
人間の舌先は1つなのに対し、蛇の舌先は2つに分かれていますよね。
これについて不思議に思ったことはありませんか?
今回は蛇の舌がなぜ2本に分かれていて、なぜチョロチョロと出し入れしているのかについて解説します!
実は意外な機能を持っているので、その事実を知れば驚くかもしれません。
目次
蛇の舌が二股なのは・・・

蛇の舌は二股に分かれていて、常に出したり入れたりしています。
これは生きるために必要な行為の1つであり、蛇は舌を使ってこの厳しい生存競争を生き抜いているのです。
ヤコプソン器官
鼻がある生き物は匂いを感知できる機能が備わっているのですが、鼻以外にもヤコプソン器官と呼ばれる嗅覚器官が多くの生き物には備わっていました。
しかし、蛇以外の生物ではそのほとんどが退化してしまっている器官です。
蛇の場合はその器官が口の中の上顎部分にあるため、舌をチョロチョロと出し入れすることで空気中の匂い成分をこのヤコプソン器官へと運び感知しているのです。
二股に分かれている理由
蛇の舌が二股に分かれている理由は、ヤコプソン器官に関係しています。
ヤコプソン器官は1対の器官で鼻の穴のように2つあります。
そのため二股に分かれた舌で左右それぞれのヤコプソン器官に伝達します。
その左右の微妙な違いから、周りの状況を把握していると言われています。
人間に備わっている耳などの器官も左右で音を聞き分けることができ、どちらから音が伝わってきたのかわかるようになっていますよね。
蛇の舌も同様にどちらから匂いが伝わってきたのかを時間差で感知するために、舌先が二股になったのではないかと考えられています。
頻繁に出し入れする理由
蛇の舌は味覚器官のみではなく嗅覚器官としての働きも持っています。
むしろそちらの比重の方が重く、周囲の匂いを判別するのに役立てているのです。
頻繁に出し入れすることで匂いを感じているため、常に蛇は舌先をチョロチョロと動かしています。
元々の鼻はの役割は?
蛇の舌が鼻の役割を持っているのなら、もともとの鼻の穴はどうなっているのでしょうか。
ここからはそんな蛇の鼻の穴についてご紹介します。
実は鼻孔もある
蛇には鼻孔がしっかりと存在しており、口の中のヤコプソン器官とは完全に独立しています。
つまり、人間でいえば鼻が2つあるようなものです。
そのため蛇の鼻孔は、匂いを嗅ぐためというより、呼吸をするために使われていると言われています。
蛇は大きな獲物を丸呑みにした際など、口からの呼吸が困難になるため鼻の穴が役に立つと言われています。
とはいえ、もちろん鼻として匂いを嗅ぐ機能がないわけではありません。
蛇独特のピット器官

ピット器官とは赤外線感知器官のことです。
これは蛇の中でも一部の個体のみが持っているセンサーのようなもので、生きていくために非常に重要な役割を持っています。
夜行性で目が悪い蛇にとっては重要な器官の1つであり、主に鼻や口の周辺にあります。
蛇の中でも一部の蛇にしかない器官で、蛇の顔を見た際に、鼻の穴以外の小さな孔があるものがそれにあたります。
蛇の中でも一部のみ
ピット器官は環境の明暗に関わらず、動物の存在を察知できる優れたセンサーです。
蛇の中でも、ボア科ボア亜科、ニシキヘビ科、クサリヘビ科マムシ亜科の蛇のみが持つ機能であり、これによって蛇は身を隠したり逆に狩りをしたりします。
蛇の中には目を覆われてもピット器官だけで獲物を追跡したり、捕食したりする個体もいるとの記録があります。
温度センサーの感度が桁違いのため、どんなに暗くても動物の動きがわかってしまうのです。
そのためピット器官をもっている蛇たちは、五感ではなく、七感の感覚を持っているということになります。
ものすごく敏感な生き物なのです!
蛇の歩行の不思議
足のない蛇はどうやって前に進んでいるのでしょうか?
これは結論を先に言ってしまうと、腹板という鱗を引っ掛けて進んでいると考えられています。
そのため、引っ掛かりがない場所では進めません。
蛇には骨がないと思っている人もいますが、実は骨と筋肉の塊です。
個体によって120個~240個もの背骨を持っています。
多い個体だと500個以上の背骨を持つ個体もいるのだとか。
骨が多いからこそ柔軟な動きができ、それらの骨と筋肉、そして腹板を上手に使って前に進んでいます。
フリース生地を進めない蛇
腹板が引っ掛かるところでないと先に進めないため、フリース生地など柔らかい布に置かれると蛇は動けません。
厳密には動こうとしますが、前に進めないのです。
ただ、砂のようにフワフワでサラサラなものであっても、質量のあるものであれば徐々に前に進める蛇もいます。
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まとめ
蛇の舌が二股になっているのは、匂いと方角を感知するためです。
また、蛇は腹板という鱗で前に進んでいるため、引っ掛かりがないところだと進めません。
苦手な人も多い蛇ですが、そういうところは愛らしいですよね。