【うなぎ豆知識】うな丼とうな重の違いは器だけ!土用の丑の日にうなぎを食べるのはなんで?!

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多くの日本人に愛されている食材、うなぎうな丼は丼飯の元祖だというほど伝統的な食べ物でもあります。

ご飯の上にうなぎを乗せる食べ物にはうな丼とうな重がありますが、この二つの違いはなんと器だけなんですよ。ではなぜ違う器に盛り付けることになったのでしょうか?

今回はそんなうな丼とうな重にまつわる疑問や、土用の丑の日の由来などを解説していきます。

うな丼

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記録にある中では日本最古の丼飯

うな丼が誕生したのは江戸時代で日本で最も古くから食べられている丼飯です。その前でも鰻屋で蒲焼は売られていましたが、うな丼が誕生したことにより飯屋でも鰻が食べられるようになったのです。

約200年前に登場

うな丼が広まったのは江戸時代後期(1804~1818年)だといわれています。水戸藩の郷士・大久保今助が、鰻の蒲焼とご飯を食べようとしていたところ、乗ろうとしていた渡し船が出そうになり、あわててご飯の上に蒲焼を乗せ蓋をして船に飛び乗ったということです。蒲焼のタレがご飯に絡み、さぞかし美味しかったのでしょう。これがうな丼として広まっていくのです。

江戸の郷土料理とされる

せっかちで気取らない江戸っ子たちは、ご飯の上におかずを乗せた丼飯を好んで食べていました。中でもうな丼は大人気で、江戸っ子ですら「うなぎ屋でせかすのは野暮」と言うほどの拘りをもって食していたそうです。当時から高級食材だったうなぎは、他の丼飯とは違い高級な器に盛り付けて食べられていました。

このように、江戸っ子たちのうなぎに対する特別な思いが根付き、広く伝承され郷土料理となっていきました。

関西では「まむし」

関西地方ではうな丼のことを「まむし」と呼んでいます。語源は3つ考えられており、「まぶし(ご飯にうなぎやタレをまぶす)」の音変化、または「鰻飯(まんめし)」の訛り、またはご飯の間にうなぎを挟んで蒸す「飯蒸し(ままむし)・間蒸し(まむし)」だという説があります。

どの説も説得力がありますね。毒蛇のマムシとは関係ないようで、安心しました。

お櫃に入った「まむし」が「ひつまぶし」

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さらに関西地方では、お櫃に入った「まむし」のことを「ひつまぶし・ひつまむし」と呼んでいます。「ひつまぶし・ひつまむし」といえば、お櫃に入ったまむしを茶碗に取り分けて、海苔やわさびなどの薬味と一緒に食べるスタイルが有名ですね。最後にお茶漬けにして平らげるのも美味しそうです。

うな丼とうな重

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うな丼とうな重の違いは何でしょう?

基本は器が違うだけ

盛り付けられている器がうな丼はどんぶりうな重は重箱になります。調理法も味付けも同じで、基本はうなぎとご飯を入れる器が違うだけです。

うな重は鰻を重ねる説も

しかしこれにも諸説あり、元々のうな重は「ご飯とうなぎを交互に重ねる」という意味を持つ食べ物だったという説もあります。ご飯の中にもうなぎが挟まっているなんて、とてもボリュームがあって豪華ですね!

お店の場合は基本うな重の方が上位メニュー

現代でも、なんとなくうな丼よりもうな重の方が上位メニューのイメージがあると思います。それは、うなぎの大きさがうな丼よりもうな重の方が大きく食べごたえがあるからです。

うな丼に関するこんなエピソードがあります。うなぎ屋がランチタイムのサービスメニューとしてうな重を提供しようとしたところ、うなぎの量を少なくして四角い重箱に盛り付けたら隙間ができてご飯の部分が見えてしまったのです。そこで丸いどんぶりに盛り付けたところ収まりがよくなったということです。お客もこのことを感じ取り、うな丼の方が安いイメージが付いているのかもしれませんね。

うな丼うな重のランク

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うな丼やうな重にはランクがあります。

松竹梅、並上特上は量

うな丼やうな重には「松・竹・梅」や「並・上・特上」といったランク付けがされていて値段も違いますよ。この違いはうなぎの量だけで、質や味は変わりません。ただ、産地が異なるうなぎを扱っている場合は、そのことを特記したうえでランク付けされていることもあります。

梅や並を食べると店が分かる?

どのランクもうなぎの質や調理法は変わりませんので、その店の特徴を知るには梅や並を食べれば分かります。タレの味や焼き具合なども味わいながら好みのお店を見つけることができるでしょう。

土用の丑の日の謎

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暑い夏を乗り切るためにうなぎを食べて栄養を摂る習慣は、万葉集(奈良時代末期につくられた日本最古の和歌集)に収められているほど古いものですが、なぜ土用の丑の日に食べるようになったのでしょう?

土用の丑の日ってなに?

