「漫才」と「コント」の違いをご存知でしょうか?テレビやYouTube、劇場でのライブなど様々な形でお笑い芸人のネタを目にする機会はあると思います。
あなたが満喫した楽しい時間は「漫才」を見て腹を抱えて過ごしたのでしょうか?それとも「コント」ですか?今回は「漫才」と「コント」の違いをご紹介します!
目次
お笑いの定番「漫才」と「コント」
漫才とは
「漫才」とは主に2人組で行われる話芸です。コンビの場合、一般的にはボケとツッコミの役割を演じます。2人の滑稽なやりとりを見せることで観客からの笑いを誘っていきます。
話のネタだけではなく言葉の表現や言葉遣い、会話の間の取り方なども笑いを取る重要な要素となります。
コントとは
「コント」は笑いを取ることを目的をした寸劇です。1人で行われることもあれば3~4人でグループを組んでいることもあります。必要に応じてネタに対応した舞台セットや小道具の用意や化粧や変装することもあります。
また、寸劇なので役やキャラクター設定・舞台設定があり、コント中はその設定や役を演じることでで笑いを取っています。話だけで笑いを取ろうとするのではなく、衣装や舞台上に用意した照明や音響それに小道具を用いて笑いを誘うこともあります。
「漫才」と「コント」はここが違う
明白な違い
演じ方が違う
「漫才」は本人がボケかツッコミとしての本人自身を演じることで展開していきます。
しかし「コント」はキャラクター設定、舞台設定といったシチュエーションに合わせた役に入って演じることでストーリーを進めていきます。
始まり方が違う
「漫才」は一般的に舞台に上がったら挨拶と自己紹介をしてからネタを始めます。「コント」は寸劇なので、最初からそのネタの世界観に合わせて始まります。
たしかに「漫才」は、「はい、どうも~(コンビ名)です~」といった挨拶から始まりますよね!それに対して「コント」は簡潔にコンビ名とコントのタイトルを言うとその直後からネタの世界観に移りネタがはじまります。このところからも違いは見えてきますね。そして始まり方が違うなら終わり方もやはり違います。
終わり方も違う
「漫才」はボケ担当がネタのボケに対してツッコミ役が「ええかげんにせえ、もうええわ。」などで締めるセリフを言うのが一般的です。一方の「コント」はネタが終わると舞台が暗転、照明が落ちステージ上の姿が見えなくなるのが一般的ですね。
筆者の想像ですが、コントの場合は寸劇ですので、終わりましたとアナウンスをしたら直前までの世界観が台無しになります。そのため最後まで演じつつ客や視聴者側に終わったのをわかりやすく伝えるために暗転しているのではないでしょうか。
衣装が違う
「漫才」は基本的にネタ中の服装に制限がかかることはないので、スーツ姿だったり私服姿だったりと日常でも目にする服装が多いですよね!
「コント」はネタの世界観・舞台設定に合わせた服装になります。そのためスーツや私服のような姿もありますし、カフェの店員であったり学生といった姿からシチュエーションによっては女装をしたりと多種多様です。ネタによっては衣装姿が出オチになって笑ってしまうこともありますね!
漫才の中でコントが起きることも
漫才の中で「〇〇してみたいから、お前△△の役やって」というネタ振りを見たことはありますか?
漫才の途中でコントを導入する。これは「漫才コント」とも「コント漫才」ともいわれているそうです。ショートコントと漫才を交互に入れる場合や、漫才は途中まででそこから最後まではコントを続けるなど、バリエーションも豊富なため数多くの芸人がやっています。
漫才は本人役で演じる、コントは役に入って演じるものと前述しましたが、「漫才コント」は一つのネタで両方ともやるいいとこどりな構成なんですね!ちなみに多くの場合は、最初と最後は漫才の形式を取られていますのでジャンル的には漫才になるそうです。
「漫才」と「コント」の歴史
漫才の歴史
漫才の歴史は古く、新春に家々を訪れ祝言を述べる「萬歳」とよばれる伝統芸能が平安時代ごろから日本にはありました。その中でも江戸時代初期に成立したと考えられている「尾張萬歳」が今の「漫才」の原型というのが諸説ある中の一つとなっています。「尾張萬歳」とは扇子を持った「太夫」と鼓を持った「才蔵」の二人組で催される芸能事です。「才蔵」の鼓に合わせて「太夫」が祝言を述べて舞ったり、言葉の言い立てや滑稽な掛け合うそうです。二人組が言い合いや掛け合いをして人々を楽しませる、確かに今の漫才にそっくりですね!
そしてその「萬歳」が現在の「漫才」形に変わったのは昭和の初めのことです。明治時代に大阪の芸人が巡業で愛知に行った際に「尾張萬歳」を習い、鼓の替わりにハリセンを持たせたり、話の内容を教養がなくてもわかる大衆的な内容にするといった変化がされて「万才」や「音曲万才」と呼ばれていました。
そのように変化をしていく中、昭和に入り一組のコンビが生まれます。それが現在の「漫才」を編み出した「エンタツ・アチャコ」です。1930年(昭和5年)にコンビを組んだ二人は現在でいう「しゃべくり漫才」のスタイルを確立しました。そして「エンタツ・アチャコ」は更に新しいスタイルを導入したのです!
