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8月9日、お気持ちを表された天皇陛下。日本国民から愛される天皇陛下ですが、とある出来事がきっかけで、タイの国民からも古くから愛され続けているといいます。
魚類学者※でもある天皇陛下。有名なエピソードのひとつにプラー・ニンという魚の話があります。
※日本魚類学会に属して28編の論文を同学会誌に発表。2000年には海外誌Geneに第一著者として論文が掲載される。また1992年にはScience誌に"Early cultivators of science in Japan"という題の寄稿を寄せている。魚類学における業績は各国で評価されている。
天皇陛下は魚類学者であり、1960年代にタイ国民の食糧不足の話を聞き、皇居で育てたティラピア50尾をタイの国王に贈った。その魚はタイ全土に広まり、陛下のお名前「仁」を付けてプラー・ニン(仁・魚)と名付けられ、今でも大衆に愛されている pic.twitter.com/zLiHzadM07
— ShounanTK (@shounantk) 2016年8月8日
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プラー・ニンとは、あまり馴染みのない名前の魚ですが、「ティラピア」という名でさまざまなところに流通しています。この「ティラピア」は外来種で、太平洋戦争後の食糧難の時代には貴重な蛋白源として重宝されていたそうです。
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東京五輪の年にタイをご訪問
1964年、東京オリンピックが行われた年。当時皇太子だった陛下が美智子妃殿下とともにタイをご訪問されました。当時のタイ国民は戦後混乱期の日本と同様、蛋白質不足に陥っており、その解決策を魚類に求めていました。
陛下は魚の養殖試験場を訪れになり、タイ国王ラーマ9世とも会談され、当時養殖研究されていた品種ではなく、ティラピアを育ててみてはどうかとご提案されたといいます。
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翌年の春、タイに50匹のティラピアを寄贈
タイから戻られた陛下は、赤坂御用池で育てられたティラピアを50匹、翌年の春にタイへ寄贈されました。ラーマ9世は宮殿の池でそれらを飼育。ティラピアの特長である飼育しやすさと旺盛な繁殖力により、瞬く間に稚魚を増やし、1万匹もの数が養殖場に運ばれたといいます。
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その結果、ティラピアはタイを代表する国民的な魚にまで浸透。それに伴い、国民の栄養状態も徐々に改善。華僑により仁魚という漢字がつけられ、タイ語でもプラー・ニンと呼ばれ親しまれています。「仁魚」の「仁」は陛下の明仁の名からとったもので、「プラー・ニン」の「ニン」も仁の字からきています。また、プラーとはタイ語で魚のことです。
バングラデシュの大飢饉の際には、タイから50万匹のティラピアを寄贈
タイ国民の栄養状況を改善したティラピアはその後も養殖が進み、1973年に発生したバングラデシュの大飢饉の際には、タイからティラピアが50万匹贈られたそうです。今ではタイの国民的な魚として親しまれているティラピア。そのきっかけを作ったのが天皇陛下だったのです。
天皇陛下が日本国民をはじめ、世界中の多くの人々から愛されている理由を改めて感じさせてくれるエピソードですね。
出典:www.mofa.go.jp / www.bangkokshuho.com