「土用の丑の日」を調べると、このように書かれています。

土用の間のうち十二支が丑の日である。

出典:Wikipedia

ちょっと分かりにくいですね。

「土用の間」とは、季節の始まりの日(立春、立夏、立秋、立冬)の、前18日間という意味です。本来「土用」は夏だけではなく、全ての季節にあるんですね。そして「十二支が丑の日」とは、日本のカレンダーを見ると日付に十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)が割り当てられていますが、これが丑の日のことをいいます。

ここでいう「土用の丑の日」は立夏までの18日間にある丑の日のことを指します。

平賀源内考案説はデマ?

かつては、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣を広めたのは平賀源内(江戸時代の才人)だという説がありました。うなぎ屋から「どうしたらうなぎが売れるか」相談された平賀源内が発案したキャンペーンだといわれていたのですが、実は根拠のない噂話だったのです。

江戸時代後期、当時の話題を集めた「明和誌(1822年~1823年)」には、「土用の丑の日の習慣は江戸時代中期から存在する」ことは掲載されていますが、平賀源内との関係性は書かれていないということです。

他にも説はある

土用の丑の日にうなぎを食べる習慣には諸説があります。

春木屋善兵衛説

うなぎ屋の春木屋善兵衛が「土用」に大量の蒲焼の注文を受け、子の日、丑の日、寅の日の3日間で作り保存しておいたところ、丑の日に作った物だけが悪くなっていなかった、という説。

蜀山人(しょくさんじん)説

うなぎ屋に「うなぎを売るためにはどうしたらいいか」相談された蜀山人こと大田南畝(おおたなんぽ、狂歌師)が、「丑の日にうなぎを食べると薬になる」という内容の狂歌を発表した、という説。

うなぎが二匹説

平仮名の「うし」という文字を墨汁を使い毛筆で書くと2匹のうなぎのように見える、という説。

どの説も根拠がなく信ぴょう性に欠けるところがありますが、江戸時代から続いている習慣だということは間違えないようです。

根拠もなく今でも続く文化は謎

「土用の丑の日にうなぎを食べる」根拠のない文化ですが、江戸時代から根付いている習慣だということが分かりました。うなぎには暑さに打ち勝つほどの栄養価があることが認められているからこそ続いている文化なのでしょう。

蒲焼きの調理法の謎

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蒲焼の調理法は、関西と関東で違いがあります。

うなぎの開き方

まずはうなぎの開き方。関西は「腹開き」関東は「背開き」と違いがあるのです。各々、もっともな理由があるんですよ。

関西は腹開き

関西では腹開きが主流です。関西地方は商人文化だったので「腹を割って話す」という意味を持たせて腹開きをしていたということです。

関東は背開き

関東の背開きにはいくつかの説があります。江戸時代は急激な外食産業の発展に伴い腕のいい料理人が不足していたという背景から、うなぎが動き回り難易度が高い腹開きは避け捌きやすい背開きをしていたのではないか、という説。もしくはうなぎの腹に乗っている油の旨みを逃がさないために背開きをする、という説です。

「武家社会の江戸で切腹を連想させる腹開きは縁起が悪い」説もありますが、うなぎ以外の魚は腹開きだったので説得力に欠けるところがあります。

蒸す蒸さない問題

次に、うなぎを蒸すか蒸さないかの違いです。関東は「蒸してから焼く」関西は「蒸さずに焼く」ですが、こちらも各々の理由があります。

関東は蒸してから焼く

関東のうなぎの蒲焼は、素焼きをした後に蒸し、お客の注文が入った時点でタレを塗って焼き上げるという工程です。

江戸の飯屋では、お客が注文したら出来るだけ早く提供することも求められていたため、この方法だと注文が入ってからの調理時間を短縮することができるのです。また、蒸すことによって身がふっくらし、柔らかくとろけるような蒲焼に仕上がります。

関西はそのまま焼く

関西はうなぎを開いたら蒸さずにそのまま直火で焼きあげます。そうすることにより、パリッと香ばしく仕上がります。

また、関西ではうな丼のことを「まむし」というように、温かいご飯の間にうなぎを挟み蒸す効果を与えることにより、ふっくらさせて食べることもあります。

関東関西の境目は諏訪湖や浜松あたり

関東風・関西風といいますが、その境界線は浜松から諏訪湖に至る天竜川沿いといわれています。実際にうなぎで有名な浜松市では関東風と関西風の店が混在しているのです。

どちらもおいしいのでどちらも食べ比べたい

ふっくらと柔らかい関東風、パリッと香ばしい関西風。どちらも美味しそうです。食べ比べて好みのお店を見つけられたらいいですね。

まとめ

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うな丼とうな重に関する疑問は解消されましたでしょうか?関西と関東では蒲焼の調理法が違い、風味にも違いがあるんですね。どちらも美味しそうで「うなぎの食べ歩きがしたいなあ」なんて贅沢な夢を見てしまいました。

FUNDOには他にも「良く聞く食べ物だけど違いが分からない!」という疑問をスッキリ解消できる記事がございます。こちらも併せてご覧ください。

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出典:Wikipedia(土用の丑の日)

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