
日頃から何気なく使っている、「冷たい」という表現。
冬になったら使用頻度も上がるこの言葉、その由来はなんと平安時代にまでさかのぼるんです!
しかもその語源は爪が痛いなんだとか??
ここでは、この「冷たい」という表現について見ていきましょう。
目次
「冷たい」の語源は何が由来?

「爪が痛い」さまから
「冷たい」の語源は、爪が痛い」からきているという説が有力とされています。
平安時代よりも前の時代、寒さによって指先や足先の爪やつま先が痛く感じることから、「痛いくらい寒い」ことの形容として使われるようになった言葉なのだとか。
つめいたし→つめたし→冷たい
当時、「爪痛し(つめいたし)」という言い回しで使われていたものが、「つめたし」と徐々に変化していったのだそうです。
それが更に変化して、現在の「冷たい」になったのだとか。
元々は「とても寒い」ことを言い表す言葉でしたが、時代が進むにつれて触れたものの温度を表す言葉に変化していったそうです。
人の態度・言葉などに使う「冷たい」は?

こちらも同じ語源が由来
「〇〇さんの態度が冷たい」など、人の態度や言葉などに対しても「冷たい」という言い回しを使うことがあります。
これも元々の「冷たい」と同様の語源からきている言葉だという説が有力。
最初は気温や触れたものの温度を表す言葉でしたが、転じて人の態度や性格などに対しても「冷たい」と言うようになりました。
現在と同じ比喩表現から
「冷たい」は、ものの温度の低さから、人の態度が冷淡であることにも古来から使われていたという説もあります。
つまり、現在と同じ比喩表現だった、ということになります。
元々は“つべたまし“
人の態度や言葉を「冷たい」と表現は、元々は「つまべたし」と言っていた、という説もあります。
実際、『源氏物語』などでも眼差しが冷たいことを「つまべたし」と言い表しています。
この「つまべたし」も語源は。ものや気温の温度を指す「つめたし」だったそうなので、由来はほとんど一緒みたいですね。
「冷たい」の歴史は古く、枕草子でも使われている?

枕草子ではすでに「冷たい」が使われている!
「冷たい」という言葉は、実は『枕草子』で既に使われています。
137段に、このような1節があります。
「寒く冴えこほりて、打ちたる衣(きぬ)もつめたう、扇持ちたる手も冷ゆるともおぼえず。」(寒さに凍るほどだが、打ち衣も冷たく、扇を持っている手が冷えているのにも気づかない。)
「つめたきころ」という言い回しも
枕草子の文面には、「つめたきころ」という言い回しもあります。
「いとつめたきころなれば、さし出でさせ給へる御手のはつかに見ゆるが・・・」(とても寒い時期なので、差し出した袖から手が少し見えておりますが・・・)
179段にあるこの1節で使われている「つめたきころ」という言い回しは、「寒い頃」という意味。
このころはまだ気温にも「つめたき」が使われていたことがよくわかりますね。
まとめ

「冷たい」といういまでは馴染み深い表現、その歴史について見てきました。
痛いくらい寒いことを指す「つめいたし」が変化して「つめたし」となり、それが更に現在の「冷たい」の形になったとされています。
なんと、『枕草子』の時代から使われている言葉なんだそうです。