土地開発が原因で生息地を失い絶滅もしくは絶滅の危機に瀕している生き物は世界中に多くいます。
それは残念ながら日本でも起きており、日本で繁殖をしている「ミゾゴイ」という渡り鳥も現在絶滅の危機に瀕している一種です。
ミゾゴイは姿や羽な色が地味なこともあって全く目立たない鳥です。
そのため近年まで絶滅しそうという事どころかいつ頃からかその数を減らしていたという事さえ気付かれていませんでした。
目立たなかったがゆえに重大な危機に陥っているミゾゴイについてご紹介します。
目次
ミゾゴイの生息域と生態
ミゾゴイの生息域
ミゾゴイは日本で繁殖をし、フィリピンや中国の南東部、台湾で越冬するために移動する渡り鳥です。
日本では本州や四国、九州および伊豆諸島の平地や標高1000m以下の低山地にある広葉樹林や針葉樹林に生息しています。
ミゾゴイの生態
ミゾゴイは全長50cm、翼を開いた姿の翼開張は80~90cmになります。
赤褐色の頭部と上面、淡黄褐色の下面をしていて、暗褐色の風切羽の先端は赤褐色になっています。
魚や昆虫、甲殻類を捕食する肉食類で、特にミミズを主食にしていると考えられています。
特定のものを食べるのではなく、生息地の環境に合わせて食事は変わり、広葉樹の森の中ならば堆積した葉を食べるミミズや昆虫がメインになりますし、沢を生活の中心にしている際にはサワガニやカタツムリを捕食する生活に変更します。
気が付かないうちに絶滅寸前になっていたミゾゴイ
急速な生息地の減少
ミゾゴイの減少の理由はいくつか考えられています。
一つ目は越冬地となるフィリピンや台湾における森林の開発による減少。
二つ目が日本での繁殖環境の悪化。
三つめとして捕食者は増加。
この三点があげられています。
日本における繁殖環境の悪化は、巣を作るのに最適な森林が伐採され減少していること、土地開発、開発整備に伴う造成により生じています。
日本でも行われているこれらの森林伐採や土地開発はフィリピンや台湾でもおこなわれています。
ミゾゴイの捕食者は猛禽類やカラス、アオダイショウなどのヘビにテンやイタチです。
特にネズミ駆除のために三宅島へ持ち込まれたイタチが、繁殖に渡ってきたミゾゴイを襲いその数を減らしたのではと考えられています。
1000羽いないかもしれない
ミゾゴイは薄暗い森林の中に生息しているため目立たず、あまり名前の知られていない鳥でした。
その為いつ頃から数を減らしていたかの調査などがされていませんでしたが、1960年代以降生息場所の環境変化に伴いその数を減らしていっていたと考えられています。
ミゾゴイの個体数の変動傾向は明らかになっていませんが、繁殖地が日本に限定されていることなどから、1000羽いない可能性もあると考えられています。
まとめ
絶滅の危機に瀕しているミゾゴイですが、調査が十分に行われていないため個体数やその分布、移動のルートなど、いまだ生態や生息数も詳しくわかっておらず、保護対策が満足に講じられていないのが現状です。数は大変減ってしまっていますが、トキのように十分な対応が打てないうちにミゾゴイが絶滅してしまうなんてことが無いことを祈っています。