【仙台初売り】宮城県だけがオトクで豪華な福袋を出せるってホント??なんでそんな事ができるの?

年始の楽しみの一つといえば「初売り」ではないでしょうか。福袋やセール品を買い求めて、百貨店やショッピングモールなど様々な店舗が人々でごった返す日本の正月の風物詩です。

全国各地で行われる初売りの中でも、日本一豪華といわれているのが『仙台の初売り』です。福袋などを求めて徹夜列ができる店や、果たして動くのだろうかと心配になるほどの長蛇の列が正月2日から毎年仙台をはじめ宮城県の街では見られます。

なぜそれだけ仙台の初売りが大盛況になるのか、それは仙台を含めた宮城県だけで許された「ある事」があるからでした!

仙台初売りは伊達じゃない

仙台初売りとは

仙台初売りは現在の宮城県を中心とした旧仙台藩領地で行われている新年の伝統行事のことです。

全国的には初売りはあくまでも新年最初の営業日のことであり、福袋の取扱い初日ですが、仙台市を始めとした旧仙台藩領地では商品に特典を付けるほか、大安売りや割増商品券の販売、通常営業時には無い豪華賞品を取り扱う期間が設けられています。この期間が「仙台初売り」と呼ばれています。

その歴史は伊達政宗の時代より更に昔にまで遡る!

仙台藩初代藩主「伊達政宗」が家督を継ぐにあたり、父親の「伊達輝宗(てるむね)」が正月の作法や儀式について書きまとめた「正月仕置之事」のなかで正月始めには米や塩の買い始めをしに町へ行くよう書かれています。そのことから伊達家と当時の領地、米沢城下に住む商人達には買い始めと初売りの概念があったことがわかります。

この伊達家の買い初めの風習が仙台初売りの原型とされています。

伊達政宗はその後岩出山に領地を移し、さらに仙台を開府し入城します。その際、米沢城下の商人たちも一緒に移動してきていますので、買い始めと売り初めの文化も一緒に仙台に入ったのだと考えられています。そして時代が経つにつれて買い始めと売り初めの習慣は仙台藩の庶民にまで浸透しました。

実際、伊達政宗が亡くなって200年近く経った1804年~1824年の化政文化期に書かれた「仙臺年中行事」には、正月2日は賣初賣買(うりそめばいかい)とあリます。この頃には庶民の間でも正月2日に初売りが浸透していたことがわかります。

更に200年経った現在、時代に合わせながら仙台初売りは続いています。例えば、旧来では仙台では多くの店が元日は営業がされておらず、2日の初売りが一年の営業初日でしたが、2003年からは初売りのイベント自体は2日からとすることで1日から営業すること自体はOKになっています。

豪華な仙台初売りの秘密

公正取引委員会が許す豪華さ

仙台初売りでは福袋も趣が他の地域とは違います。通常売れ残りやシーズンオフの商品の在庫処理という側面のある福袋ですが、仙台初売りを行う店舗ではコストパフォーマンスが良すぎるといわれるほどの内容になっているのが特徴です。新規出店のお店ではこの初売りの内容で今後のひいきの店にするかどうか品定めするポイントにもなっているそうです。

仙台初売りを特に象徴しているのが茶箱です。茶箱はお茶を湿気から守るため湿気を寄せ付けない作りになっています。そのため古くは衣類や乾物・湿気に弱いものを保管する場所として広く庶民に愛されていました。

現在では実用的な面ではなく仙台初売りの象徴として、また大きくて様々なものが入る福箱として用いられています。

1935(昭和10)年に、「お茶の井ヶ田」というお茶の販売をしている店が初売りのおまけに茶箱を付けたのが初めです。現在ではこの茶箱の中に電化製品など豪華賞品が入っていることから、初売りの数日前の年末から泊まり込みで列争いがされているといいます。

このように仙台初売りだけが他の地域では行われないような豪華な初売りができているのには理由があります。仙台初売りで行われている、豪華な商品の特価販売や特典付きの販売は、通常なら景品表示法に抵触する内容です。

しかし、公正取引委員会が仙台初売りを旧仙台藩領地内の伝統行事として3日間だけ特別に認めているため仙台初売りは実現しているのです。逆に言えば旧仙台藩領地外では仙台初売りと同等の豪華な初売りはできませんし、旧仙台藩領地内でも4日目の初売り行為は許されていません。

仙台初売りのブランド化に成功したのはあの有名企業がきっかけ

仙台初売りを行っているのは「お茶の井ヶ田」のような地元企業だけではありません。全国規模の店でも行われており、他の地域では見れないような豪華な初売りを展開しています。

ヨドバシカメラには元日から数百人単位で待機する人がいますし、仙台駅前のパルコも日中ともなれば建物の外にまで列ができるほどです。もちろん仙台市内にあるApple Storeのような外資系企業でも初売りは行われ大盛況となります。

このように有名企業も仙台初売りを行っていますが、中には元日営業をしているお店もあります。現在は宮城県では元日営業を行っている店舗も多くありますが、実は以前は地元商工会の中では元日営業は許されていませんでした。しかし、90年代も後半になると大型店や国道など大通り沿いにあるロードサイド店舗の中に元日の初売りをする店舗が増えていました。

転機が訪れたのは2000年の11月のことです。イオン株式会社(当時ジャスコ株式会社)の社長が商工会議所を訪ね、年始の1日から営業する旨を伝えました。しかし、商工会議所との話し合いの末、ジャスコの2001年の元日営業は見送られることになりました。

これを機に仙台初売りについての検討会が設けられるようになり、2003年からは元日は通常営業、2日に初売りをするようになりました。逆にこの元日の通常営業ルールは仙台初売りのブランド化に一役買い、元日に初売りをする大型店が大幅に減ることになりました。

まとめ

仙台初売りは戦国武将伊達政宗の時代よりも昔に遡れる伊達家の気風が今なお続く風習です。400年にも及ぶ歴史ある風習のため、通常の景品表示法ではアウトな面も特例として許されているというのが驚きですね。

現在は基本正月2日に開催されている仙台初売り、年越しから元日を秋保温泉や松島などの温泉地で過ごして2日は戦場でもある仙台初売りをしているお店に行くというのも面白いお正月かもしれませんね。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
出典:Twitter(@MAFF_JAPAN) / Twitter(@yodobashi_senda)

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事