「みかん」を英語で書くと、きっと多くの人が「orange」と書くのではないでしょうか。
しかし食卓で見かけるオレンジはみかんと違ってとても簡単に皮を剥くことはできないので、「みかん=オレンジ」とは思えなかった筆者が改めて調べてみたところ、なんと「satsuma(サツマ)」という面白い名前だということがわかりました!
今回はそんな「みかん」と「オレンジ」の語源も含めてご紹介したいと思います。
目次
みかんとオレンジはそもそも違う
現在、スーパーや八百屋でその姿を多く見るみかんは、一般的に「温州みかん」と呼ばれるもので甘くて種がないのが特徴の品種です。
一方のオレンジはカルフォルニアでの栽培が盛んな「ネーブルオレンジ」もしくはカリフォルニア州サンタアナを原産とする「バレンシアオレンジ」を指します。
起源は同じインド
みかんもオレンジも発祥はインドと考えられています。原種となる果実は3000万年前のインド、アッサム地方にありました。この原種が様々な種に分化していくとともに東西に広がっていき現在に至っています。
みかんもオレンジも、現在では全く別の果実ですが、原種は同じなので、親戚のような間柄ではあるようです。
みかんは中国の温州生まれではない!
「温州みかん」の名前の「温州」はかつて柑橘類の名産地として名高かった中国の東部にある「温州」にあやかって付けられました。あくまでもあやかって付けられた名前なので、温州が温州みかんの発祥の地というわけでは決してありません。
温州みかんが誕生したのはおよそ400年前の鹿児島県(当時の薩摩藩)でのことです。中国から伝わった柑橘の種が偶然にも突然変異していたことで、種も無く甘い果実を実らせる「温州みかん」が生まれました。
最初は実に種がないことから武士からは不評でしたが、時代が経ち江戸時代後半にもなると、その食べやすさの利便性と美味しさから各地で栽培が広がり、現在ではみかんといったら「温州みかん」となるまでに普及しました。
「satsuma(サツマ)」と呼ばれるようになったみかん
鹿児島を発祥とした温州みかんが、なぜ英語で「satsuma」と呼ばれているのか、その理由についてはいくつかの説がありますが、今回は2つの説をご紹介します。
説1:薩英戦争がきっかけ?
江戸時代の末期、薩摩藩藩主・島津忠義(しまづ ただよし)の父、島津久光(ひさみつ)が率いる大名行列の横を、馬に乗ったまま通り過ぎようとしたイギリス人一行を切りつけた事をきっかけに始まった1863(文久3)年の薩英戦争。この戦争は薩摩藩もイギリス軍も大きな損害を出したことで収束に向かい、幕府が薩摩藩に代わり賠償金を支払うことで講和が結ばれました。
講和が結ばれた際に薩摩藩からイギリス側に渡されたのが、薩摩藩原産の温州みかんでした。このことからイギリスでは温州みかんを「satsuma(サツマ)」と呼ぶようになったといいます。
説2:在日アメリカ公使がアメリカに持って帰ったのがはじまり?
1866(慶応2)年からの3年間、日本でアメリカ公使をつとめたロバート・ヴァン・ヴォールクンバーグが、奥さんと共に薩摩藩に旅行に行った際に、温州みかんを大いに気に入りました。
あまりに気に入った夫妻は温州みかんを1878年にフロリダ州に持ち帰っています。「Satsuma mandarin」と名付けられた温州みかんのアメリカでの栽培がこれ以降行われるようになりました。
温暖なアメリカ南部では特に栽培が盛んで、1915年にフロリダ州のお隣、アラバマ州に「Satsuma(サツマ)」という街ができるほどです。
まとめ
温州みかんが「Satsuma(サツマ)」と呼ばれるようになった語源と言われる説を2つご紹介するとともに温州みかんの成り立ちもご紹介しました。どちらにしても「Satsuma(サツマ)」=「薩摩」が語源というのは間違いなさそうですね。
甘くて美味しいみかんは幕末の時代から、日本人だけでなくアメリカ人やイギリス人にもお気に入りとなるとても魅力的な果実だったんですね!!