昔は子供たちがよく使っていた「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます」という言葉。何気なく使ったことがある人も多いのではないでしょうか?
ただ、指切りと針千本はわかりますが……げんまんって何?(笑)そこでここでは、げんまんの意味についてご紹介します。
実は針千本飲まされるよりも怖いなんて噂がありますが、果たして真相やいかに!?
目次
指切り・拳万・針千本
これらの言葉は、実は3つの誓いが合わさったものです。古くから約束の厳守を誓うために行われる大衆向けの風習と言われており、簡単に言えば約束をする時の儀礼みたいなもの。
それぞれ3つの言葉ごとに意味を持っているので、まずはその意味をそれぞれ見ていきましょう。
指切り(ゆびきり)
指切りとは従来、刃物などで指を切るという意味で使われていた言葉です。ただ、約束の誓いとして使う指切りは小指と小指を絡ませ合うことを意味します。
拳万(げんまん)
拳万とは、拳が数千数万という無数にある状態を意味します。約束で使われる拳万は握り拳で1万回打たれるという意味があります。普通にそんなに叩かれたら命の保証はありません!怖すぎます!
針千本(はりせんぼん)
針千本とは、文字通り針が千本あることを意味します。約束で使われるものも同様で、もし約束を破ったら針を1,000本飲まされるという恐ろしい罰が待っているわけです。
ハリセンボンではなく裁縫針を1,000本という意味。もちろん、どちらも恐ろしいですけどね。
指切りの歴史
指切りはもともと、男女が不変の愛を誓いあう証拠として心中立(しんじゅうだて)を行ったのが起源と言われています。それほど重い約束の証でもあったということです。
元は遊女が発祥
もともと指切りは遊女が客に対する心中立として、小指の第一関節を切って渡したことに由来しています。激痛を乗り越えてでも愛しているという証拠だったわけですね。
ヤクザのエンコを詰めるルーツ
ヤクザでは親分に対する謝罪の意思として指を切断し、それを献上することでけじめをつけることがありますよね。これも実は指切りのルーツと言われています。
近年では小指よりも現金を献上する方が増えてきたので、実際にエンコを詰めるということ自体は減ってきているものの、それでもヤクザの中では一種の儀礼として使われることが未だにあるのです。
指切りに追加!
指切りはそもそもそれ単体で約束に使われていたのですが、そこは約束を何よりも重んじる日本人……徐々に過激になっていきました。
元は指切りだけだった
指を切るだけでも相当な苦痛だったことから、これらの指切りが広まった当時は、それだけでも十二分に強固な約束を意味していたと言えるでしょう。
事実、当時は指切りだけで約束をし、もし守れなかったら指を切る(くらいの気概)という風習がありました。
更に約束を絶対にするため拳万を追加!
それでもまだ足りなかったのか、さらに約束を絶対にするため拳万を追加したわけです。約束を破ったら指を切られるというだけでも恐ろしいですが、さらに握り拳で1万回打たれてしまうため、約束は絶対に破れません。
更に針千本も追加!
それでもまだ足りないのか、さらに追加で針千本。もうこの時点で約束を破ろうなどとは思えません。そもそも本当にそんなことをしたら死んでしまいます!
とにかく日本人は約束に厳しい
日本人はとにかく約束というものを重んじる民族です。口約束をするなんてのはもってのほかで、約束とは元来命を懸けて行うものだったのです。
結婚や交際などの恋愛においてはもちろん、仕事などでも「契約」という名の約束が交わされることがほとんど。それは現代日本でも変わることのない普遍的なものです。
実は元から形式的なものだった
ただ、日本では約束を重んじてはいるものの、実は形式的なものも多かったと言われています。特に遊女とする約束の多くは形式だけでの話で、本当に指切りや拳万、針千本までの罰を与えることはまずありませんでした。
実際に指を切った遊女はほぼいなかった
当時の遊女たちの間では指切りを約束の担保にする人はいたのですが、実際に小指を切る遊女はほとんどいなかったと言われています。それもそのはず、遊女にとって約束を破ることは日常茶飯事。「あなただけよ」と言ってもそれ自体が嘘。
そこで当時は、本物の指の代わりになる模造品が多く出回ったとも言われています。そこまでするなら、指切りなんて物騒な約束しなければ良かったのに……とも思いますね!笑
遊女たちの流行りの営業手法
指自体は切らないのですが「必ず約束する」という意味で、遊女たちの間では流行りの営業手法だったわけです。「心の底から愛しているわ」と言いながらも、裏では別の客にちやほやするのが日常茶飯事だったということ。
それが一般に広まり、約束を必ず守るという意味全体を表すようになったのが「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます」なのです。
拳万は物理的に無理
拳万はそもそも物理的に無理があります。1万回も握り拳で人を殴れば、拳の方が砕けてしまいます。当然ながら現実的なものではなく、あくまでも「約束を破ったらそれくらいの罰は受けるべきだ」という日本人らしい考え方に基づいたものと言えますね。
まとめ
何気なく子供の頃に使った指切り。そこには拳万や針千本など、重すぎる罰が追加されていたわけです。もしかしたらこれから数年後数十年後には、また違った罰が追加されているかもしれません。くれぐれも守れない約束はしないように気をつけましょう!(笑)