アイディアが「煮詰まる」は本来誤用表現。しかし実は間違いとも言い切れない?

「煮詰まる」、という言葉を使うとしたらどのように使い方をするイメージがありますか
いい案が思い浮かばない時に「アイディアが煮詰まってしまった」という使い方などではないでしょうか。

実はこの用い方、誤用表現といわれています。
この使い方の何が間違いなのでしょうか。
一方、この使い方は間違いではないという説もあるようです。

間違っているのか間違っていないのか、どちらが正しいのでしょうか。

煮詰まるの誤用表現とは

 

「煮詰まる」を日常でつい『困ったことにアイディアが煮詰まってしまった』のような形式で使ってしまうことはありませんか?
これは煮詰まるの本来の意味とは異なる用い方となります。

煮詰まるの本来の意味

 

では、「煮詰まる」とは本来どのような意味があるのでしょうか。

煮詰まるとは

煮詰まるは、「料理を煮込みことで、水分が蒸発して完成間近になる」状況です。
そこから転じて、「(十分に議論や相談を重ねたので)結論が出る状態」を意味する言葉になりました。

そのため、例に当てはめると『困ったことにアイディアがもうまとまりそうだ』となってしまいます。
本来伝えたい言葉と逆の意味になってしまう上に、不自然な日本語になってしまいましたね。

本来使われる言葉は違う

 

「煮詰まる」が完成間近な状態を意味するのならば、アイディアが出てこない状態はなんといえばいいのでしょうか。

本来使われるべきは「行き詰まる」

『困ったことにアイディアが煮詰まってしまった』という場合、『困ったことにアイディアがうまくまとまらない』といった状況が想像されると思います。
それならば、本来使うべき言葉は、煮詰まるではなく、行き詰まるなんです!

行き詰まるの意味

行き詰まるは「(道が行き止まりになってしまい)先に行けない状態」をあらわすことから、「物事が前進しなくなる・進展がなくなる状態」も指す言葉です。
『困ったことにアイディアが行き詰まってしまった』と言葉を置き換えれば、意味が通じますよね。

本来の意味で使っている人は減っている

 

本来は「行き詰る」と同等の意味の「煮詰まる」。
ところが現在では多くの人が、誤用表現を誤用と知らずに使っているようです。

文化庁の調査結果

しかし、誤用している人が多くなれば、本来の意味で使うと意味が通じなくなるという逆転現象が起きます。

平成19年度に文化庁が行った、「煮詰まる」の使い方に関しての調査の回答では、30代の73.0%が誤用した「行き詰まる」の意味で使っていることが判明しました。

40代でも50.3%、全体では37.3%の人が意味を間違えて使用していました。
調査から10年以上った今、間違えた意味を覚えている人がさらに増えていると考えられます。

実は誤用とはもう言えない?!煮詰まるに追加された新しい意味

ここまで、「煮詰まる」と「行き詰まる」は意味が違い、混合されて誤用されていると解説をしてきました。
しかしこの考えはもう古く、「煮詰まる」は「行き詰まる」の意味で用いてもいいとされています。

辞書によってはすでに「煮詰まる」の意味に「行き詰まる」と同様の意味が書かれていることもあるようですよ。

まとめ

本来は結論が出そうな状況の意味の「煮詰まる」が言葉の似ている「行き詰まる」と意味が混合され、多くの誤用をされていました。
その誤用も非常に多くなり世代によっては70%以上の人が間違えて認識するようになり、ついには辞書の中でも「煮詰まる」の中で「行き詰まる」と同様の意味を追加されるようになりました。

「煮詰まる」は、時代の経過とともに変化していく言葉の代表格の一つとして考えられそうですね!

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