
「ハダカデバネズミ」という動物は一見脆弱な存在に見えますが、なんと老化しない動物といわれていますす。さらに寿命は30年あるというから驚きです!不老長寿の動物なんですね!
また、このハダカデバネズミは、役割を徹底された社会を構築するという面白い特性もあります。役割の中にはふとん係なんていうのもいるそうですよ。
そんな超長寿のネズミ、ハダカデバネズミの生態とその社会についてご紹介します!
目次
ハダカデバネズミは老化しない
ハダカデバネズミの生息域と生態
ハダカデバネズミはアフリカ大陸の北東部、エチオピアやケニア、ジブチそしてソマリアの地中に70から300匹にも及ぶ巨大な群れを作り、地下植物や植物の根を食べて生息しています。
体長は10cmに満たない小さな体をしており、外見の特徴としてはまず、体毛がほとんど生えていません。そして口を閉じていても、口から出るほど伸びた前歯をしているという2点があげられます。この前歯で穴を掘るため、口の中に土や砂が入らないように進化したので、口から歯が飛び出ていると考えられています。
体毛が生えていないからハダカ、口を閉じていても前歯が出ているからデバ、合わせて「ハダカデバネズミ」というそのままな名前が付けられたようです。
また、生涯を通じて地中でのみ生きてきたため体温調整が下手で、寒くなったら群れの中で体を寄せ合い、熱くなったら群れのいない巣の端の方へ行き涼を取ることで体温を調整するそうです。
老化しない、そして長寿という研究結果
一般的なネズミの寿命は大体2~3年、長くて4年ほどといわれています。しかしハダカデバネズミの寿命は30年近くあるといいます。なんと他のネズミの10倍も長く生きることになります!この寿命の長さはハダカデバネズミの体は老化しないことにあると考えられています。
老化しない事やなぜ長寿なのかについてはまだ研究中のようですが、その寿命の長さについて説明を諸説ある中から1つ紹介します。
代謝能力が低いため老化しない
ハダカデバネズミは生涯を通じて酸素の少ない地中で生きている上、恒温動物なのに体温調整が苦手という生態を持っています。
そのため恒温動物なら常に体温調整をするために行われている代謝によるエネルギー消費が、他のほ乳類に比べて非常に少なく済んでいます。この異常に少ない代謝がハダカデバネズミの寿命の長さにつながっていると考えられています。
また、老化は酸素を吸収することで起こる細胞の酸化が原因といわれています。しかし、酸素が少ない地中に住み、代謝による酸素の吸収が少ないハダカデバネズミはこの細胞の酸化がしにくいのではと考えられています。
徹底した役割分担社会
女王をトップとした社会構造
ハダカデバネズミは「真社会性」と呼ばれる生態をしています。真社会性とは女王のみが繁殖活動が行い、他の個体はそれぞれの役割を全うするという生態です。主にハチやアリに見られる生態です。
ハダカデバネズミの社会では女王が絶対であり、女王はさぼっていないか巣の中を見回りをしたりして、監視をしています。複数いる王と呼ばれる雄の個体は女王からの要求があれば常に生殖活動を行います。
女王でも王でもない個体は、巣であるトンネルを掘り進めるもの、餌を調達するものなどの役割に分かれ働いています。特徴的な役割もありましたので紹介します。
哀れ!兵士係
天敵の蛇はハダカデバネズミが掻き出す土の匂いを頼りに巣穴に侵入してきますが、その際に蛇の目前に出るのが兵士係です。兵士とはいっても他のハダカデバネズミと特徴は変わらず、歯以外固い部分を持っていないため文字通り蛇の前に出ることしかできません。その為、兵士係は捕食されます。
兵士係を捕食させて満足した蛇が巣から立ち去るのを待つ、というのがハダカデバネズミの生存のための戦術です。役目であり、群れ全体を守るのための犠牲とはいえ食べられるしかないというの兵士係が切ないですね。
ベビーベッドが仕事!ふとん係
生態を解説した際にハダカデバネズミは体温調整が得意ではありません。生まれたての赤ちゃんだとなおさら苦手です。その為、赤ちゃんが体温調整ができるようになるまでは代わりに温度調整をできる状況を作らないといけません。それを担うのがふとん係です。
ふとん係は体の上に赤ちゃんを乗せた状態で地面に横たわり体を動かさずに過ごす、敷布団のような存在になります。放っておいたら体温調整ができずに死んでしまうかもしれない赤ちゃんを守る非常に大切な役目なんですね!体を動かさずにずっと横たわっているとかものすごいしんどい役割のような気もしますが…。
日本で見られるハダカデバネズミ
日本の動物園にいるハダカデバネズミ
野生の生息地に行ってもその姿はまず見ることができませんので生きたハダカデバネズミを見るとしたら動物園に行くしかありません。そして日本の動物園でもハダカデバネズミは飼育されており、その姿を見ることができます。
ハダカデバネズミは飼育されている動物園をご紹介します。
・札幌市円山動物園(北海道)
・埼玉県こども動物自然公園(埼玉県)
・東京都恩賜上野動物園(東京都)
・体感型動物園iZoo(静岡県)
・長崎バイオパーク(長崎県)
あまり数は多くありませんが、確実にハダカデバネズミに会える動物園はありますので、機会がありましたらぜひハダカデバネズミに会いに行ってみてください!
