした。
それが転じて、現在のような意味となったとされています。
なお、この言葉は中国故事「後漢書-方術伝」から来ています。

後漢の時代、費長房という人物は市の役人をしていました。
ある日、彼は薬売りの老人が壺の中に跳び入るのを見たそうです。
誰もそのことに気づかなかったが、費長房はそれに気づきました。

その後、彼は老人に頼み込んで壺の中に入れてもらうことになったそうです。
するとその壺の中には豪華絢爛な建物が建ち並び、美酒佳肴に溢れていたのだとか。

そして費長房はその老人とともに贅沢を尽くしたと伝えられています。

そこから現在のような意味が生まれたとされるのです。
それらの点が「羽化登仙」と重なるのではないでしょうか。

浅酌低唱

「浅酌低唱」とはお酒を飲んで小声で詩歌を吟ずることを意味します。

「浅酌」は軽くお酒を飲むことを意味する言葉です。
「低唱」は低く歌を詠むことを意味します。

これはほろ酔い気分で歌を詠んで楽しむことを指した表現です。
また、そのような小酒宴のことを表すこともあります。

そういった点が「羽化登仙」と通ずるのではないでしょうか。

まとめ

「羽化登仙」はお酒を飲んで気持ち良くなることを言います。
特にお酒によってふわふわとした気分になることを言った四字熟語となるわけです。

これらはもともと古代中国から来た言葉とされています。
昔は仙人になって天に昇っていくことを指した言葉だったとか。
それが今のような意味に繋がったそうです。

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