
「これも任務のひとつ」
交通事故により目の前で父親を亡くしてしまった少女を、子守唄であやす警官。全米を中心に大きな反響を呼んだ出来事をご紹介します。
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一家6人の乗った車が横転し、父親が死亡する事故が発生
昨年6月、アメリカ・コロラド州で一家6人の乗った車が横転し、父親が死亡する事故がありました。事故にかけつけた警察によると、車に乗っていた大人2人と子ども4人全員が車外に投げ出され、父親はその場で死亡が確認されたといいます。
また、4歳の兄や乳児1人も重体になっていたそうです。
少女の気を現場からそらそうと思った
現場にかけつけた警察官のニック・ストラックさんは、消防隊員から2歳の女の子を預けられました。その時、女の子はガソリンまみれになって泣いていたそうです。
父親が死亡した上、残りの家族も重傷を負っている様子だったことから、少女の気を現場からそらそうと思ったというストラックさん。女の子を抱いた直後、自分の娘(ストラックさんには同じ2歳の子供がいる)が泣き止まない時のことを思い出したそうで、子守唄として「きらきら星」を歌い始めたといいます。
その時の状況をストラックさんは、こう語っています。
女の子は泣き止んで、歌のリズムに合わせて私の肩をさすっていた。
救助のヘリコプターが到着するなど慌ただしい現場。ストラックさんは現場とは違う方を指でさしながら、キラキラ星を歌い続けました。周囲にいた人が後に、「女の子が落ち着いていく様子が見てとれた」と証言していたそうです。
女の子の心には、はかり知れないほどの深い傷が残ったかもしれません。ただ、この時のストラックさんの対応により、その瞬間だけでも、どんなに気持ちが救われたか。
事故現場でのとっさの対応。ストラックさんは、「事故現場で同様する人の気持ちを落ち着かせることも、我々の任務」と語っていたそうです。この素晴らしい対応に、敬意を表したいと思います。