ハダカデバネズミのきもかわいい姿
日本の動物園にいるハダカデバネズミがそのきもかわいい姿を見せてくれていますのでご紹介します。
みんな大好きハダカデバネズミ!
ハダカデバネズミは巣穴の生活に適応しています。そのため前進あるのみ!とは一味違う動きをします。うまく前に進めなければ、バックしたりでんぐり返ししたり、時には仲間を踏みつけたり(?)しながら気にせずどんどん進んでいきます。 pic.twitter.com/klov0IB12z— 上野動物園[公式] (@UenoZooGardens) 2019年7月25日
寿命が長いというのでのんびりしているのかと思いきや、あまり他のネズミと変わらないせわしさなんですね。
おはようございます。上野動物園開園です。
みなさんお正月はお休みできましたか?
サツマイモを枕にして寝ていますが酔っ払ってはおりません。#ハダカデバネズミ pic.twitter.com/qaQYDfVTOx— 上野動物園[公式] (@UenoZooGardens) 2018年1月5日
ハダカデバネズミだんご。シタノヒトは重くないのだろうか・・・ pic.twitter.com/QZxe8QvT
— 長崎バイオパーク公式 (@ngsbiopark) 2012年3月27日
ハダカデバネズミさんたち
おしくらまんじゅう状態(*^_^*) pic.twitter.com/f4PFuCCmw0— マルヤマン@円山動物園(公式) (@marudou_fan) 2017年3月2日
西園・小獣館・ハダカデバネズミの寝室からお昼をお知らせ。ユニークなのはその姿形だけではありません。アリ、ミツバチなどと同様、家族集団をつくり、階級社会である「真社会性」をもつ珍しい哺乳類なのです。(生まれたばかりのパンダ赤ちゃんと少し似てる…!?) pic.twitter.com/TdqI2ED6qg
— 上野動物園[公式] (@UenoZooGardens) 2017年12月10日
寝相はどこのハダカデバネズミもあまりよくないようですね!
ハダカデバネズミの赤ちゃん達への授乳シーンです。14匹の赤ちゃんは生後約1ヶ月間母親のミルクで育ちます。 pic.twitter.com/MSzZ4QUoPs
— iZoo (体感型動物園イズー) (@iZoo_iZoo_) 2016年8月25日
わらわらと赤ちゃんが群がっている授乳シーンですが、成獣も毛が生えていないので、大きさ以外はあまり大差ないんですね。
まとめ
ハダカデバネズミは代謝が少ないことや細胞が酸化しづらいことから老化をしない長寿なネズミのようです。また、研究の中でガンにならないのではとも言われているそうです。このネズミの生態の研究は人類のガン克服や健康的な長寿生活に役立つかもしれないと研究が進められているそうなので、今後の研究結果が楽しみですね!
また、様々な役割を課した社会構築も興味深いものでしたが、兵士係という存在が切なくて仕方ないです。動物園にいるハダカデバネズミには兵士係として捕食される運命の個体はいないでしょうから、みんな天寿を全うしてほしいものですね!!
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出典:wikipedia.org(ハダカデバネズミ)/ wikipedia.org(ハダカデバネズミ)/ Twitter(@UenoZooGardens)/ Twitter(@UenoZooGardens)/ Twitter(@ngsbiopark)/ Twitter(@marudou_fan)/ Twitter(@UenoZooGardens)/ Twitter(@iZoo_iZoo_)