・和装ではなく、スーツ姿で舞台に立つ。
・「俄(にわか)」と呼ばれる歌舞伎のような話し方をやめる
・高座では一人称は「僕」、二人称は「君」と呼び合う
このような変化は新しいもの好きな若者や風体が同じスーツ姿のサラリーマンには好評で、半年ほどで「エンタツ・アチャコ」は人気コンビとなったそうです。
しかし歌と踊りという「万才」の要素を廃して話芸だけになった「エンタツ・アチャコ」の芸に対して"もはや「万才」ではない"と判断した所属事務所の吉本興業は二人の新しい芸に名前を付けました。それが「漫才」です。この名前は当時の吉本興業の社長だった橋本鐵彦が命名したそうです。このような歴史を経て現在の「漫才」はでき上がったんですね!
コントはフランス語!?
コントはフランス語の「conte」から来ています。「conte」は短い物語や短編小説、寸劇といった意味になります。戦後すぐ、軽演劇の役者がストリップ劇場のショーの幕間に演じたり、キャバレーへの営業用に持ちネタを短縮して演じた芝居などがその原型と言われています。
MCやひな壇でしゃべっている姿もいいけど、漫才がやはり面白い芸人5選
お笑いを真面目に説明するだけではもったいないので、漫才が面白いと思った筆者オススメの大人気お笑いコンビをご紹介します。
チュートリアル
徳井義実と福田充徳によるコンビです。二人でひな壇にいる姿も見かけますし、徳井がバラエティ番組で進行をしている姿も見かけますよね!チュートリアルの二人は2006年M-1グランプリ王者でもあります。言わずと知れた二人ですが10年以上前のM-1グランプリ王者当時の漫才を今見ても笑ってしまします。特徴としては徳井のテンションが一気に上がっていく妄想ネタとそれにツッコミを入れながらも振り回されるネタが多いです。
博多華丸・大吉
福岡出身の二人、ボケ担当の博多華丸とツッコミの博多大吉によるコンビです。博多で15年以上のキャリアを積んだ後に東京に進出し、現在では朝の顔としてもTVで見かけますよね。そんな二人はTHE MANZAI 2014の優勝者でもある、生粋の漫才コンビでもあります。ネタとしては博多弁を多用し、内容も人を攻撃的するようなものは無く、穏やかで暖かい感じのネタが多いためファミリー層からも安心して見ていられると感じられており、幅広い層から人気を得ております。
千鳥
ボケ役の大悟とツッコミ担当のノブ、二人とも岡山県出身のコンビです。そんな二人の岡山弁と大阪弁とが混ざったネタや、ノブの「クセが凄い!」や「見ぃ〜!」といったツッコミも有名ですよね!
三四郎
ツッコミの小宮浩信、ボケの相田周二のコンビです。活舌の悪い小宮が逆ギレをしたり、「~であれ!」というツッコミも有名ですよね!展開がグダグダになって進んでいくスタイルのネタが多いです。
ハライチ
コンビで埼玉県上尾市出身、ツッコミ担当は澤部佑、ボケ担当は岩井勇気です。澤部はバラエティ番組でロケに行ったり進行をしていたり、岩井は腐り芸人としてもキャラを確立していますよね。そんなハライチは「ノリボケ漫才」で一躍人気を博たり、数分間ボケの岩井が喋らないネタを作るといった新しい漫才を見せてくれています。
バラエティ番組だけじゃない、コントが抜群に面白い芸人5選
サンドウィッチマン
2007年M-1王者のサンドウィッチマンはコントの名手でもあります。ツッコミ担当の伊達みきおとボケ担当の富澤たけしが「店員と客」といったベタな設定で繰り広げるコントは人気があり、YOU TUBE公式チャンネルで公開しているカラオケのネタは2019年7月現在で2250万回以上の再生数を誇っています。
サンドウィッチマンのコント「カラオケ」の動画はこちら
バイきんぐ
ボケ担当は西村瑞樹。ツッコミ担当小峠英二は「なんて日だ!」が有名ですよね。バラエティ番組などでも見かける小峠の怒り口調のツッコミはコントでも見ることができるので西村による過剰にも見えるボケに対してスッキリする展開になっています。
東京03
飯塚悟志、豊本明長、角田晃広の三人によるお笑いトリオ。キングオブコント2009王者である東京03のコントは「究極のリアル系コント」として人気ですよね。会社員などリアルな日常の一部をボケとツッコミを混ぜ込みコントを繰り広げていくネタが人気です。また、実際にはサラリーマン経験がない彼らはサラリーマンがリアルにしていそうな話題を調べキャラ作りをすることでコントのネタによりリアルさを出しているというから驚きです!
チョコレートプラネット
「TT兄弟」や松尾駿のIKKO、長田庄平の和泉元彌のモノマネで有名なチョコレートプラネットですが、コント作品もまたとても面白いです。特にボケとツッコミは固定の担当を持たず、ネタによってボケとツッコミ、ネタによっては二人ともボケの時もあります。
バナナマン
バラエティではMCでも活躍している設楽統と日村勇紀のコンビです。日村は「ヒム子」でも有名ですよね!結成当初は設楽がボケ、日村がツッコミで始まっていましたが、TVへの露出が増えた頃から日村がボケ、設楽がツッコミのスタイルになったそうです。コントは10~30分と長尺のネタを組み、TVでコントを披露する場合はショートコントや長尺のネタをTVサイズにしたコントを見せてくれています。
まとめ
「漫才コント」という「漫才」と「コント」のいいとこどりのネタが増えているため区別が曖昧になっていますが、成り立ちから全く違う演芸だったんですね。
ただせっかく芸人の皆さんが磨き上げた「漫才」や「コント」なので見ている間はこれは「漫才」でこの導入だから「漫才コント」だったといった野暮なことは考えず笑って楽しみたいですね!
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出典:YouTube(【公式】サンドウィッチマン コント【カラオケ】)