「牡丹」と「芍薬」は非常に似た花で、英語では「Peony」と共に呼ばれ区別がされていないほどです。どちらも日に透ける薄い花弁が幾重にも重なる華やかな花です。実は明確に区別をできるポイントがあります。
そこで今回は牡丹と芍薬の特徴と共に見比べるポイント、そして二つの花がそろって出てくることわざについてご紹介します。
目次
芍薬と牡丹の違い
「花の王」と呼ばれる牡丹は非常に多くの別名を持つ花です。「富貴花」や「百花王」をはじめ「花王」に「花神」、「花中の王」と「百花の王」「天香国色」「名取草」「深見草」これらすべてが牡丹の別名です。芍薬も「花相」と呼ばれる美しい花です。"相"は中国で皇帝の補佐で行政の最高責任者でもある「宰相」「相国」を意味します。
はしなやかで美しい姿をあらわす「綽約」が名前の由来とされています。ともに非常に美しい花として知られ、似た姿をしていますが、もちろん違いはあり見分けるポイントがあります。
開花時期の違い
牡丹
牡丹が赤や白、ピンクに黄色、紫といった色をした最大で25cmにもなる大輪の花を咲かせるのは4~5月で、ゴールデンウィークごろにちょうど見ごろを迎えます。また寒牡丹という種の場合、11~1月の冬にも咲きます。
芍薬
芍薬の花は5~6月に、薄桃色や白、黄色に紅色をした直径が10cmほどある美しい花を咲かせます。見ごろを迎えるのは5月中頃から後半になります。
牡丹が満開を迎えた後に芍薬が咲き始めるのが本来の開花時期ですが、近年は気候の変動により同時に咲くこともあります。
つぼみや葉の違い
牡丹
牡丹の花のつぼみは先がとがっており、薄くツヤのない葉をしています。また、牡丹は切れ込みが入ったような葉をしているのも特徴です。
芍薬
芍薬の花につぼみは球体をしており、厚みがありツヤのある葉をしています。
成長する高さの違い
牡丹
牡丹は木本性の樹木なので、2mほどまで伸びることもあります。
芍薬
芍薬の花は牡丹と違い草本性、すなわち草なのでそこまで高くはならず、だいたい60cm成長する高さは60cmほどです。
また、牡丹は樹木なので枝分かれをしますが、草の芍薬は枝分かれすることは無くまっすぐに伸びた茎の先に花を咲かせます。
越冬の仕方の違い
牡丹
牡丹は木なので花は枯れますが幹はや枝は残ります。そして冬が過ぎると枝から新芽があわられます。
芍薬
草である芍薬は冬を迎える前に根を残して枯れてしまいます。春になると地上から新芽を出し成長していきます。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
花は昔から女性に例えられることが多いです。特に有名なのが「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉で、女性の所作に見立てられています。この言葉ではなぜ牡丹と芍薬でないといけなかったのかを紹介します。
姿がまるで女性のように見えるとされた牡丹と芍薬、そして百合
立てば芍薬
茎の先に咲く芍薬の花がまるで女性が立っている姿のように見えることから例えられました。
座れば牡丹
牡丹は横向きの枝に大輪の花を咲かせます。その造形がまるで女性が優美に座っている姿のようです。
歩く姿は百合の花
細い茎に対して大きな花弁をした百合の花は風で揺れます。その揺れ方がまるで軽やかに歩く女性に見立てられました。
見て楽しむ方法説
芍薬・牡丹・百合が女性に例えられたとされますが、それぞれの花を最も美しい姿で見られる観賞方法ともいわれています。
立てば芍薬
地面からすらりと伸びた茎の先に咲く芍薬の花は立って鑑賞すると美しい花を正面から見ることができます。
座れば牡丹
枝分かれした横向きの枝に花を咲かせる牡丹は、座って鑑賞することで全体を見ることができます。
歩く姿は百合の花
風で揺れる姿が美しい百合の花はある気ながら見ることでより揺れを感じることができます。
まとめ
牡丹は古くから「花の王」、芍薬も牡丹に似た小ぶりな花を咲かせることから花の宰相と呼ばれ、花の世界のツートップともいうべき花として知られていました。
王と宰相という別名からも分かるように、古くからそっくりな花とされていましたが、つぼみや葉、樹木か草かなど見分ける方法はあります。しかし、牡丹も芍薬も華やかな見た目から品種改良が進んでいますので、全部の要素が一致しないイレギュラーな存在もあるかもしれませんのでご注意くださいね。