夏の風物詩「京都鴨川納涼床」、川床の成り立ちから豆知識まで解説します!

京都の川床は、毎年7月から9月にかけての暑い時期の京都の鴨川沿いで見ることができる涼を感じる夏の風物詩です。

祇園祭の時期、河原町から祇園や八坂神社に向かう際に見たことがある人も多いのではないでしょうか。川床はさすが京都と思わせる歴史ある風物詩でもあります。

今回はそんな京都の夏の風物詩、川床の成り立ちから豆知識までご紹介します。

川床の歴史は戦国時代から

鴨川納涼床とも呼ばれる川床は二条通を北にし、五条通までの鴨川の西側、右岸西側に並ぶ京都の風物詩の一つです。

鴨川は古くから愛された川

鴨川はかつては京都の東端の基準とされた川です。「賀茂川の水、双六の賽、(比叡山の)山法師」と自分の思うとおりにならないもの、「天下三不如意」として白河法皇に言わせるほどの暴れ川としても知られていました。しかし平安時代から多くの和歌が詠まれるなど人々に親しまれてきた川でもあります。江戸時代に入ると京都と大阪を結ぶ水路として重宝されてきました。

平家討伐で有名な源義経が、自身の忠臣となる武蔵坊弁慶と巡り合ったのも鴨川にかかる五条大橋、もしくはその周辺だったのではといわれています。

戦国時代

川床の原型は豊臣秀吉が天下を統一したころといわれています。1589(天正17)年、鴨川にかかる三条大橋や五条大橋を石柱の橋に変更する架け替え工事が行われました。

その結果、鴨川の河原沿いには多くの人で賑わうようになり出店や仮設の茶屋が置かれるようになりました。そして裕福な商人が夏場は遠方から来た客をもてなすために河原に席を設けました。これが川床のはじまりともいわれています。

また、出雲阿国による歌舞伎芝居がこの鴨川河原沿いで始まったのもこの頃といわれています。

江戸時代

江戸時代、戦乱の世が終わり平和な時代になった1669(寛文9)年になると石垣や堤が築かれ、護岸の整備も進みました。それにより街も栄え、花街ができ、常設の芝居小屋も建てられるなど鴨川の周りでは繁華街化が進みました。その頃には鴨川の中州に床几(しょうぎ)が組まれるほか、両岸の茶屋から張出式の床几が組まれました。当時は「河原の涼み」と呼ばれていたそうです。

明治時代以降の川床

明治時代

明治の後半から大正時代にかけて行われた鴨川運河開削や京阪電車鴨東線の三条駅までの延伸の影響を受けて鴨川の東側、左岸の川床が姿を消しました。さらに鴨川が治水工事の影響を受けて流れがはやくなったことで、鴨川に床几式の川床を設置するのが禁止されました。

また、治水工事の際に鴨川と並行した形で右岸には祓川(みそそぎがわ)ができました。この祓川に高床式の川床を設置したのが現在の川床のスタイルのはじまりになります。

現在の形に

祓川に設置された川床ですが、半永久的に川床を設置する店舗や屋根や鉄柱を使うなど、現在とは違い整った景観ではありませんでした、1934(昭和9)年の室戸台風、翌年の集中豪雨でこれらの川床は全て流されてしまいました。

終戦後の1951(昭和26)年、景観上の基準となる「納涼床許可基準」ができ、「京都鴨川納涼床協同組合」が発足し、会員以外は川床の設置ができなくなりました。これが今日の風物詩となっている川床になります。さらに2008(平成20)年に「京都府鴨川条例」が制定されて、より厳格な川床の基準が定められています。

川床の豆知識

読み方

川床の読み方が2つあります。1つは「かわどこ」、もう一つが「かわゆか」です。

鴨川納涼床とも呼ばれる鴨川の川床の読みは「かわゆか」です。それに対して「かわどこ」は同じく夏に貴船で見られる川床の事に指します。

漢字は同じですが、場所が違いますので混合しないように注意してください。ちなみに、貴船の川床が行われている貴船川は鴨川の上流にあたるので、更にややこしさが増しますね!

禁止されている事

実は川床には禁止されている行いがあります。それは音曲です。自然を感じ涼をとることを目的とした川床では歌舞が禁止されています。しかし、昼床開きと呼ばれる5月1日でけは「長刀鉾のお囃子の稽古はじめ」を行う習わしになっています。

ランチが無い時期がある

川床でランチ営業を行っているのは5月と9月のみです。間の6~8月にかけては食中毒の心配があるのでランチ営業は条例で禁止されています。夏にお昼から川床で一杯!はできませんのでご注意ください。

まとめ

夏の京都の代名詞の一つ「川床」は戦国時代の豊臣秀吉の時代から形を変えて続けられている、さすが京都!と唸ってしまうものでした。最近では昔ながらの割烹料理や京料理だけではなく、焼肉やすき焼き、イタリアンになんとスターバックスコーヒーまでありますので、自分の好きな川床探しに鴨川沿い散策するのも楽しいかもしれませんね!

関連記事(外部サイト)

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事